Thermo Scientific HeSaver-H2Saferインジェクターによるコストとヘリウムの削減量を試算する

Thermo Scientific iConnect SSLインジェクターモジュール用のThermo Scientific HeSaver-H₂Saferキットは、独自の特許取得済みテクノロジーであり、ヘリウムガスを常時節約します。ヘリウム（または水素）キャリアガスは分析カラムへの供給のみに使用し（数mL/min）、ガス消費量の大部分を占めるサンプル分割には窒素を使用するようにします。

HeSaver SSLテクノロジーによるエネルギー節約は、使用するメソッドおよび各メソッドで用いる分割フローによって異なります。標準的な条件下において、HeSaver-H2Saferテクノロジーはガスを72%節約し、シリンダー寿命を3.5倍延長します。

SSL用HeSaver-H₂Saferテクノロジーはキャリアガス消費量の大幅な削減をもたらします。Thermo Scientific Trace 1600 GC-MSに搭載されている任意のiConnectスプリット／スプリットレス（SSL）インジェクターモジュールは、自己インストール可能なキットを用いることで簡単にアップグレードすることができ、HeSaver-H₂Saferインジェクターとして使用できます。このテクノロジーは、ヘリウムと水素（メソッドで使用しているキャリアガスによる）の両方のキャリアガス総消費量を大幅に削減します。ここでは基本的に、貴重なキャリアガスの使用はカラム供給だけに限定し、ガス消費量の大部分を占めるセプタムパージとスプリットフローの維持にはより安価なガスを使用します。

ヘリウムセーバーテクノロジーは感度にはまったく影響しません。ダイオキシン分析の許容基準としては、定量化と確認イオンの保持時間許容差が0.001分以内であること、イオン比が15%以内であること、平均相対応答時間が20%以内であることなどが挙げられます。これらの基準は、ヘリウムセーバーテクノロジーによってすべて満たされています。

キャリアガスの役割は、サンプルの完全性を維持しながら、迅速な分離と分析を可能にすることです。スタンドアロンのガスクロマトグラフ用途でのヘリウムの代替としてもっとも推奨されるオプションは水素です。その理由は短時間で非常に高い効率が得られるからです。

水素は非常に強力で、ヘリウムよりも安価なキャリアガスです。また再生可能であり、水素発生器を用いてオンサイトの生成ができるため、ラボでの利用も簡単です。クロマトグラフィーの観点からは、低い粘度と高い拡散性を有しており、より短い分析時間で高い分離効率がもたらされます。これは短くて内径の小さいカラムと組み合わせる場合に理想的なガスです。水素は、FIDその他の従来的な検出器と適合性があります。HeSaver-H₂Saferテクノロジーで水素を扱えば、安全上のリスク（スプリット比が高い場合でも）やホットインジェクターでの副反応の可能性が排除されます。

HeSaver-H₂Saferテクノロジーでは、水素がGCオーブン内に蓄積する可能性に起因した安全上のリスクが排除されます。最大流量が制限されているため、仮にカラムが破損した場合でも、キャリアガスが危険な濃度に達する可能性はありません。また、スプリットラインやパージラインを通じて水素が大気中に放出されることはなく、ホットインジェクターでのサンプルとの相互作用もありません。

通常のスプリット／スプリットレスを使用した場合との比較で、ヘリウムセーバーはヘリウム使用量を7.5倍節約できます。年中無休で24時間態勢の分析を行うラボを想定すると、ヘリウムシリンダーの寿命は、通常のスプリット／スプリットレス方式では3カ月なのに対し、1.8年にもなります。これにより、リソースとコストの大幅な節約がもたらされます。