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以下の表に示されているように、ほとんどの微量金属分析において、一般的にプラスチックのほうが他の材質よりも「清潔」で、汚染は少なくなります。ただし、プラスチックには特定の金属が微量レベルで含有されています。低レベルの汚染の可能性を最小限に抑えるため、このような金属は除去するか、1N HClに浸して蒸留水ですすぎ、プラスチックから浸出させます。極めて高い正確性が要求される作業の場合はまずHClを使用し、その後1N HNO3に浸し、蒸留水ですすぎます。浸漬時間は個別のニーズに応じて変化しますが、プラスチックは8時間を超えて浸漬させないでください。さらに厳格な洗浄が要求される場合は、使用する酸の濃度を上げます。注意: 高濃度の硝酸は強い酸化剤であるため、多くのプラスチックを脆くしてしまいます。
微量金属の吸収につながる微量有機物を取り除くには、アルコール、アルカリ、アルコール性アルカリ溶液、またはクロロホルムでプラスチックの表面を洗浄します。また、最後に1N HClをすすぐことで、微量元素の吸収が最小限に抑えられます。
Thermo Scientific™ Nalgene™遠心分離用チューブおよびリルーサブルなフィルターウェアで使用されているポリサルフォン(PSF)という樹脂は、極めて高い「洗浄性」を誇ります。以下に示す適格性試験は、ロードアイランド大学海洋学大学院(URI-GSO)で遠心分離用チューブに対して実施されたものです。
URI-GSOでは、大気エアロゾルと遠洋の海水に含まれる微量金属の濃度を特定しています。太平洋に流れ込む重金属などの微量元素を測定しており、対象となる物質は、殺虫剤、石油、プラスチックの残留物や、天然および人工の有機物、さらには酸性雨の原因となる化合物です。サンプルに含まれる微量金属の濃度は極めて低いため、使用するラボウェアの洗浄性が極めて高い必要があります。これは、容器やろ過器具からサンプルに汚染が浸出するのを防ぐためです。また、逆にラボウェアがサンプル溶液から金属を吸着してはなりません。問題になるラボウェアには、フィルターホルダーが含まれます。これは、海水サンプルからさまざまな微量金属を抽出する手順で使用します。
洗浄には、以下の手順が使用されています。
このクリーニング手順は、URI-GSO, J.R. Moody and R.M. Lindstrom Analytical Chemistry 49:2264 (1977)で使用されている手順と、カリフォルニア工科大学の教員との会話から作成されました。
試験には、以下の手順が使用されています。
分析は、ゼーマン法補正法を利用するHGA 5000を装備したPerkin Elmer 5000で、原子吸光分光光度法によって実行しています。使用されている標準試料は、NBS(National Bureau of Standards)にまで遡ることができます。
分析結果と結論は以下のとおりです。
(1)1N石英再結晶化 HNO3の金属濃度はほとんど検出されない(アルミニウム、銅、鉛は100億分の1、亜鉛は1000億分の1など)ほど低いため、これら4種類の金属が、洗浄したポリサルフォンから溶液に浸出する量は取るに足らない程度であることがわかります。
(2)10億分の1のアルミニウム、銅、鉛、亜鉛の各溶液には、それぞれ実験誤差の範囲内で、10億分の1のアルミニウム、銅、鉛、亜鉛が含まれるため、ポリサルフォンが、これらの金属を酸性化溶液から吸着することはないことがわかります。
アルミニウム、銅、鉛、亜鉛の分析は、2段階の抽出手順で構成されています。まず、有機錯化剤を使用した「液体/液体」抽出により、銅、鉛、亜鉛を取り除きます。次に、水酸化鉄共沈法を使用します。海水に硝酸鉄を加え、pHを調整します。残りの混合物から、水酸化鉄とアルミニウムがろ過されます。この処理に、PSFを成型したNalgene再使用可能フィルターホルダーが使用されています。
材質 | 元素数 | 合計濃度(ppm) | 主要成分 |
---|---|---|---|
PS | 8(8 N.D.) | 4 | Na、Ti、Al |
PSF | 16(12 N.D.) | 17 | Na、Fe、Ca |
TFE | 24 | 19 | Ca、Pb/Fe、Cu |
LDPE | 18 | 23 | Ca、Cl、K |
PC | 10 | 85 | Cl、Br、Al |
PMP | 14 | 178 | Ca、Mg、Zn |
FEP | 25 | 241 | K、Ca、Mg |
