細胞溶解液は、特定の細胞溶解アプリケーションに最適化された界面活性剤ベースのバッファーと試薬がセットになっています。生物種や細胞・組織が異なれば、効果的に細胞溶解やタンパク質抽出を行うためのバッファーもそれぞれ異なります。本ページでは、全細胞溶解やタンパク質抽出に用いる試薬の概要についてご紹介いたします。細胞分画や細胞小器官の単離に関する詳細は、サイドバー内のリンク先をご参照ください。

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界面活性剤を用いた細胞溶解

細胞膜の物理的破壊法に代わり、界面活性剤の細胞溶解液を用いた手法では容易に穏やかな溶解が行えます。ただし、通常は均質化法や機械的粉砕法と併用されます。界面活性剤は、タンパク質の可溶化や、脂質間・タンパク質間・タンパク質-脂質間などの各相互作用の効果によって細胞周囲の脂質バリアを破壊します。脂質などの界面活性剤は、自己会合して疎水性表面へ結合します。これらは、極性の親水性頭部基と非極性の疎水性尾部から構成され、頭部基の性質に応じてイオン性(カチオン性またはアニオン性)、非イオン性または両性イオン性のいずれかに分類されます。これらの各習性は、頭部基と尾部の特性に応じてそれぞれ異なります。

とはいえ、膜溶解用の界面活性剤を選択するための標準プロトコルは確立されていません。一般に非イオン性や両性イオン性の界面活性剤は、イオン性界面活性剤よりも穏やかで変性しづらい性質があります。また、酵素アッセイや免疫アッセイにおけるタンパク質機能を維持する用途や、天然のタンパク質間相互作用を保持する用途で、これらの界面活性剤を用いて膜タンパク質を可溶化することができます。一般にCHAPS、両性イオン界面活性剤、および非イオン性界面活性剤のTriton-Xシリーズは、こうした目的に使用されます。対照的にイオン性界面活性剤は強力な可溶化剤であり、タンパク質が変性しやすく、タンパク質の活性や機能が破壊されます。

サンプルタイプに応じて、細胞溶解用の界面活性剤を選択します。動物細胞、細菌および酵母は、細胞壁の有無に応じてそれぞれの最適溶解要件が異なります。動物組織は緻密で複雑な性質を有しているため、界面活性剤および機械的法による両溶解処理が必要です。最適な細胞溶解を行うには、界面活性剤を選定するだけでなく、バッファー、pH、塩濃度および温度に関して考慮することが重要です。選定した界面活性剤の下流アプリケーションへの適合性について考慮する必要があります。溶解に用いた界面活性剤を除去する場合、透析可能な界面活性剤をご利用ください。

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哺乳動物細胞の溶解試薬
RIPA

RIPAバッファーは、哺乳動物細胞または軟部組織の溶解や、タンパク質を抽出する用途に利用されています。元来RIPAバッファーは、開発されたアッセイ法(放射性免疫アッセイ)にちなんで命名されています。直後の下流アプリケーションがSDS-PAGE(変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動)である場合、このバッファーは有用です。本製剤には以下が含まれています:トリスバッファー中に2種類のイオン性界面活性剤および1種類の非イオン性界面活性剤:25 mM トリス-HCl、pH 7.6、150 mM NaCl、1% NP-40, 1% デオキシコール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)。

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免疫沈降法に対応した溶液液

溶解直後の下流アプリケーションが免疫沈降(IP)または共免疫沈降(Co-IP)などのタンパク質のアフィニティー精製実験である場合、溶解試薬には、目的の抗体結合やタンパク質相互作用を妨害し得る変性剤や成分が一切含有されていてはなりません。RIPAバッファーには、SDSが含有されることから、必ずしも免疫沈降実験に最適なバッファーとは言えません。RIPAバッファーの代わりとして、弊社製M-PERバッファー(次項をご参照ください)がご利用いただけます。もしくは、お客様が独自の溶解バッファーを調製されるか、別の市販溶液をテストして抽出収量と免疫沈降のバランスが優れた溶液をお探しください。Pierce IP Lysis Bufferの処方により、免疫沈降で優れた結果が得られます。

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M-PER溶液

M-PER Mammalian Protein Extraction Reagentは、RIPAバッファーに代わる、効果的かつ穏やかな処理試薬として開発されました。M-PER試薬は非変性界面活性剤を活用して、イムノアッセイ、酵素アッセイ、種々の一般的レポーターアッセイといった、様々な下流アッセイに対応する細胞溶解物を調製することができます。培養プレート中で直接溶解を実行でき、わずか5分で完了します。またこの手法は、凍結解凍法や超音波処理法よりも多量のタンパク質が得られます。

