近畿大学からの参画を含む国際コンソーシアムにて検証された次世代シーケンシング用の融合遺伝子検出パネルを診断薬化
同リリースは、Thermo Fisher Scientificが、22015年3月23日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集したものとなります。
英文プレスリリースは、こちらをご参照ください。
英文タイトル:Thermo Fisher Scientific Releases New CE-IVD Fusion Transcript Kit for Next-Generation Sequencing
本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
2015年3月30日
米国カリフォルニア州サンディエゴ2015年3月23日 - 米Thermo Fisher ScientificはCE-IVD マーキング(CE-IVD認証)を取得した、またFFPE腫瘍検体からのマルチプレックスシーケンシングを極めて高い精度と信頼度の下で実現し、臨床での意思決定を支援するための鍵となるソリューションとして、CE-IVD Oncomine Solid Tumor Fusion Transcriptキットの提供を欧州連合内にて開始したと発表しました。
この次世代シーケンシング(NGS)のための融合遺伝子検出キットであるOncomine Solid Tumour Fusion Transcriptキットは欧州連合から体外診断用としての承認を受けており、わずか10ナノグラムのRNAからALK、ROS-1、RET、およびNTRK1 遺伝子が関与する融合遺伝子を検出することができます。主に肺がんを対象としていますが、また他の固形がんへの応用の可能性も有しています。本製品は日本の近畿大学医学部ゲノム生物学教室の西尾和人教授を含む、臨床検査室への次世代シーケンシング技術の導入に関して長年の経験を持つ専門家が10カ国から参画するOncoNetwork Consortiumの臨床研究者らによる検証を経ています。
融合遺伝子の原因となる遺伝子再構成は、がんバイオマーカーとして重要視されており、治療で標的とすることが可能な突然変異の対象としても適応の拡大が行われております。従来、幾数もの変異を検出するために臨床検査室では、それぞれ異なる遺伝子再構成を検出するよう作られた複数の検査が実施されていました。その他にも、実施が必要な病理学的検査もあるため、これらの検査を一つ一つ行なった場合、生検から得た腫瘍検体が検査の途中で消費されてしまい、対象となる変異の検出が出来なくなる可能性があるという大きなリスクが存在しました。
本製品はFFPE組織から必要とするRNA検体の量が1反応あたり10ナノグラムと少量であるため、より多くの患者さんに対して治療で標的となり得る突然変異に関する情報を提供するとともに、治療の指針策定のための有益な知見をもたらすことを可能とします。
ポルトガル、IPATIMUP Medical Faculty of PortoのJose Costa氏は、「この新しいCE-IVDキットは頑健であり、臨床検査室で容易に採用することが可能です。この包括的なコンテンツは患者の予後診断や治療指針決定に則して選択されており、結腸直腸および肺がん患者さんのための次世代の遺伝子検査です」と述べています。
サーモフィッシャーサイエンティフィックのオンコロジー担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーMike Nolanは、「このキットの提供開始によって、臨床分野のお客様にはそれぞれの腫瘍検体から複数の遺伝子再構成を検出することが可能になります。先に提供を開始したCE-IVD Oncomine Solid Tumour DNAキットと組み合わせて使用した場合、1回の手順でより無駄なく、塩基置換、挿入、欠失等の突然変異と同時に融合遺伝子の存在も特定することができます」。「Oncomine Solid Tumour Fusion TranscriptキットとOncomine Solid Tumour DNAキット、これら2つの新しいCE-IVD製品の発表は、各地域ごとの規制の進化に対応しながら、がん治療を進展させるお客様たちを支援してゆく当社の決意を形にしたものです。臨床分野のお客様のニーズに応え、高精度な医療の発展を支えるため、オンコロジー製品のポートフォリオを引き続き拡充してまいります」と述べています。
OncoNetworkについて
OncoNetwork Consortiumは以下の研究者により構成されています(敬称略、順不同)
ピエール・ロラン-プイグ氏(パリ第5大学、フランス、パリ)、セシリー・ヴォーン氏(ARUP- Institute for Clinical and Experimental Pathology、米国ユタ州)、ルドヴィック・ラクロワ氏(Institut Gustave Roussy、フランス、パリ)、 マージョリン・リーテンバーグ氏、バスチアーン・トップス氏(両者ともにラドバウド大学ニーメンゲン医療センター、オランダ)、クリス・ノッペン氏、ヘンリエッタ・クルト氏(両者ともにVIOLLIER AG、スイス、バーゼル)、ニコラ・ノルマノ(Centro Ricerche Oncologiche Mercogliano、イタリア、アッヴェリーノ)、アルド・スカルパ氏(ARC-NETベローナ大学、イタリア)、イアン・クリー氏 (ウォーウィック大学医学部、英国)、オーラ・シールス氏(トリニティ・カレッジ、アイルランド ダブリン)、ホセ・カルロス・マチャド氏(クイーンズ大学、カナダ、オンタリオ州)、ホセ・コスタ氏(IPATIMUP Medical Faculty of Porto、ポルトガル)、西尾和人氏(近畿大学医学部、日本、大阪)
Thermo Fisher Scientific (www.thermofisher.com) について
Thermo Fisher Scientific Inc. (NYSE:TMO) は、170億ドルの収益と世界50 ヵ国に 50,000 人の従業員を擁する、世界をリードする科学サービス企業です。私たちのミッションは、私たちの住む世界を「より健康で、より清潔な、より安全な場所」にするために、お客様へ製品・サービスを提供することです。私たちはお客様がライフサイエンス研究をさらに加速させ、分析における複雑な課題を解決し、臨床診断を向上させ、研究室の生産性を高めることを支援します。当社の強力なブランド、Thermo Scientific、 Applied Biosystems、Invitrogen、 Fisher Scientific およびUnity Lab Servicessは、革新的な技術、購入における利便性、包括的なサポートについて、他に類を見ない組み合わせをご提供します。
この件に関する報道関係者お問い合わせ先:
サーモフィッシャーサイエンティフィック
ライフサイエンスソリューションズ
井川 敦子
03-6832-9446
atsuko.igawa@thermofisher.com