PVCチューブ | 9 | 280 | Fe、Zn、Sb |
PP | 21 | 519 | Cl、Mg、Ca |
HDPE | 22 | 654 | Ca、Zn、Si |
ETFE | 32 | 1.007 | Cl、Pb、Si |
硬質PVC | 7(11 N.D.) | 2.541 | Sn、Ca、Mg |
ホウケイ酸ガラス | 14 | 497,249 | Si、B、Na |
プラスチック製ラボウェアの洗浄には、非アルカリ性洗剤の使用をお勧めします。特にポリカーボネート製の製品はアルカリに浸食されやすいため、注意してください。
Nalgene L900液体洗剤(カタログ番号900-4000)は、すべてのプラスチックおよびガラス製品を中性 pH で洗浄するように設計されています。通常は5%水溶液で十分ですが、頑固な残留物やひどく汚れたラボウェアを洗浄する場合は20%まで濃くすることができます。汚れが軽微から通常の製品については、洗浄機でL900洗剤を使用することができます。
洗剤にラボウェアを最大3時間浸し、布またはスポンジで丁寧に洗います。汚れの激しい製品の場合は、濃度が5~20%の水溶液に4時間以上浸してから洗います。水道水ですすいでから、蒸留水ですすぎます。
多くの場合、中性洗剤で洗浄することでグリースとオイルが除去されます。さらに厳格な洗浄が要求される場合は、有機溶媒を注意しながら使用することができます。このような溶媒に長時間さらしておくと、ポリオレフィンが膨張する原因となる場合があります。ラボウェアを使用する前に、すべての溶媒を洗い流してください。PC、PSF、PS、PVCには、アルコールだけを使用してください。その他の有機溶媒は、これらのプラスチックを浸食します。また、アクリルには有機溶媒を使用しないでください。
ラボウェア洗浄機はほぼすべての樹脂に対して使用できますが、LDPE、アクリル、PSは温度に対する制限があるため、使用できません。
ポリカーボネート(PC)に関する特記事項:ディッシュウォッシャーで繰り返し洗浄すると、PCの優れた強度が損なわれます。PCラボウェアに高い圧力をかけた場合(遠心力をかけた場合や真空チャンバーで使用した場合など)は、必ず中性pHで研磨剤や被覆剤を含まない洗剤(Nalgene L-900など)を使用して手洗いする必要があります。
ディッシュウォッシャーのサイクル時間は最小に保持します。プラスチック用のサイクルを使用し、水温は135°F(57℃)以下に設定します。ラボウェアは、冷却が完了したらすぐに取り出してください。また、金属製のスピンドルをプラスチックチューブなどの柔らかい材質で覆い、プラスチックの過度な摩耗を防ぎます。プラスチック製のラボウェアは沈めておき、アクセサリラックを使って所定の位置に保持してください。
ラボウェアがトランスデューサーのダイアフラムに直接取り付けられていない場合は、超音波洗浄器を使って洗浄することができます。
有機物はクロム酸溶液によって除去されますが、結果的にプラスチックを脆くしてしまいます。脆化を最小限に抑えるため、プラスチックは4時間以上浸さないでください。洗浄剤としては、以下のように作成した溶液が推奨されます。
この溶液は、沈殿物という形で余分な二クロム酸を作り出すことを目的としたものです。これにより、クロム酸の実質的な有用寿命が延び、必要に応じて溶解できます。このクロム酸溶液は、緑色に変色し始めるまで繰り返し使用できます。緑色は、有効性の低下を示します。この溶液で堆積する二クロム酸により、市販の溶液よりも耐用年数が大幅に長くなります。
有機物の除去には、次亜塩素酸ナトリウム溶液(漂白剤)も有効です。室温で使用してください
RNaseはRNAを分解する酵素で、DNaseはDNAを分解する酵素です。これらは、ヌクレオチドの調査に干渉する汚染物質となります。DNase は、121℃で15分間オートクレーブするか、以下のいずれかの手順に従うことで破壊できます。また、以下の一つまたは複数の手法を使用することで、プラスチック製コンテナからRNaseが抑制または除去されます。Nalgeneコンテナ底部の樹脂コードに該当する手法を確認してください。
プラスチック製 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
樹脂 | (加熱) | (すすぎ) | (浸漬) | (浸漬) | (浸漬) | コメント |
ETFE | X | X | X | |||
FEP | X | X | X | X | X | |
HDPE | X* | X | X | X | 100℃まで20数分間加熱します | |