MPERFig1凍結解凍サイクル、超音波処理、および溶解バッファー(製品P)と、M-PER試薬の比較。完全培養密度の100 mmプレート中で増殖させたCOS-7細胞をPBS(10 mL)で洗浄し、PBS(1 mL)で掻爬し、さらに5000 rpmで5分間遠心分離をかけて細胞を回収しました。各抽出試薬0.5 mL中へ細胞ペレットを再懸濁して、総タンパク質抽出にかけました。凍結解凍サイクルでは、PBS中の細胞懸濁液をドライアイス中で凍結させ、イソプロパノール浴を10分間行った後、37℃の水浴中で解凍しました。凍結解凍サイクルを3回繰り返しました。超音波処理において、Branson Sonifier 450 Sonicatorを用いて、細胞懸濁液をパルス50%で2分間超音波処理しました。M-PER試薬および溶解バッファー(製品P)による抽出では、細胞懸濁液を5分間振盪しました。13,000 rpmで5分間の遠心分離によって細胞破片を除去し、上清のタンパク質濃度をBCA法でアッセイしました。

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T-PER溶液

T-PER Tissue Protein Extraction Reagentは、心臓、肝臓、腎臓、脳といった哺乳動物組織サンプルから総タンパク質抽出が行えるデザインとなっています。25 mM ビシン、150 mM NaCl(pH 7.6)中の非変性界面活性剤を活用したT-PER試薬は、機械的均質化法または手動均質化法と併せてご利用ください。得られる細胞溶解物(M-PER試薬で調整された溶解物など)は、様々な機能アッセイに対応します。

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細菌細胞の溶解試薬
B-PER溶液

B-PER Bacterial Protein Extraction Reagentsは、E. coliや他種の細菌細胞を穏やかに溶解させ、水溶性の天然タンパク質や組換えタンパク質を効果的に抽出します。B-PER試薬は、グラム(-)細菌、S. aureusH. pylori およびE. coli 株(BL21(D3)、JM109、DH5a、M15)に使用されてきました。本試薬は特定の古細菌種や培養昆虫細胞にも適しています。抽出を行うには高額な装置は要りません。わずか10分以内で完了できます。B-PER試薬は、封入体から可溶性タンパク質を除去する特性があります。この試薬を用いて精製できる封入体の低溶解性タンパク質は、他の手段で抽出することが可能です。

様々な溶解処理の用途に向けて、各種の既製製剤B-PER試薬が販売されています。これらの製剤には、トリスバッファーまたはPBS(リゾチームやDNase I酵素の付属版/付属無し版)があります。B-PER Direct Formulationは、96ウェル培養プレート中の細胞を直接(均質)溶解させるように最適化されており、ハイスループットのスクリーニングアッセイが促進されます。

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昆虫、酵母および植物細胞の溶解試薬
YPerScanY-PER試薬は、酵母細胞壁や細胞膜を破壊します。Y-PER Yeast Protein Extraction Reagentを用いた溶解後のサッカロマイセス・セレビシエ株DY150の細胞。Various points of perforation are visible, and these allow for extraction of cytosolic proteins.
Yeast cell lysis solutions

Y-PER Yeast Protein Extraction Reagents penetrate the tough yeast cell wall, perforating the cell wall and membrane and extracting soluble protein without completely damaging overall cell structure.Traditionally, yeast protein extraction required mechanical disruption with glass beads, making small-scale extraction difficult.Y-PER Reagents provide higher yields and greater flexibility for use in current proteomics workflows.

Two formulations have been developed.Y-PER Reagent is high salt (>300mM) and is effective for S. cerevisiae, S. pombe, C. albicans and P. pastoris (as well as various Gram-positive and Gram-negative bacteria).Although the detergent is compatible with various downstream methods, it is not dialyzable so cannot be removed in those cases where incompatibility exists.Y-PER Plus Dialyzable Reagent, (Part No. 78999) is a phosphate-free, low-salt formulation with a dialyzable detergent.It is validated for use primarily with S. cerevisiae.

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Insect cell lysis solutions

I-PER Insect Cell Protein Extraction Reagent enables gentle extraction of soluble protein from baculovirus-infected insect cells grown in suspension of monolayer culture (both Sf9 and Sf21 cells).The reagent maintains functionality of extracted proteins and is directly compatible with downstream applications such as protein assays, Western blotting and His-tagged protein purification (IMAC).

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Plant tissue cell lysis solutions

P-PER Plant Protein Extraction Reagent Kit offers an exclusive innovation for performing plan cell lysis and subsequent protein extraction.Plant cells are notoriously difficult to lyse and extract for proteomics work because their tough cell walls and substantial polysaccharide content.The kit includes an organic lysing reagent and two aqueous reagent which, in conjunction with mild mechanical agitation, effective extract plant protein.The method has been validated for use with multiple plan organs (leaf, stem, root, seed and flowers); multiple plant species (Arabidopsis, tobacco, maize, soybeans, peas, rice and spinach); and fresh, frozen and dehydrated tissue sources.

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.