グリコシル化(タンパク質への糖付加)は翻訳後修飾(PTM)の1種であり、他のPTMよりもはるかに多様性のあるプロテオームが形成されます。グリコシル化は、細胞外マトリックスでの細胞接着や細胞内のタンパク質-リガンド相互作用をはじめとした多種多様な生物学的プロセスにおいて重要性の高い反応です。糖鎖修飾は、N-/O-/C-結合グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー化)、リン酸グリコシル化といった様々なグリコシド結合により特徴づけられます。以下の各戦略によって、糖タンパク質の検出/精製/分析をそれぞれ行います:(1) 検出 - グリカンの染色と可視化により実行;(2) 精製 - 標識用や精製用にアガロース樹脂や磁性樹脂へのグリカンの架橋により実行;(3) 分析 - 質量分析プロテオーム解析により実行。

詳細情報

Please Configure List Items!

はじめに

グリコシル化は、小胞体(ER)、ゴルジ体からなる生合成-分泌経路の重要な機能の一つです。通例、細胞内で発現するタンパク質の約半数は、この修飾反応を受けます。この結果、糖鎖が特定アミノ酸へ共有結合的により付加されます。小胞体中で発現されるタンパク質のうち溶解性と膜結合性の最も高いものは、ある程度グリコシル化されています(例:分泌タンパク質、表面受容体と表面リガンド、オルガネラ局在性タンパク質など)。また、ゴルジ体から細胞質へ輸送されるタンパク質の一部もグリコシル化されます。脂質やプロテオグリカンのグリコシル化も可能であり、このタイプの修飾に利用できる基質は大幅に増えています。

機能範囲

タンパク質グリコシル化は、様々な細胞内機能と関連しています。小胞体内では、グリコシル化を指標にしてタンパク質のフォールディング状態を監視しています。グリコシル化は品質管理機構で利用され、適切に折り畳まれたタンパク質のみをゴルジ体へ輸送するための制御に関わっています。可溶性タンパク質上の糖鎖部分にトランスゴルジ網内の特定受容体が結合することによって、適正な送達先へ運搬が行われます。またこの糖鎖は細胞表面の受容体に対するリガンドとして機能し、細胞接着やシグナル伝達経路に関与します(1)。糖鎖は巨大でかさばるため、タンパク質間相互作用に影響を及ぼす可能性があります。糖鎖は親水性が高いため、タンパク質の溶解性に変化を与える可能性もあります(2)。

分布

グリコシル化タンパク質(糖タンパク質)は真核生物、真正細菌、古細菌といったあらゆる研究対象の生物で発見されています(3,4)。単細胞生物から複雑な多細胞生物まで、糖タンパク質を発現する多種多様な生物が、真核生物に属しています。

糖タンパク質の多様性

グリコシル化によって、他の翻訳後修飾法よりもはるかに多様性のあるプロテオームが実現します。下記のようにグリコシル化にいは様々なバリエーションがあるため、細胞により糖タンパク質の多様性が広がります:

  • グリコシド結合 – 糖鎖結合部位
  • 糖組成 – 特定タンパク質に結合する糖の種類
  • グリカン構造 – 分枝鎖または非分枝鎖
  • グリカン長 – 短鎖または長鎖のオリゴ糖

グリコシル化は数多くの酵素が関与することから、最も複雑な翻訳後修飾とみなされています(5)。グリコシル化反応として、以下が挙げられます:単糖類どうしの結合;糖鎖内での糖の移動;糖鎖のトリミングなど。グリコシル化は転写や翻訳といった細胞プロセスとは異なり、鋳型を持たないため、各グリコシル化反応で前述の工程全てが実行されるわけではありません。鋳型を用いず、糖鎖修飾に係る種々酵素活性に依存して糖タンパク質の多様性が形成されます。全ての酵素が関与するため一見無秩序に思えるかもしれませんが、各グリコシル化反応の順序は高度に制御されています。。各酵素活性は、先行する酵素反応がそれぞれ完了した後に段階的に発生します。細胞種や細胞内区画で、酵素活性は様々です。そのため細胞によって、他の細胞とグリカン構造の異なる糖タンパク質を合成することが可能です(5)。

単糖やオリゴ糖をドナー分子から成長過程のオリゴ糖鎖やタンパク質へと移動させる酵素は、グリコシルトランスフェラーゼ(Gtf)と呼ばれています。各Gtfは、ドナー(糖ヌクレオチドまたはドリコール)から基質へ結合する特定の糖に特異性があり、他のGtfと独立して作用します。これらの酵素の対象は様々で、グリコシド結合はあらゆるタンパク質機能ドメイン上に見られ、またグリコシル化により、いわゆる単糖の大半がある程度糖鎖に組み込まれることが知られています(6)。

グリコシダーゼはグリコシド結合の加水分解を触媒し、糖をタンパク質から除去します。小胞体やゴルジ体中での糖鎖のプロセシングには、これらの酵素が重要な役割を果たします。また各酵素は、特定の糖(例:マンノシダーゼ)に対する高い特異性を示します。

グリコシル化のタイプ

糖ペプチド結合の性質や結合したオリゴ糖の性質に基づいて、糖ペプチド結合は以下のタイプに分類できます: N-/O-/C-結合グリコシル化;グリピエーション;リン酸グリコシル化など。N-/O-グリコシル化やグリピエーションは標準的に検出されるタイプのグリコシル化であり、本項ではこの修飾反応について詳しく解説いたします。

