Search Thermo Fisher Scientific
Search Thermo Fisher Scientific
原理上、アッセイの標的またはプローブ成分に対して結合親和性のないタンパク質であれば、全てブロッキングに利用できます。しかし実際タンパク質は、非特異的部位(別称:反応性部位)へ結合しやすいことから、もしくは他システム成分を安定化させることから、タンパク質タイプに応じてパフォーマンスが異なります。つまり、全てのIHC実験で最適に機能する、万能型のタンパク質やタンパク質混合物というものは存在しません。そのため、特異的抗体、基質システムなどの所定組み合わせから最良結果を得るには、実験的テストが不可欠です。
主にIHCのブロッキング工程は、全てのサンプル調製の完了後、また一次抗体と共にサンプルをインキュベートさせる直前に実行されます。標準プロトコルでは、適切なブロッキングバッファを用いて、固定化、防腐処置、マウント化、清澄化、曝露化された状態のIHCサンプルを以下の条件下でインキュベートします:室温または4ºC 下いずれかで30分間から一晩実行;各抗体と標的抗原に特異的な最適化プロトコルに基づいて実行。標的抗原検出を妨害し得る過剰タンパク質を除去するには、ブロッキング工程後に十分に洗浄することが肝要です。
血清は、活性部位へ結合する抗体を送達することにより、アッセイで用いる二次抗体の非特異的結合を防ぎます。このことから、正常血清がブロッキング試薬として一般的になっています。しかし一次抗体種とは対照的に、二次抗体が生成された種由来の血清を必ず使用します。一次抗体種由来の血清は反応部位へ結合しますが、二次抗体は標的抗原へ結合した抗体だけでなく、こうした非特異的結合抗体を認識します。
サンプル中の全てのタンパク質をコーティングする用途に、血清だけでなく、0.1〜5%のウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチンまたは脱脂粉乳から作られた濃縮タンパク質バッファも一般に用いられています。この手法では、基本的に一次抗体が同族リガンドへの結合に関してタンパク質ブロッキングと競合します。一方抗体は、バッファタンパク質よりも非特異的エピトープに対する結合親和性が低いため、非特異的結合が低減します。これらのバッファは研究者ご自身の手でも簡単に作製できるものの、最良結果を得るためバッファ作製は使用直前に行う必要があるため、IHC染色にかかる時間や作業量が増えてしまいます。
抗体処理の調製時にサンプルをブロックするには、既製ブロッキングバッファもご利用できます。これらのバッファには、高精製濃縮の単一タンパク質または弊社製のタンパク質不含の化合物が含まれています。市販ブロッカーを利用するメリットとして、ゼラチンやカゼインより高性能なオプションが多数用意されている点や、保存期間が向上している点が挙げられます。
名称 | 説明† |
---|---|
StartingBlock Blocking Buffers | 単一精製タンパク質;高速ブロッキング;幅広い用途に対応;ウェスタンブロッティングのストリッピングおよびリプローブが非常に優れています;(T20の有無に関わらず)PBSやTBSで利用可能 |
SuperBlock Blocking Buffers | 単一精製糖タンパク質;高速ブロッキング;幅広い用途に対応;乾燥防止のためプレートコーティングされた抗体を安定化;(T20の有無に関わらず)PBSやTBSで利用可能 |
Blocker BSA Blocking Buffers | PBSまたはTBSの精製ウシ血清アルブミン |
Blocker Casein Blocking Buffers | PBSまたはTBSの精製したカゼイン |
Blocker BLOTTO Blocking Buffer | TBS+脱脂粉乳タンパク質 |
Pierce Clear Milk Blocking Buffer | 弊社製溶液に入れられた、清澄化・安定化された乳タンパク質 |
Pierce Fast Blocking Buffer | 弊社製タンパク質TBS製剤;高速処理に特化したデザイン;高速ウェスタンブロッティングシステムの一環としてウェスタンブロットを5分間ブロッキング |
SEA BLOCK Blocking Buffer | スチールヘッドサーモン血清 |
Protein-Free Blocking Buffers | 弊社製の非タンパク質ブロッキング化合物;(T20の有無に関わらず)PBSやTBSで利用可能 |
†PBS=リン酸緩衝生理食塩水; TBS=トリス緩衝生理食塩水; T20=Tween* 20 Detergent
定義上ブロッキングバッファとは、バックグラウンド干渉を低減させ、シグナル対ノイズ比を改善することにより、アッセイ感度を向上させる効用を有しています。ブロッキングバッファは、非特異的相互作用の全潜在部位へ結合し、抗体結合エピトープを変更または不明瞭化することなくバックグラウンドを完全に排除するタイプが理想的と言えます。所定ブロット用ブロッカーには、抗原自体や使用する検出標識タイプに応じて適切なものを選択します。例えば、アルカリホスファターゼ複合体が用いられるアプリケーションでは、PBSはアルカリホスファターゼへ干渉するため、TBSブロッキングバッファを選択することが推奨されます。
特定イムノアッセイ用のブロッキング工程を適正に最適化するには、必ず実験的テストを行います。非特異的結合には、所定イムノアッセイ試薬類に特有なタンパク質間相互作用などの様々な要因が影響し得ます。ブロッカーを選択する際には、シグナル対ノイズ比を最も重点的に考慮すべきです。シグナル対ノイズ比は、標的分析物の非含有性サンプルから得るシグナルに対して、標的分析物の含有性サンプルから得るシグナルとして測定されます。サンプルのブロッキングが不十分であると、バックグラウンド染色が過剰となり、シグナル対ノイズ比を低減させる要因となります。しかし反対にブロッキングが過剰であると、抗体-抗原相互作用がマスクされたり、マーカー酵素が阻害されることから、こちらもシグナル対ノイズ比を低減させる要因となります。新たな標的抗原を調査する際や新たな抗体を使用する際、アッセイで生成されるシグナル対ノイズ比を最大限高めるには、必ず数種類のブロッカーをテストします。抗体-抗原の各ペアはそれぞれ固有の特性を有しているため、いかなる条件にも万能型のブロッキング剤というものは存在しません。
イムノアッセイ開発の際やブロッキングバッファを選択する際、以下の順に各バッファを用いてテストを行うとよいでしょう:
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.