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核酸プローブは、合成中にタグや他の修飾により標識することができます。しかしオリゴヌクレオチドプローブ(特にRNA)は修飾により非常に高額になり、場合によっては高価な精製サービスを必要とする場合もあります。また修飾オリゴヌクレオチドは一般的に未修飾のものより最小注文容量が多く、必要以上の購入が必要になる場合があります。このため多くの研究者が、独自の手法でプローブの作製を行っています。
弊社では迅速で効率的な多数のオリゴヌクレオチド標識用試薬を販売しています。これらの試薬は少量のプローブや、同一標識の種々のプローブを必要とする用途(突然変異分析等)に最適です。少量のプローブ作製であれば、プローブ標識法として酵素法が安価です。対照的に化学法は、大容量の反応に適しています。酵素法または化学法は、オリゴヌクレオチドの5'末端または3'末端が標識されたプローブ作製と、配列中にランダムに標識するプローブ作製が可能です。必要な標識レベルや修飾によって相互作用を妨げる立体障害が生じるかによって、必要な手法はある程度決まります。一般に核酸のハイブリダイゼーション(ノーザンブロッティング)は、標識をプローブへランダムに組み込むことにより高い特異性が得られます。一方タンパク質相互作用が必要なアッセイ(ゲルシフトアッセイやプルダウンアッセイ)では、タンパク質を結合させるために末端への標識が必要になります。
手法 | 有効な核酸 | 標識部位 | 推奨 | |
---|---|---|---|---|
酵素法 | TdT | ssDNA | 3′ | 修飾ヌクレオチドの取り込み |
T4 RNA Ligase | ssDNA, RNA | 3′ | 修飾ヌクレオチドの取り込み(同位体を含む) | |
T4 PNK | ssDNA, RNA | 5′ | リン酸塩の同位体 | |
DNAポリメラーゼ | DNA, RNA³ | 5′¹,3′², ランダム | 修飾ヌクレオチドの取り込み(同位体を含む) | |
RNAポリメラーゼ | RNA | ランダム | 修飾ヌクレオチドの取り込み(同位体を含む) | |
化学法 | 過ヨウ素酸 | RNA | 3′ | アミン修飾またはヒドラジド修飾のタグの追加 |
EDC | DNA, RNA | 5′ | アミン修飾またはヒドラジド修飾のタグの追加 | |
非特異的架橋剤 | DNA, RNA | ランダム | ソラレン、フェニルアジド、またはULS修飾のタグの追加 | |
1.DNAプローブへ5'末端修飾するためには、5 '末端標識プライマーを使用します。 2.Fill-in反応中に、修飾ヌクレオチドを二本鎖DNAの3'陥凹末端に取り込むことができます。 3.5'オーバーハングが生じる相補的DNAオリゴヌクレオチドのハイブリダイズ中に、RNAの3'陥凹末端に修飾ヌクレオチドが取り込まれます。 |
Our 72-page Protein Interactions Technical Handbook provides protocols and technical and product information to help maximize results for protein interaction studies. The handbook provides background, helpful hints and troubleshooting advice for immunoprecipitation and co-immunoprecipitation assays, pull-down assays, far-western blotting and crosslinking. The handbook also features an expanded section on methods to study protein–nucleic acid interactions, including ChIP, EMSA and RNA EMSA. The handbook is an essential resource for any laboratory studying protein interactions.
Contents include: Introduction to protein interactions, Co-immunoprecipitation assays, Pull-down assays, Far-western blotting, Protein interaction mapping, Yeast two-hybrid reporter assays, Electrophoretic mobility shift assays (EMSA), Chromatin immunoprecipitation assays (ChIP), Protein–nucleic acid conjugates, and more.
