劣化が著しいヒト試料において高精度の法医学分析を可能にする新DNA定量キットを発表

ライフテクノロジーズの個人識別に向けた次世代シーケンサ用SNPマーカーパネルも同時発表

同リリースは、Thermo Fisher Scientificが、2014年2月20日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集したものとなります。英文プレスリリースは、こちらをご参照ください。
英文タイトル:New DNA Quantification Kits Enable Precision-Guided Forensic Analysis of Highly Compromised Human Samples
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

2014年3月4日

Thermo Fisher Scientificにより発表されたLife Technologiesの2つの新しいDNA定量手法により、法医学研究者は劣化の著しい、あるいは分解が進んだ試料からもより迅速にヒトDNAの量と質を検証し、分析過程のその後の手順における意思決定に不可欠な情報を取得できるようになりました。

同時に、既にバリデーション済みのキャピラリー電気泳動(CE)では鑑定が困難な劣化DNA試料も検査対象とすることを目指す研究室のために、次世代シーケンス (NGS) 用のSNPソリューションも発表されました。これら3製品、Quantifiler Trio DNA定量キットおよびQuantifiler HP (Human Plus) DNA定量キットHID-Ion AmpliSeq Identityパネルは、いずれも2014年2月17日から22日までシアトルで開催されたAmerican Academy of Forensic Sciencesにて紹介されました。

分解が進んでいたりPCR阻害物質を含む現場試料は、法医学研究者にとって特に大きな課題となっています。試料の量や完全性が不確実な場合、STR PCR反応を実施するための適切な手順を選択することが困難となってしまいます。このような困難な検体では誤った手順を選択することによる鑑定結果の質の低下と共に、検査ラボのリソースや作業時間の浪費を招きます。Quantifiler TrioキットとQuantifiler HPキットはいずれも、試料の劣化やPCR阻害の程度を評価する新しいツールと組み合わせることで最大限の定量性と再現性が得られるようデザインされた常染色体ターゲットを採用し、これら課題を克服することを支援します。

Quantifiler TrioキットとQuantifiler HPキットいずれのケミストリーも法医学解析者による試料スクリーニングの効率を改善し、ヒトとヒト以外のDNAの識別能力を向上させています。また、Quantifiler Trioキットでは、性犯罪試料においてよく見られる、女性DNAが大過剰に存在する状況下において男性DNA定量の信頼性を向上させています。

新しいHID Real-Time PCR Analysis v1.2ソフトウェアと共に使用した場合、これらの製品はSTR反応前のワークフローにおいて十分な情報に裏付けられた判断を行うことを可能にします。また同時に処理可能な検体数が6%増加し、またPCRサイクルが33%削減され、結果が得られるまでの時間が短縮されたことで効率面でも向上しています。

NGS Identityパネルにより困難な検体における詳細な分析を実現
HID-Ion AmpliSeq Identityパネルは、一般発売された初のハイスループットNGSソリューションの一つです。この製品は著名な法医学研究者との共同研究を通じて開発され、劣化試料においてもわずか1ngのDNAから1日半で同定することが可能です。

HID-Ion AmpliSeq IdentityパネルはIon PGMシステム上で実行され、50以上の試料同時測定することでコストを引き下げることが可能でありながら、CODISの13コアSTRセットと同程度の試料特異性と個人識別能を達成しています。また容易に結果を分析し、書き出すことのできる統合ソフトウェアも用意されています。

オランダ、ロッテルダムのエラスムス大学Forensic Molecular Biology学科のマンフレッド・カイザー博士
「次世代シーケンサを用いる最大のインパクトは、STRやSNPを含むさまざまなタイプの多数の遺伝子マーカーを1回のランに組み合わせられること、さらには従来の技術では同時測定が不可能だったRNAまでも組み合わせることのできる潜在能力を有している点です。したがって1つの試料を1回分析するだけで法医学的に有意な情報を得られる可能性への扉が開かれたのです。」

Ion PGMシステムには半導体シーケンス技術と生化学が組み合わされ、化学的な情報を直接デジタルデータに変換します。このシステムは事実上すべての検査ラボや研究施設におけるシーケンスを実現することを目的として設計されています。このシステムのシンプルさによって高価な光学系が不要となり、また自然のDNAを測定するための複雑なケミストリーも不要になります。

Thermo Fisher Scientific、Human Identificationバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ナディア・アルトメア
「Life Technologiesは引き続き犯罪の抑止や解決を支援する、最先端の法医学分析製品を提供するためのイノベーションに取り組んでいます。私たちの最新のDNA定量キットとNGSのためのIdentityパネルは、お客様がワークフローにおいて精度の高い情報に基づく判断を下すことができるよう力添えするとともに、関連性のある遺伝子マーカーを対象とした検査能力をさらに拡大することによって、解決困難な事件の捜査を支援しています。」

Thermo Fisher Scientific (www.thermofisher.com) について
Thermo Fisher Scientific Inc. は、170億ドルの収益と世界50 ヵ国に50,000人の従業員を擁する、世界をリードする科学サービス企業です。私たちのミッションは、私たちの住む世界を「より健康で、より清潔な、より安全な場所」にするために、お客様へ製品・サービスを提供することです。私たちはお客様がライフサイエンス研究をさらに加速させ、分析における複雑な課題を解決し、臨床診断を向上させ、研究室の生産性を高めることを支援します。当社の 4つの強力なブランド、Thermo Scientific、Life Technologies、Fisher Scientific、Unity Lab Servicesは、革新的な技術、購入における利便性、包括的なサポートについて、他に類を見ない組み合わせをご提供します。

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