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一般的なラベルトランスファー反応において、ベイトタンパク質はラベルトランスファー試薬(LTR)の反応性官能基と反応し、放射性、蛍光またはビオチンで標識されたクロスリンカーヘテロバイファンクショナルクロスリンカーと共に共有結合を形成します(下図参照)。そしてこの標識されたベイトタンパク質をin vitroでプレイタンパク質と相互作用させると、複合体が形成されます。その後UV光に暴露することによってクロスリンカーの光反応基部分を活性化させると、プレイタンパク質に共有結合します。ベイトタンパク質を放出するクロスリンカースペーサーアームが切断されると、ラベルトランスファーが完了します。相互作用プレイタンパク質に結合した標識分子は切断されずに残るため、様々な手法で検出が可能です。ビオチン標識はプレイタンパク質の精製または検出いずれにも利用できるため、このプロセスにおいて特に有用ですその後タンパク質間相互作用は、ウェスタンブロット分析、タンパク質配列分析、質量分析法などの様々な手法で分析が可能です。
ラベルトランスファー用の最初の試薬例では、リング上にヒドロキシフェニル修飾をもつ光反応性フェニルアジド基を組み入れていました。フェノール性水酸基によってリングが活性化され、オルトまたはパラ位で置換反応が起こります。クロラミンTや市販のヨウ素化試薬などの標準的な酸化試薬を用いて、これらの化合物を放射性ヨウ素化できます。クロスリンカーを使用前にI-125でヨード化すると、放射性ラベルトランスファー試薬となります。この試薬はクロスリンカーのスペーサーアーム切断後、放射性標識分がで未知の相互作用タンパク質に転移するため、タグ付けができます。
クロスリンカーは、通常は利用可能なアミン基を介して、最初に放射性ヨウ素化させた後にベイトタンパク質と反応させます。その後この修飾タンパク質をサンプルに添加して他のタンパク質と相互作用させます。そしてサンプルをUV光に露出させると、相互作用複合体が光架橋されます。この時点で、標識の効果により相互作用タンパク質が検出しやすくなります。あるいは、複合体が切断され、放射性標識がベイトと相互作用するタンパク質へ転移されます。それから、放射性標識された未知タンパク質は電気泳動で分離後、あるいはさらにウェスタンブロッティングを行って、オートラジオグラフィーで検出できます。
この手法を採用した初の試薬はバイファンクショナルなラベルトランスファー試薬であり、光反応性部分がラベルトランスファーに耐える設計となっています。これらの分子はアミン反応性またはスルフヒドリル反応性いずれかであり、I-125で放射性同位体標識されます。
従来のヨウ素化試薬はタンパク質相互作用に関するデータ取得に多大な貢献をしてきましたが、ラベルトランスファーの用途に設計されたバイファンクショナルなラベルトランスファー試薬に比べて特有のデメリットがいくつかあります。ヨウ素化試薬の使用時には、下記の特性に注意しなければなりません:
バイファンクショナルなラベルトランスファー試薬として新しいタイプの化合物が開発されており、反応部位と標識分子をより的確に分離させることができます。これらの新たな試薬には、ビオチンなどの非放射性同位体標識が利用されるようになってきました。
その後に設計されたバイファンクショナルなラベルトランスファー試薬は、非放射性標識の活用によりI-125に起因する安全性問題を克服できます。切断可能な光反応性クロスリンカーに含有される蛍光分子の特性によって、蛍光標識分子を未知の相互作用タンパク質へ転写することができます。この手法において、試薬はUV光への曝露前には非蛍光性ですが、相互作用タンパク質へ光分解により結合することで架橋分子が蛍光を発します。
またこれらの試薬は還元可能なジスルフィド結合を有しているため、架橋タンパク質の切断や未知の相互作用種へのラベルトランスファーが起こります。その後蛍光標識された相互作用タンパク質を細胞内で追跡して、相互作用部位の決定、あるいは相互作用発生後のタンパク質の動向を調べることができます。
またラベルトランスファー試薬によって、ビオチンを架橋分子のバイファンクショナル構造内へ組み込むことができます。上図のように、ベイトおよびプレイタンパク質との反応後にクロスリンカーが切断される結果、ビオチン標識されたプレイタンパク質がタンパク質検出に使用できるようになります。
このタイプのトリファンクショナルラベルトランスファー法は、多種多様な手段でプレイタンパク質の検出が行えるため、前述のバイファンクショナル手法と実質的に異なります。タンパク質がビオチン化されているため、発色法または蛍光法いずれの手法でもタンパク質の検出が行えます。この検出は、avidin、streptavidin、NeutrAvidinタンパク質などに結合した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、または蛍光分子を介して行います。またビオチンを利用して、プレイタンパク質またはタンパク質断片の精製が行えます。avidin、streptavidin、NeutrAvidinタンパク質などが結合したアガロースや磁気ビーズを用いたクロマトグラフィーによりこの精製を行うのが一般的です。
ビオチンはラベルトランスファーアプリケーションで最初に使用されたため、この手法は下記のようにタンパク質間相互作用の検出に利用されるケースが増えています。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.