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、リンパ系細胞の特定集団中に見られるDNAポリメラーゼ酵素です。通常TdTは多数のデオキシヌクレオチドをDNA鎖3 '末端に付加しますが、1~3ヌクレオチドの取り込みしか起こらないように反応を最適化することができます。TdTは鋳型を必要とせずDNA配列による影響も受けませんが、DNA構造は重要な要素となります。またTdTは一本鎖DNAの3'末端に対して最も高い活性を示しますが、二本鎖DNAの3'オーバーハングに対しても低い効率で修飾することが可能です。TdTは、平滑末端または5 'オーバーハングを有する二本鎖DNAに対しても低い活性を示します。TdTで修飾するDNAテンプレートとしては、未標識の一本鎖PCRプライマーや、3 'オーバーハングを有する二本鎖の制限エンドヌクレアーゼフラグメント(「粘着末端」、5'陥凹末端)などが一般的です。
TdTは、しばしば次のようなDNAプローブ標識法に使用されます:RACE (Rapid Amplification of cDNA Ends)、TUNEL (Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP Nick-End Labeling) アッセイ。またクローニングのためDNA断片に3 'オーバーハングを付加する手段としても利用されます。またTdTを用いて放射性タグや非放射性タグでDNAプローブの3'末端を標識すれば、検出やアフィニティー関連の様々な用途に有用です。例えば相補的DNAプローブの3'末端にビオチン-11-UTPを添加すれば、非放射性のゲルシフトアッセイ(EMSA) やDNAプルダウンアッセイのプローブとして使用できます。
T4 RNAリガーゼは、T4バクテリオファージのゲノムにコードされている酵素です。T4 RNAリガーゼにより、5'末端のリン酸基がRNAの3'末端の水酸基に結合します。T4 RNAリガーゼは鋳型を必要としませんが、一本鎖のRNAやATPを必要とします。T4 RNAリガーゼの主な基質はRNAですが、一本鎖DNAに対しても反応させることができます(ただし、極めて低効率性)。
T4 RNAリガーゼにより、[5′ ³²P]pCp (シチジン5',3'-二リン酸)でRNAの3 '末端を標識し、cDNAライブラリーの合成や5′-RACEといったmRNAの修飾が行えます。またT4 RNAリガーゼにより、適切に修飾されたヌクレオシド3',5'-二リン酸を用いて、非放射性タグをもつ3'末端標識RNAの合成にも使用できます。
T4ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 PNK)は、T4バクテリオファージのゲノムにコードされている酵素です。T4 PNKは、ATPのγ位にあるリン酸基をDNAやRNAの5'-ヒドロキシル基へと転移します。野生型酵素は、3'-ホスファターゼ活性も有しています。T4 PNKリガーゼは鋳型を必要とせず、一本鎖ポリヌクレオチドや5 'オーバーハングが効果的に修飾されます。平滑末端や5'陥凹末端も、低い効率であるが修飾が行えます。
T4 PNKは主に、アイソトープ標識されたATPの放射性リン酸をポリヌクレオチドの5'末端へ標識する用途に利用されます。PNKは、TdTやT4 RNAリガーゼよりも高い効率で短いオーバーハングや平滑末端断片を修飾します。リン酸転移反応も可能ですが、標的分子の5'末端が脱リン酸化されている場合が最も効率的です。さらにPNKの一般用途として、合成ポリヌクレオチド(DNAプライマー)の5′末端をリン酸化させてクローニングに用いることも可能です。
DNAポリメラーゼは酵素ファミリーであり、DNA鎖の3'-ヒドロキシル末端(DNA伸長)やプライマー(プライマー伸長)へ、デオキシリボヌクレオチドの5'-リン酸化末端(モノマー)を付加することによって、デオキシリボ核酸ポリマーを合成します。DNAポリメラーゼは鋳型を必要としますが、配列依存性ではありません。DNAを合成するには、DNA鎖の3'-OH末端がDNA相補鎖にアニールする必要があります。ただしウイルス由来の逆転写酵素は例外として、cDNAの合成にDNAまたはRNAプライマーとRNAテンプレートを使用します。DNAポリメラーゼは、3'-OH末端からの伸長反応によって鋳型に相補的なDNA鎖を合成します。。DNAポリメラーゼは、クローニングから配列決定まで様々な研究目的に利用されています。特定領域のDNA増幅が必要な場合は、好熱菌(例: Thermus aquaticus (Taq)、 Bacillus stearothermophilus (Bst)、 Thermococcus litoralis (Vent))由来の熱安定性酵素を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行います。増幅が必要ない場合は、合成DNAの長さや忠実度に応じて、中温菌由来のDNAポリメラーゼ(例:E. coli (Klenow) やバクテリオファージ(T4, T7))を使用することがあります。
DNAポリメラーゼは、主にDNA合成中に修飾ヌクレオチドのランダムな取り込みによりプローブ作製します。これは、PCRまたは単純なプライマー伸長反応によって行うことが可能です。こうして作製されたプローブは高い特異的活性がもつため、感度の高い検出が可能です。従来は、プローブ作製のために放射性ヌクレオチドを使用しました;とはいえ修飾によってポリメラーゼ伸長反応が妨害されない限り、ビオチンタグ、蛍光色素タグ、その他非放射性タグの使用が可能です(ただし、ターミネーター配列決定の用途は除く)。より低い特異的活性を要する用途や、標的を標識したい場合には、DNAポリメラーゼを用いてDNAプローブ末端の特異的標識が使用できます。DNAプローブの5 '末端を標識するには、5 '末端修飾プライマーを使用します。アフィニティータグや蛍光色素はDNAプローブが長すぎて効果的に合成できない場合に特に有用です。この標識法は、PCRまたは単純なプライマー伸長反応による5 '末端標識に最適です。