LDPE | X* | X | X | X | 70℃まで120数分間加熱します | |
PC | X* | X* | ||||
PETG | X | X | X | 一晩で60℃に加熱します | ||
PFA | X | X | X | X | X | |
PP/PPCO | X* | X | X | X | ||
PMP | X* | X | X | X | ||
Barex | X | X | ||||
HIPS | X | X | X | 70℃まで120数分間加熱します | ||
PVC | X | X | X | 一晩で60℃に加熱します | ||
TPE | X | X | X |
* すすぎのみ、長時間触れないこと
**化学的浸食を最小限に抑えるため、しっかりとすすぐ
***DEPC-treated Water水にDEPCを0.1%加え37℃で少なくとも12時間放置します。次に、水を100℃に15分間加熱するか、121℃( 250° F)で15分間オートクレーブします。
1 Sambrook, J.; Fritsch, E.F.; Maniatis, T.; "Extraction and Purification of RNA''; Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition; 7.3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)
2 注意:DEPCは発ガン性の疑いがあるため、取り扱いには注意してください。DEPC溶液は、目、粘膜、皮膚に対して刺激性があります。
3 Titus, David E.; Nucleic Acid Detection, Purification and Labeling; Rapid Isolation of Total RNA; PROMEGA Protocols and Applications Guide, Second Edition; pp. 125-126, 203; Promega Corporation (1991)
Thermo Scientific™ Nalgene™ L900液体洗剤は、製薬、医療、研究、学術、バイオテクノロジー、環境などのラボ用途で使用するガラス製およびプラスチック製ラボウェアの手洗いおよび自動洗浄機で推奨されています。特にポリカーボネートに対する使用に適しており、アルカリ性洗剤のように曇りや応力亀裂、ひび割れの原因になることがありません。
阻害残留物試験の結果は、L900液体洗剤の残留物による毒性や阻害効果がないことを示しています(プレート上の平均カウントの差異は、Standard Methods 18th editionに記載されている15%未満でした)。L900界面活性剤によりアルカリや酸性の残留物が残っておらず、pHによる影響がないことを示しています。pHは6~7です。
注:冷凍しないでください。
オーダー情報:4リットルサイズ、4ケースごと、カタログ番号900-4000
手洗いの場合:
自動洗浄機の場合
検査のガイドライン
毎回使用する前に、遠心分離用チューブとボトルを丁寧に検査します。
遠心分離用容器には回転中に高い遠心力がかかるため、破損につながる場合があります。ラボの安全基準では、毎回使用する前にすべての遠心分離用容器を検査することが求められています。プラスチック製の遠心分離用容器は検査が容易で、特別な器具を必要としません。はじめは、プラスチックへの過剰な応力の影響として、曇りや変色、あるいは「ひび割れ」が発生する場合があります。小さなひび割れは、明るい照明の前でチューブを斜めにすると確認できます。ひび割れが発生したチューブをそのまま使い続けると、さらに大きな亀裂に発展したり、破損したりします。肉眼でも亀裂を容易に確認できるようになったら、チューブを廃棄してください。
ローターのバランス
ローターのバランスと取り扱いの方法については、遠心分離機の取扱説明書を参照してください。適切なローターの取り扱い、洗浄、バランスは非常に重要です。プラスチックは種類ごとに密度が異なるため、異なる形状や材質のチューブとボトルをローターにランダムに配置しないでください。また、適切な性能を発揮できるように、特に指定がない限り、すべての遠心分離用容器には容量の80%以上を充填してください。
ディスポーザブルチューブ
使い捨ての遠心分離用容器は、1回使用したら廃棄してください。注記:有害物質を取り扱う場合は、廃棄する前にチューブを汚染除去してください。再使用可能なNalgene遠心分離用容器を洗浄する場合は、以下の手順に従うことをお勧めします。
