【プレスリリース】次世代シーケンスを用いたコンパニオン診断開発に合意

~非小細胞肺がん向けの汎用的な遺伝子検査により、数々の創薬プログラムを支援~

2015年12月8日

米国カリフォルニア州カールスバッド(米国現地時間2015年11月18日) – 科学分野で世界をリードするサーモフィッシャーサイエンティフィックは、次世代シーケンス(NGS)によるマルチマーカーを対象とした汎用的な腫瘍の遺伝子検査の開発と商用化について、Novartis社およびPfizer社と長期にわたる協定を締結しました。今後当該検査が非小細胞肺がん(NSCLC)の領域において、数々の創薬プログラムに対するコンパニオン診断(CDx)としての役割を果たしていきます。

多くの製薬企業が従来の細胞障害性抗がん剤による治療から標的治療へと方向転換するなかで、プレシジョン・メディシンを進展させるために、がん患者と特定の候補薬剤をマッチングさせる実用的な方法が求められています。NGSにより、一つのサンプルから複数の遺伝子を同時に検査し、固有の遺伝子プロファイルを同定することが可能です。この情報は、複数の候補薬剤から適切な治療法を選択する際の指針として利用することができます。

当該企業間の開発協定で採用された効率的な個別化の手法は、リスクの階層化およびテーラーメードの治療に的を絞ったアプローチを通じて、安全性、有効性、患者の健康の向上を実現する可能性があります。また、この共同研究は汎用の検査手法に重点を置いているため、複数の新しいNSCLC薬剤の開発や登録、適応症の追加が加速される可能性もあります。その結果、患者が標的をより絞った治療を受けやすくなり、適切な臨床試験ができるだけ迅速に実施されるという最終的な目標の達成に近づくことができます。

「この共同研究にはとても期待しています。このテクノロジーにより、将来、さらに適切な臨床試験や治療法を患者に適用することができるようになるでしょう。これは腫瘍の遺伝子変異型が一般的ではない患者にも当てはまります。当社の成長分野である肺がん関連製品の一部としてこの新しいテクノロジーを活用し、患者の皆様の予後をより良好な状態にできるよう願っています」とノバルティス・オンコロジー事業部のグローバル開発およびメディカルアフェアーズ責任者であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva, MD)は述べています。

また、Pfizer社の診断および世界的な研究開発のディレクター兼統括責任者であるHakan Sakul博士は、「この共同研究により、がん患者が腫瘍の遺伝子プロファイルに関連した標的治療の恩恵を受けられるようになるという目標に近づくことができる、と信じています。サーモフィッシャーのNGSパネルは、当社の臨床開発プログラムの多くと連携でき、標的にすることが可能な遺伝子変異のあるNSCLC患者のために、新しい治療法をいち早く開発するチャンスを与えてくれます」と述べています。

NSCLC向けの、NGSに基づくコンパニオン診断検査は、サーモフィッシャーのイオントレント Ion PGM DxとOncomineアッセイを用いて開発する予定です。NGSプラットホームとOncomine試薬を両方使用することで、Ion AmpliSeqテクノロジーを最大限に活用することができます。それにより、何百もの遺伝子の配列を同時に解析し、短時間で高い再現性を得ることができます。独自の性能として、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用いた場合に必要とされるDNA・RNAサンプルはごく少量(1回の反応に必要な核酸の量は、10ng)であるため、Ion Torrentをベースとする配列解析プラットホームと試薬により、より広範な種類の腫瘍サンプルの配列を包括的に解析することができます。そのため、FFPE組織から採取した試料や穿刺吸引した試料のように、量が限定されていたり質が劣っていたりしても対応可能です。NGSパネルは、広範な種類のがんに関連する腫瘍マーカーを取り入れた、ユニバーサルプラットホームとなる予定です。このプラットホームを使用することにより、将来、新たな臨床適応症を既存の薬剤に加えたり、別の適応症を目的として新しい治療法を開発したりできるようになります。

サーモフィッシャーのライフサイエンスソリューションズ プレジデントであるMark Stevensonは、「この度の協定により、一つの薬剤に対し一つの検査を行う従来の手法から、複数のNSCLC治療法のために一つの検査を行う手法へと、パラダイムシフトがもたらされる可能性があります。これは、プレシジョン・メディシンの実現に向けての大きな前進です。実現可能性のある新しいNGS検査手法の開発に注力し、これからのがん治療を進展させるため、現在進行中のNovartis社、Pfizer社との共同研究が強固なものになるよう期待しています」と述べています。


本リリースは、サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッドが、2015年11月18日(米国現地時間)に発表したプレスリリースの抄訳です。英文プレスリリースは、http://news.thermofisher.com/press-release/life-technologies/thermo-fisher-scientific-signs-development-agreement-next-generation をご参照ください。

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