質量分析計を搭載した高速液体クロマトグラフを、クラスI医療機器として国内販売開始

~研究利用から、医療診断へ用途拡大~

2015年8月31日

サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:イアン・マイケル・スミス / Ian Michael Smith)は、質量分析計を検出器とする高速液体クロマトグラフィ分析装置を、名称『プレリュード MD』として、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へのクラスI医療機器登録を完了し、日本国内向けに販売を開始しています。この度、9月2日(水)から9月4日(金)まで幕張メッセ国際展示場にて開催される「JASIS 2015」にて、プレリュード MDを日本国内で初めて紹介します。


クラスI医療機器『プレリュード MD』高速液体クロマトグラフ

サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社は、サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッドが米国カリフォルニア州サンノゼ工場で生産しているThermo Scientific™ Prelude MD™(高速液体クロマトグラフ)とThermo Scientific™ TSQ Endura MD™(トリプル四重極質量分析計)を組み合わせたシステムを、日本国内でクラスI医療機器プレリュード MDとして登録し、販売を開始しています。
同工場は研究用途の質量分析計を製造する中核工場の1つで、2013年2月にISO13485認証を取得しています。2014年7月に米国食品医薬品局(FDA)のClass I医療機器として認可を受けたPrelude MDとTSQ Endura MDの製造を行っています。

プレリュード MDは、診断医療で求められるハイスループット性と簡便性を重視して設計されています。機能は以下のとおりです。

オンラインサンプル前処理機構
液体クロマトグラフ部分は2D-LC(2次元液体クロマトグラフ)構成となっており、1次元目のLCはThermo Scientific™ Turboflow™ テクノロジーを用いて除タンパク質処理を行うことができます。この技術では、低分子化合物のみを保持し、タンパク質のような大きな分子は保持しない性質を利用して、分析の精度や安定性に悪影響を及ぼすタンパク質をオンラインで除去します。保持された低分子化合物は移動相によって溶出し、2次元目の分析カラムに導入されます。
分析のスループットを高める並列分析機能
試料中の分析対象はLCによって分離され、質量分析計で分析されます。一回の分析時間のうち、分析対象物質が溶出している時間はごく短時間であり、その他の時間はカラムの洗浄やコンディショニングに費やされます。この時間がLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析)のハイスループット性を低下させる要因でしたが、プレリュード MDは2台のLCを内蔵しており、それぞれのLCが適度な時間差をもって平行して作動します。2台のうちの一方が分析している間に、もう一方が洗浄、コンディショニングを実行する、という動作をするため、実質的な分析時間を短縮します。2台のLCは完全に独立しており、同じ検査項目でも、異なる検査項目でも設定可能です。
堅牢性を高めた質量分析計
臨床検査において、検体の汚れによる検査値の誤差の発生、分析の中断を避ける必要があります。質量分析計はイオン源の堅牢性を重視し、臨床検査現場の多検体ルーチン分析に適した設計です。
臨床検査に特化したソフトウェア
操作ミスを回避するために、管理者、分析者の権限管理機能を搭載しています。また、検査項目、解析、レポートフォーマットを1つのテンプレートとして登録でき、テンプレートを選択するだけで分析を実行することができます。