滅菌
PP、PPCO、PMP、FEP、ETFEの各製品は、通常の条件(121℃/15 psig(1.02 bar)で15分間のサイクル)で繰り返しオートクレーブできます。PCおよびPSFの各製品もこのような条件でオートクレーブできますが、オートクレーブによって構造上の強度が劣化するため、使用可能な製品寿命が短くなります。PCまたはPSF製品をオートクレーブする場合は、上記の「検査のガイドライン」に従ってください。Nalgene遠心分離用容器をオートクレーブする場合は、以下のガイドラインに従います。
室温では樹脂に対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があります。具体的な化学薬品と樹脂については、遠心分離用容器耐薬品性チャートを参照してください。すべてのNalgene遠心分離用容器は、エチレンオキシドガスまたは対応する化学殺菌剤で滅菌処理することもできます。
化学物質の影響
化学薬品は、プラスチック部品の強度、柔軟性、表面の状態、色、サイズ、重量に影響することがあります。また耐薬品性は、温度、経過時間、さらされる頻度、化学薬品の濃度、遠心力による影響を受けます。化学薬品にさらされたことを原因とする物理的な変化としては、以下のものが挙げられます。
具体的な材質に関する情報については、遠心分離用容器耐薬品性チャートを参照してください。
Nalgene 遠心分離用容器の非破壊性に関する注記:
Nalgene遠心分離用容器およびボトルは、ローターに適切に取り付け、耐薬品性、温度制限、該当する遠心力の定格、クロージャーの使用、洗浄、オートクレーブに関する当社の推奨事項に従って使用している限り、破損したりひび割れを起こしたりすることはありません。制限を超えている場合は、遠心分離中にチューブまたはボトルの不良(ひび割れや破損など)が発生する場合があります。ただし、ガラスとは異なりNalgeneチューブまたはボトルは粉々に割れることがないため、ユーザーや装置に対するリスクを最小限に抑えることができます。
推奨されるオートクレーブサイクルは121℃、15 psig(1 bar)で20分間です。
汚染物質がプラスチックの表面に焦げ付くことを防ぐため、オートクレーブする前に、すべての製品を慎重に洗浄する必要があります。洗浄後は、オートクレーブする前に、すべての製品を蒸留水でよくすすぐ必要があります。室温ではプラスチックに対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があるため、取り除く必要があります。
洗剤や湿潤性溶液を入れたコンテナ(フッ素ポリマー製のものを除く)はオートクレーブしないでください。
プラスチックの熱伝導速度はガラスや金属よりも遅いため、オートクレーブ時は、滅菌温度に到達するまでにかかる時間が長くなる場合があります。また、プラスチックと無機金属の熱伝導特性の違いから、プラスチックコンテナの内容物が滅菌温度(121℃)に到達するまでにかかる時間が長くなる場合があります。そのため、大容量のプラスチックコンテナに入っている液体については、長時間のオートクレーブサイクルが必要になります。適切なサイクル時間は、具体的な液体とコンテナの組み合わせに関する経験で判断するしかありません。
ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン共重合体、Teflon* ETFE、Tefzel*、PFAは、121℃、15 psigで繰り返しオートクレーブできます。確実に滅菌するため、各サイクルは15分以上にする必要があります。
ポリカーボネート製品はオートクレーブ可能です。ただし、洗剤が残留しているとひび割れや曇りの原因となるため、オートクレーブの前によくすすぐ必要があります。また、オートクレーブサイクルは121℃で20分間に制限してください。PCは、繰り返しオートクレーブすると機械的強度が損なわれるため、遠心分離などの高応力用途では正常に機能しなくなる場合があります。そのため、当社のPC真空チャンバーは、「オートクレーブ不可」として扱われています。
注意:ポリカーボネートには、強アルカリ性の洗剤を使用しないでください。また、プラスチックを腐食し、製品の不具合の原因となる可能性があるアルカリ性の化学添加物を含むボイラー蒸気を使用しないでください。
TeflonおよびTefzelはDuPont*の登録商標で、Nalge Nunc* International Corporation*のライセンスのもとで使用しています。
