無細胞、in vitro 翻訳(IVT)システムでは少量のタンパク質を迅速に合成できます。ハイスループット(HTP)技術に使用できるタンパク質発現プロトコルは、スクリーニングおよび他の研究用途に使用する多数の組換えタンパク質を合成する効率的な方法を提供します。ここでは、Thermo Scientific1-Step Human High-Yield IVT Systemを使用して、96ウェル微量透析プレートに適用した素早く効率的な複数タンパク質の同時発現を示します。

Mini IVT Kit(品番88890)は1回100 µLの反応を行うための微量透析装置を含み、2 mL微量遠心チューブ内で反応を行います。Thermo Scientific Pierce 96ウェル微量透析プレート(品番88260)は8連の微量透析装置から構成され(図1、2)、自動化に対応した96ウェルフォーマットでタンパク質発現を可能にします。

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図1. Pierce 96ウェル微量透析プレート。 各プレートには8連カートリッジが12個あらかじめ装着されています。 組み立てられた透析装置は標準的な96ウェルプレート用実験室装置および自動化液体処理システムに適合しており、高スループット用途に最適です。 1つの微量透析装置は独立して2 mLの微量遠心チューブ内で1つのサンプルを処理できます。 使用可能なプレートシールは高品質ポリプロピレン製で、インキュベーションの間サンプルを汚染および蒸発から守ります。
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図2. Pierce 96ウェル微量透析プレートを用いた透析プロトコル概要。 IVT反応を行う場合、サンプルおよび透析バッファーが、それぞれテンプレートを含む反応混合物およびキット特有の透析バッファーと置き換えられた点を除き、透析と同じ方法です。

結果と考察

96ウェルHTPフォーマットを、微量透析プレートウェル8個(4セグメントカートリッジが2個)でIVT反応を反復することにより検証しました。TurboGFP(緑色発光タンパク質)をIVTキット付属のポジティブコントロールDNA(pCFE-GFP)を使用して発現しました。4つの100 µL反応プロトコルは、キットマニュアル(品番88891)に従いました。反応液を18時間、30°Cでインキュベートしました。

発現は8個のウェルで一貫性のある良好な結果が得られ、1ウェル当たり平均461 µg/mL GFPを生成しました(図3)。GFP発現は微量透析装置上で明らかに目視で確認できました(図4)。これらの値は、2 mL微量遠心チューブ内でインキュベーションを行う通常のIVTキットで得られた結果と同程度でした(データ未掲載)。

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図3. ハイスループットIVTフォーマットでの一貫した高収量GFP発現。 | より大規模な実験の一例として、96ウェル微量透析プレートの異なる8ウェル(1列と11列の各4セグメントのカートリッジ)でGFPを発現した。 GFP濃度は、各反応液の一部を黒色384ウェルプレートに分注し、蛍光プレートリーダーを使用して測定した結果の、標準Recombinant GFP (品番88899)の連続希釈液の測定値との比較により算出した。
A14n01-Fig4図4. GFP発現の目視による確認。96ウェル微量透析プレートの隣接ウェル4個(透析セグメント)のGFP発現の可視(左)および蛍光イメージング(右、FITC-フィルター)画像。
結論

Pierce 96ウェル微量透析プレートと1-Step High-Yield Mini IVT Kitとの組み合わせで、ハイスループットタンパク質発現を実現できることを実証しました。このことから、IVT反応を行う微量透析装置を微量遠心チューブから微量透析プレートに移すと、迅速で一貫性のある発現を一度に96タンパク質まで容易に行うことが可能だということが示唆されました。

方法

In-vitro翻訳(IVT)

プロトコルは1-Step Human High-Yield Mini IVT Kit(品番88891)の100 µL反応4つの場合と同一ですが、反応液を含む微量透析装置を2 mL微量遠心チューブではなくPierce 96ウェル微量透析プレート(品番88260)でインキュベーションしました。反応液を18時間、30°Cでインキュベートしました。

Measurement of GFP expression

For quick visual detection, the microdialysis devices containing the GFP reactions were viewed using a Molecular Imager VersaDoc™ MP 4000 System (Bio-Rad Laboratories, Inc.) with a FITC filter (ex/em: 482/512nm), 0.1 sec exposure, aperture 4.

Quantitation using fluorescent plate reader: 10µL aliquots of each reaction were diluted 15-fold with phosphate-buffered saline (PBS) containing 0.1% BSA to yield 150µL test samples. A set of standards was prepared from recombinant tGFP protein of known concentration (Part No. 88899) by serial dilution (50µg/mL to 0.78µg/mL) in 0.1% BSA-PBS. Triplicates of test samples and standards (25µL) were pipetted into wells of a black 384-well plate and the fluorescence values measured by a Tecan™ Safire™ Fluorescent Plate Reader at ex/em: 482/512nm. Concentrations of test samples were calculated by reference to the standard curve.

Additional methods for detecting and measuring expression of GFP from the control DNA (pCFE-GFP) supplied in the IVT Kits are described in the product instructions. Be aware that the tGFP control protein is from the copepod Pontellina plumata. This GFP is not reactive to antibodies generated against Aequorea victoria GFP (i.e., EGFP or other EGFP mutants). Instead, use polyclonal antibodies to TurboGFP (Ab. No. PA5-22688) for Western blot detection.

参考文献
  1. Kobayashi, T., et al.(2013).Purification and visualization of encephalomyocarditisvirus synthesized by an in vitro protein expression system derived from mammalian cell extract.Biotechnol.Lett.35: 309-14.
  2. Masutani, M., et al. (2012). Reconstitution of eukaryotic translation initiation factor 3 by co-expression of the subunits in a human cell-derived in vitro protein synthesis system. Protein Expr Purif. 87: 5-10.
  3. Yanagiya, A., et al. (2012). Translational homeostasis via the mRNA cap-binding protein, eIF4E. Mol. Cell. 46: 847-58. Epub 2012 May 10.


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