米サーモフィッシャーサイエンティフィック、英グラクソ・スミスクライン社および米ファイザー社と次世代シーケンス(NGS)を用いたがんの コンパニオン診断薬開発に合意

同リリースは、Thermo Fisher Scientificが、2014年9 月25日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集したものとなります。英文プレスリリースは、以下URLをご参照ください。英文プレスリリースは、こちらをご参照ください。
英文タイトル:Thermo Fisher Scientific Announces Agreement with GlaxoSmithKline and Pfizer to Develop Oncology Companion Diagnostics Using Next-Generation Sequencing (NGS)
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

2014年10月6日

米国カリフォルニア州カールスバッド2014年9月25日–米Thermo Fisher Scientificは、医薬品企業である英GlaxoSmithKline社および米Pfizer社と、さまざまな医薬品プログラムにおいてコンパニオン診断薬となる、固形腫瘍をターゲットとした汎用性のある次世代シーケンス(NSG)を用いた腫瘍検査の開発に関する合意を結んだと発表しました。Thermo Fisher Scientificは検査の開発とバリデーションを終えた後に、米国医薬食品局(FDA)および世界の他の地域の規制当局に対して市販前承認の申請を計画しています。この検査はThermo Fisher ScientificのIon Personal Genome Machine (PGM) Dxをプラットフォームとし、Ion AmpliSeqテクノロジーおよびOncomine Cancer Research Panelのコンテンツを用いて開発される予定です。

コンパニオン診断薬とは、患者さんが標的療法に使用される治療薬に適しているか否かを識別するための検査薬を意味します。多くのがんタイプでは、患者さんから得た腫瘍検体にターゲットとなる遺伝子マーカーが含まれるか否かを検査し、その情報は医師がそれぞれの患者さんに最も適した治療を選択することを支援します。がんは複雑であり非常に多様であるため、ひとつの腫瘍の遺伝子プロファイルを完全に把握するには数百種類の遺伝子マーカーについて検査する必要があります。しかし従来の遺伝子解析技術では一度にひとつないし数個のマーカーしか検証することができず、治療手段の選択に必要なすべての情報を得るためには大量の腫瘍検体と数週間におよぶ時間が必要とされてきました。

Ion PGMシーケンシングプラットフォームとIon AmpliSeqテクノロジーを組み合わせて用いることで、次世代シーケンスでは腫瘍検体から数百個の遺伝子を同時に、また高い再現性のもとで短期間に解析することが可能になります。さらにIon AmpliSeqテクノロジーはその独自性によって、FFPE組織からわずかなDNAとRNA検体(1反応あたり10ngの抽出核酸)しか必要としません。そのため、Ion PGMシーケンシングプラットフォームは小規模な生検や微小針による吸引検体などを含めた、より幅広い範囲の腫瘍検体からの解析をほかに必要な病理学的検査と同時に実施することが可能です。最終的にこのテクノロジーは従来の病理学ワークフローの枠組みの中での標準化を実現し、さらに将来的には、次世代シーケンスを通じて得られた有益な情報を治療選択や治験への患者マッチングにいかすことによって、より多くのがん患者さんに貢献できるようになる可能性を有しています。

Thermo Fisher Scientific、Life Sciences Solutions部門Head of Oncologyのダン・ローズは、「腫瘍学領域でのオーダーメイド治療を実現するために、がんの患者さんに必要な遺伝子検査の数はさらに増加するとともにその内容は複雑になってきています。英GlaxoSmithKline社および米Pfizer社とともに、そして今後の可能性としてさらにほかの医薬品企業とともに、当社は従来のパラダイムに変化を起こし、ターゲットとする複数の遺伝子マーカーを包括的に分析することのできる単一の次世代シーケンス検査を開発したいと考えています。このアプローチを通じて、将来的にはがん患者さんが腫瘍の遺伝子プロファイルに合わせた標的療法を選択できる機会を得ることを支援します」と述べています。

この新しい汎用性のあるコンパニオン診断薬の開発には、一塩基多型(SNV)、コピー数多型(CNV)、遺伝子融合、および143種類のがん遺伝子におけるインデル(挿入欠失)を同時に検査することのできる、Oncomine Cancer Research Panelに含まれるマーカーが使用されます。このパネルに含まれる遺伝子のうち、26種類は現在提供されている腫瘍治療薬のターゲットとなっており、また44種類は現在実施されている治験への適合性判断に使用されています。このパネルは、10億点を超えるキュレーションされた腫瘍データを含む、業界で最も強力な腫瘍データベースを基として開発されたものであり、またThermo Fisher Scientificが過去2年間にわたり行ってきた投資の成果でもあります。

「特定の遺伝子変異をターゲットとして開発されるがん治療薬が増えてきており、その中には少数の患者群にのみ見られる変異を対象としているものもあります。次世代シーケンスを基盤としたアプローチによって、これらの期待に満ちた新たな治療手段の開発を加速させることに貢献します。また最終的には、医師が患者さんの転帰を良好とするための可能性を最大化するために、どの治験に組み込まれるべきかを判断する手助けを行うことができます。さらに、複数マーカーによるアプローチで多数の遺伝子マーカーを同時に検証することのもうひとつの重要な利点は、それぞれの新しい治療薬ごとに独自のコンパニオン診断検査を開発する必要がなくなることに寄与できるという点です」とロ―ズは補足しています。

Thermo Fisher Scientific、Life Science Solutions部門プレジデントであるマーク・スティーブンソンは、「今回の英GlaxoSmithKline社および米Pfizer社との合意は、世界中のお客様がIon Torrentテクノロジーを用いて毎月幾千個にも及ぶ腫瘍検体のシーケンスを行っているという、当社の次世代シーケンスにおける腫瘍学のマーケットリーダーとしての位置付けをさらに発展させるものとなります。臨床腫瘍学領域のパラダイムを、ひとつの医薬品にひとつの検査を必要とする形式から、多数の標的療法をひとつの検査でカバーできるものへと変えていくことによって、将来的には臨床分野のお客様、そしてもっとも重要である、がん患者さん自身に対して貢献できると考えています」と述べています。

米国 Thermo Fisher Scientific (www.thermofisher.com) について
Thermo Fisher Scientific Inc. (NYSE:TMO) は、170億ドルの収益と世界50 ヵ国に 50,000 人の従業員を擁する、世界をリードする科学サービス企業です。私たちのミッションは、私たちの住む世界を「より健康で、より清潔な、より安全な場所」にするために、お客様へ製品・サービスを提供することです。私たちはお客様がライフサイエンス研究をさらに加速させ、分析における複雑な課題を解決し、臨床診断を向上させ、研究室の生産性を高めることを支援します。当社の 4 つの強力なブランド、Thermo Scientific、Life Technologies、Fisher Scientific、Unity Lab Servicesは、革新的な技術、購入における利便性、包括的なサポートについて、他に類を見ない組み合わせをご提供します。

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