アセタール製品は、推奨設定でオートクレーブ可能です。ただし、アセタールはオートクレーブ時にホルムアルデヒド臭を放出するため、適切な換気を行う必要があります。次の文章は、カリフォルニア州の安全飲料水および毒性法1986の警告に準拠しています。オートクレーブを行うと、この製品はホルムアルデヒドを放出することがあります。ホルムアルデヒドはカリフォルニア州で発がん性物質として知られています。
ポリサルフォン製品はオートクレーブ可能です。ただし、ポリカーボネートほどではありませんが、繰り返しオートクレーブすることである程度劣化します。ポリサルフォン製品を繰り返しオートクレーブすると、高速遠心分離などの高応力アプリケーションでは不良につながります。
Nalgene PVCチューブはオートクレーブ可能ですが、エチレンオキシドまたは化学殺菌剤の使用が望ましい手法です。オートクレーブする場合は、次のガイドラインに従ってください。
Nalgeneシリコンチューブは、121℃で30分間オートクレーブでき、モスリン布で15 psig、または滅菌ペーパーで滅菌できます。
ポリスチレン、ポリ塩化ビニール(PVCチューブを除く)、スチレンアクリロニトリル、アクリル、低密度/高密度ポリエチレンおよびポリウレタンの各プラスチック製のラボウェアは、どのような条件でもオートクレーブできません。
ガス
ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン共重合体、Teflon ETFE、Tefzel FEP、PFA、ポリカーボネート、アセタール、ポリサルフォンの各製品と、PVCおよびシリコンのチューブは、ガス滅菌(エチレンオキシド、ホルムアルデヒド)できます。製品を再使用する前に、特定のアプリケーションに適した曝気時間だけ放置してください。
TeflonおよびTefzelはDuPontの登録商標で、Nalge Nunc International Corporationのライセンスのもとで使用しています。
化学殺菌
一般的に、前述のすべてのプラスチックには、一般的に使用されている殺菌方法 (第 4 級アンモニウム化合物、ヨードフォア、ホルマリン、塩化ベンザルコニウム、エタノールなど) を実施できます。ただし、化学的な浸食性の高い殺菌剤を耐性の低いプラスチック(PS、SAN、PVC、PC、アクリル)に対して長時間使用すると、表面が浸食される(ひび割れが発生する)場合があります。
乾式加熱
乾式加熱滅菌が推奨されるのは、ACL(アセタールまたはポリオキシメチレン)、Halar ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体)、EFTE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、Teflon FEP(フッ化エチレンプロピレン)、PPCO(ポリプロピレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、Teflon PFA(パーフルオロアルコキシ)、PMP(ポリメチルペンテン)、PP(ポリプロピレン)、Teflon TFE(テトラフルオロエチレン)だけです。各樹脂の最大温度および各温度での最小滅菌時間は、以下の表に示すとおりです。
TeflonはDuPontの登録商標で、Nalge Nunc International Corporationのライセンスのもとで使用しています。
乾式加熱滅菌
樹脂 | 温度 | 時間 |
---|---|---|
FEP、PFA、PMP*、TFE | 170℃(338° F) | 60 分 |
PSF | 160℃(320° F) | 120 分 |
ECTFE、ETFE | 150℃(302° F) | 150 分 |
140℃(284° F) | 180分 | |
ACL、PPCO*、PC、PP* | 121℃(250° F) | 一晩 |
* 荷重なし、積み重ねなし
電子レンジでの加熱
一般的に、すべてのプラスチックはマイクロ波を通します。よく使用されるプラスチックの中でマイクロ波の透過率が最も高いのは、PMPおよびPSFです。PMPおよびPSFの化学的および温度の耐性が、加熱する物質に対応する場合に使用することをお勧めします。酸や溶媒などの侵食性化学物質を加熱する場合は、通気が非常に重要であるため、フッ素ポリマーを使用してください。電子レンジでボトルまたはコンテナを加熱する場合は、クロージャーのねじを完全に外しておいてください。
Nalgeneラボウェアの無菌性はどのように保証されているか?