3 '末端上あるいはその付近でDNAプローブを標識するには、DNAポリメラーゼを使用して陥凹3 '末端を有する二本鎖プローブ末端に、複数の修飾ヌクレオチドを取り込むことができます。この「fill-in」反応は、スタッガードアニールプライマー、制限酵素断片または‘5’突出末端を持った二本鎖DNA分子のいずれかが使用できます。一般にクレノウ断片(E. coli DNAポリメラーゼI)は、フィルイン反応に使用されます。また3'陥凹末端が生じるDNAプライマーを使用すれば3 '末端標識RNA分子への使用も可能です。
DNAポリメラーゼは、DNAを合成する酵素ファミリーです。この反応は、合成中のリボヌクレオチドの3'-ヒドロキシル末端へ、リボヌクレオチド(モノマー)の5'-リン酸化末端の結合によって起こります。RNAポリメラーゼは鋳型を必要とし配列に依存性であり、酵素がDNAに結合するためには鋳型DNA中にプロモーター配列を必要とします。また宿主に応じて、RNAの転写には様々な補助因子が必要になります。
RNAポリメラーゼは、mRNAのin vitro合成から、ハイブリダイゼーションアッセイや結合アッセイ用のプローブ生成まで種々の研究目的に利用されています。RNAポリメラーゼを利用して生成されるプローブは、転写プロセス中に修飾ヌクレオチドをランダムに取り込むことによって作製されます。このためには、複数のRNAポリメラーゼのプロモーター配列を持つプラスミドへ、cDNAや鋳型配列をクローニングします。このように生成されたRNAプローブは高い特異性を持ち、放射性ヌクレオチドを使っての作製が一般的です(ビオチンやその他タグも利用可)。
Meta および ortho 過ヨウ素酸(IO6、IO4)は、ヨウ素や酸素から形成されたアニオンであり、一般にカリウム(例:KIO4)またはナトリウム(例:NaIO4)塩として知られています。溶液中では過ヨウ素酸塩によって、水酸基(ビシナルジオールまたはcis-グリコール)を持つ隣接する炭素原子間の結合が切断され、2つのアルデヒド基が生じます。このアルデヒド基は、第一級アミンを持つ分子に対して反応します。アルデヒド基は、第一級アミンまたはヒドラジドとのの結合反応に使用できます。第一級アミンはアルデヒドと反応して、シッフ塩基をつくります。シッフ塩基は加水分解されやすいため、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)と第二級アミンの結合による還元反応により安定化させる必要があります。ヒドラジドをもつ分子もアルデヒド基と反応します。この反応は、高い安定性を持ったヒドラゾン結合を形成します。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加すると反応効率がさらに向上し、時間の経過と共にpHが変化すると結合安定性が高まります。
過ヨウ素酸 meta -ナトリウムは穏やかな酸化作用を持ち、一般にタンパク質、炭水化物の酸化剤として使用され、検出や化学結合に用いられる反応性アルデヒド基を生成します。またこの過ヨウ素酸法はRNAのリボースに存在する隣接したジオールを開裂しさせることによって、3 '末端標識にも使用することができます。
詳細情報:
カルボジイミドは有機合成に一般的に用いられる官能基(RN=C=NR)であり、第一級アミン (RNH2)とカルボン酸(RCOOR′)においてアミド結合を、リン酸(R-PO4)においてホスホルアミデート結合を形成します。カルボジイミドは、多くの架橋剤と異なり標的分子間の最終架橋の一部となりません。EDC (EDAC、1-エチル-3- [3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)は水溶性カルボジイミドであり、pH4.0〜6.0の水性反応に適しています。このpHでは透析や結合物の沈殿によって反応副産物を容易に除去できます。
EDCはカルボン酸基との反応時に、活性O-アシルイソ尿素中間体を形成します。この中間体は、反応中に第一級アミノ基による求核攻撃により置換されやすい性質があります。リン酸(オリゴヌクレオチドの5'リン酸)を用いても同様の反応を起こせますが、効率的に結合させるにはイミダゾールを反応に添加する必要があります。この反応は5'リン酸を必要とするため、最初に合成オリゴヌクレオチドをキナーゼ処理する必要があります。EDCによる結合法は、第一級アミンをもつ分子へRNAおよびDNAを結合させるための安価な手法として利用できます。
詳細情報:
様々な手段により、核酸のランダムな化学標識を行えます。これらの手法では、DNA分子やRNA分子のランダムな部位で標識するため、末端標識法よりも高度な標識ができます。しかしこの標識法の欠点は、ヌクレオチド塩基が直接修飾されるため、ハイブリダイゼーション実験において相補鎖間の特異性が低下します。したがって各実験に使用するプローブのハイブリダイゼーション効率に見合った標識レベルを設定する必要があります。
一般的なランダム化学標識では、光反応性標識試薬またはユニバーサルリンケージシステム(ULS, KREATECH Biotechnology B.V.)を使用します。核酸にはフェニルアジドまたはソラレンをベースとした、二種類の光反応性標識試薬が使用されます。フェニルアジド官能基が紫外光に曝露されると、不安定なニトレンが形成されます。これが追加反応で二重結合やC-HおよびN-H部位へ非特異的に挿入されます。ただし、反応性の高い求核(例:第一級アミン)が存在しない場合に限ります。 ソラレン官能基を含有する分子を用いて、二本鎖のDNAまたはRNAの標識が行えます。ソラレン環構造は、二本鎖部分へ効果的にインターカレートします。また紫外光への曝露によって、チミン残基中の5,6-二重結合によるシクロ付加産物が形成されます。ULS標識試薬には、適切な温度で活性化される白金ベース成分が含まれます。これはRNAやDNA中、およびタンパク質のメチオニン・システイン・ヒスチジンが持つグアニン塩基と反応します。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.