一部のNalgeneラボウェアは組み立て後に滅菌および検査が行われており、パッケージが開封または損傷していない限り無菌性が保証されています。エチレンオキシドガスとガンマ線照射の2つの滅菌方法が使用されます。当社のディスポーザブルろ過製品は医療機器として分類されていませんが、United States FDA Medical Device Act of 1976で定められた製造管理および品質管理に関する基準(GMP)に従って滅菌されています。また、滅菌方法のガイドラインとして、米国医療機器協会(AMMI)が推奨する慣行が使用されています。
Nalgene製品で使用されているインジケータドットでは、滅菌時に不可逆の色変化が発生し、エチレンオキシドガス(EtO)またはガンマ線照射に固有です。紫のEtOドットは、製品が適切に処理されている場合は緑色に変化します。黄色のガンマドットは、製品が適切に曝露されている場合は赤色に変化します。
エチレンオキシド
エチレンオキシド(EtO)は、低い温度と圧力が求められる状況(滅菌する物質をオートクレーブできない状況)で使用されます。ラボウェアは、温度、湿度、圧力が慎重にコントロールおよび監視されたチャンバーでEtOにさらされます。EtO手順の結果は、3つの方法を使用して評価します。パッケージの外部的なカラーインジケータはガスへの曝露を示すものであり、無菌性を示すものではありません。無菌性の評価には、生物学的インジケータが使用されます。これらの指標は細菌性胞子の耐性菌で、通常はバチルスsubtillis var. nigigerで、増殖しないとEtOサイクルの有効性が示されます。滅菌試験は、滅菌プロセス後にフィルターウェアで実行する場合があります。生物学的インジケータと同様に、無菌性は微生物の増殖がないことで確認します。EtOによる滅菌後は、すべての試験結果がわかるまでラボウェアが隔離されます。この隔離期間は7~14日間であり、EtOと残留物の放出期間としても十分です。Nalgeneラボウェアは、このような残留物の存在について定期的に評価され、そのレベルはFDAが定めた埋め込み型医療機器の推奨制限を十分に下回っています。EtOで滅菌されるNalgeneラボウェアは、滅菌フィルターユニット、分析フィルターユニット、フィルターロートなどです。
ガンマ線照射
この工程では、ラボウェアがコバルト60を線源とする高エネルギーの電離ガンマ放射線に室温で曝露されます。この工程により、毒性を持つ可能性がある残留物が存在しないことが絶対的に保証されている状態が示されます。ただし、実験手順に影響する微量の物質が存在する可能性はあります。製品の無菌性は、メガラド(Mrad)という測定単位で示される累積の放射線吸収線量によって達成されます。線量レベルは、汚染微生物数の測定や無菌性試験など、プロセス検証の線量実験によって選択されています。製品の無菌性は、指定された最小線量が製品に照射されていることを確認して出荷判定すること(ドジメトリックリリース)によって保証されています。ガンマ線照射によって滅菌されているNalgeneラボウェアは、すべての細胞培養フィルターユニット、フィルターユニットレシーバー、PETGボトルおおよびカーボーイなどです。
その他の試験
すべてのNalgene滅菌ラボウェアは、以下の点について試験が行われます。
Nalgeneろ過製品については、実施する滅菌処理の種類にかかわらず、その他の複数の試験も行われます。これには以下のようなものがあります。
このような試験の詳細については、サーモフィッシャーサイエンティフィックのテクニカルサービスにお問い合わせください。無菌性および仕様への準拠を証明する書類は、書面による請求に基づいて提供されます。Quality Assurance Department, Thermo Fisher Scientific, Box 20365, Rochester, New York 14602-0365 USAにご連絡ください。また、technical.nalgene@thermofisher.comまで電子メールでご送付いただくこともできます。
1 当社の細胞培養ユニットで使用されているすべての物質(プラスチック製のハウジングやキャップなど)については、マウス繊維芽細胞L929細胞と、さらに感度の高いヒト2倍体肺細胞株WI-38の両方を使用して試験を行い、細胞無毒性が示されています。Guess, W.L., Rosenbluth, S.A., Schmidt, B., and Autian, J., Agar diffusion method for toxicity screening of plastics on cultured cell monolayers.J. Pharm.Sci.54:1, p 1545-7, 1965.
ほとんどの微量金属分析において、一般的にプラスチックのほうが他の材質よりも「清潔」で、汚染は少なくなります。ただし、プラスチックには特定の金属が微量レベルで付着します。低レベルの汚染の可能性を最小限に抑えるため、このような金属は除去するか、1N HClに浸して蒸留水ですすぎ、プラスチックから浸出させます。極めて高い正確性が要求される業務の場合はHClを使用してから1N HNO3に浸し、蒸留水ですすぎます。浸漬時間は個別のニーズに応じて変化しますが、プラスチックは8時間を超えて浸漬させないでください。さらに厳格な洗浄が要求される場合は、使用する酸の濃度を上げます。注意: 高濃度の硝酸は強い酸化剤であるため、多くのプラスチックを脆くしてしまいます。
微量金属の吸収につながる微量有機物を取り除くには、アルコール、アルカリ、アルコール性アルカリ溶液、またはクロロホルムでプラスチックの表面を洗浄します。また、最後に1N HClをすすぐことで、微量元素の吸収が最小限に抑えられます。
Nalgene遠心分離用チューブおよび再使用可能フィルターウェアで使用されているポリサルフォン(PSF)という樹脂は、極めて高い「洗浄性」を誇ります。以下に示す適格性試験は、ロードアイランド大学海洋学大学院(URI-GSO)で遠心分離用チューブに対して実施されたものです。
URI-GSOでは、大気エアロゾルと遠洋の海水に含まれる微量金属の濃度を特定しています。太平洋に入り込む重金属などの微量元素を測定しており、対象となる物質は、殺虫剤、石油、プラスチックの残留物や、天然および人工の有機物、さらには酸性雨の原因となる化合物です。サンプルに含まれる微量金属の濃度は極めて低いため、使用するラボウェアの洗浄性が極めて高い必要があります。これは、容器やろ過器具からサンプルに汚染が浸出するのを防ぐためです。また、逆にラボウェアがサンプル溶液から金属を吸着してはなりません。問題になるラボウェアには、フィルターホルダーが含まれます。これは、海水サンプルからさまざまな微量金属を抽出する手順で使用します。
感染性または毒性を持つ物質で汚染されたラボウェアは、作業領域から持ち出す前に適切に滅菌する必要があります。滅菌にはオートクレーブが望ましい手法ですが、特定のプラスチックに対して適切な任意の化学的消毒または加熱滅菌手法を使用することもできます(プラスチックの滅菌に関する記述を参照してください)。生体有害物質を含む廃液は、廃棄する前に必ず汚染除去してください。
生体有害物質および放射性物質の両方で汚染されたラボウェアは、まず滅菌する必要があります。放射性物質を除去する方法は、使用されている同位体、量、半減期、物質、溶解性によって異なります。非感染性/非毒性物質のルーチンの汚染除去では、まず消毒剤/洗浄剤に室温で24時間浸します。その後、蒸留水で何度かすすぎます。汚染除去の時間を短縮するには、洗浄剤の濃度と溶液の温度を向上させます。撹拌および非研磨物質による丁寧なこすり洗いも、このプロセスの時間短縮につながります。特に、PCを傷付けないように注意してください。放射性廃棄物および廃液は、必ず適切な方法で廃棄してください。
汚染されたラボウェアの取り扱いに関する詳細については、自社のバイオセーフティー/放射線安全性を担当する部門に問い合わせるか、『NIH Biohazards Safety Guide』、『Laboratory Safety Monograph』、『Radiation Safety Guide』を参照してください。