グリコシル化のタイプ
N結合型グリカンが小胞体中でアスパラギンのアミノ基に結合します
O結合型単糖類が、小胞体/ゴルジ体/細胞基質/核中でセリンやトレオニンのヒドロキシル基へ結合します
グリピエーショングリカンコアがリン脂質とタンパク質に結合します
C結合型マンノースがトリプトファンのインドール環に結合します
リン酸グリコシル化グリカンがホスホジエステル結合を介してセリンへ結合します
Glycosylation-types-530px1様々なグリコシド結合。

タンパク質のグリコシル化は、特定の様式のみで成されるわけではありません。実際にタンパク質のグリコシル化は、種々のグリコシド結合を有する様々な部位において、様々な要因(以下参照)に基づいて行われます。

1.酵素活性

グリコシル化は、種々の酵素濃度領域へタンパク質を移動させることにより制御されます;細胞によって酵素が特定区画へと隔離され、酵素活性が調節されます。例えば、タンパク質が小胞体中でN-グリコシル化された後、グリカンプロセシングが段階的に進行します。これは、高濃度の特定のGtfやグリコシダーゼを含有する各ゴルジ嚢へとタンパク質が輸送されることによって起こります。

2.アミノ酸配列

酵素の多くは、基質となるアミノ酸残基の条件(例:アスパラギンはN結合型;セリン/スレオニンはO結合型)だけでなく、グリコシド結合を形成させるコンセンサス配列またはコンセンサスモチーフを有しています(6)。

3.タンパク質の立体構造(可能性)

タンパク質は、翻訳後にフォールディングを開始します。その結果、内部に配置されたアミノ酸はグリコシル化を受けなくなります。そのため標的タンパク質は、グリコシル化に適した立体構造を有していることが求められます。

対象製品

Please Configure List Items!

糖タンパク質の検出法と分析法

糖タンパクは、生物学的プロセスや疾患関連で、注目が高まり続けています。こうした流れを受けて、感度やスループットの向上した検出/分析方法が開発され、様々な構造や生化学をより深く解明できるようになりました。糖タンパク質はタンパク質とオリゴ糖からなる化合物です。そのため糖タンパク質は、非グリコシル化タンパク質よりも複雑な分析法が求められます。またグリカン構造は非常に多様性が高く、糖タンパク質の分析法は、その成分に起因してさらに複雑化します。

グリカン染色また標識

グリカン糖は構造上の理由から、分子の染色や標識に対して反応性を示しません。こうした問題点を克服するために、過ヨウ素酸を用いて糖を処理します。これによって糖のビシナルヒドロキシルがアルデヒドまたはケトンへと酸化(特にシアル酸)され、様々な色素に対して反応性を示すようになります。過ヨウ素酸シッフ(PAS) 染色法では、この反応を利用して様々な生物学的サンプル中の糖タンパク質の検出と定量を行います。また過ヨウ素酸を用いると、糖を架橋剤反応性に変化させることができます。これによって、標識分子(例:ビオチン)や固定支持体(例:ストレプトアビジン)へ糖を共有結合させることができ、検出や精製が行えるようになります。

詳細情報

Please Configure List Items!

対象製品

Please Configure List Items!

糖タンパク質の精製と濃縮

レクチンを使用して糖タンパク質の検出と機能解析を行えます(52)。こうした各グリカン結合タンパク質は、それぞれ異なる糖部分に高い特異性を示します。前述のように、レクチンの作用によりタンパク質のフォールディングが促進されますが、細胞間接着や病原体細胞接着にもレクチンの使用が不可欠です。抗グリカン抗体も糖部分へ結合可能です。とはいえ、レクチンは抗体よりも安価かつ明瞭で、さらに安定性にも優れていることから、一般的にはレクチンが使用されています(52)。レクチンは抗体と同様に、西洋ワサビペルオキシダーゼ・フルオロフォア・ビオチンなどのプローブへの結合や、ストレプトアビジン・ニュートラアビジンタンパク質などの固体支持体へ固定化させることができます。レクチンの一般用途例:

  • 糖タンパク質の同定
  • 糖タンパク質の精製/濃縮
  • 細胞表面複合糖質 (例:糖タンパク質、糖脂質、GPIアンカー型分子) の解析
    • 相対存在量の評価
    • 組織や細胞内局在の同定
  • グリコシル化変異体の生成
  • Gtfやグリコシダーゼの活性分析

上記の用途に向けて、様々なレクチン製品が販売されています。Jackbean由来のコンカナバリンA(ConA)がレクチンとしては最も一般的ですが、ジャカリン・ムギ胚芽凝集素(WGA)・レンズ豆レクチン(LCA)などのレクチンも市販品として入手が可能です。

対象製品

Please Configure List Items!

Please Configure List Items!

詳細情報

Please Configure List Items!

グリコプロテオームやグライコームの質量分析

糖タンパク質はタンパク質部分とグリカン部分からなる化合物であり、両部分とも全分子量の大部分を占めていることがあります。そのため糖タンパク質の固有特性は、他の翻訳後修飾タンパク質と異なります。それゆえに、糖タンパク質の全成分または各成分についての分析が行えます。グライコプロテオミクスはグリコシル化タンパク質の包括的分析法であり、糖タンパク質濃縮とプロテオーム解析を統合させることにより、複合系での系統的同定や糖タンパク質定量を行います。このプロテオミクスのサブセットは、全てのグリカンが系内に制限されるグライコミクスと異なります(グライコーム) (53)。

他のプロテオーム解析法と同様に、質量分析により糖タンパク質の同定と定量化を行います。糖タンパク質分析の基本パイプラインとして、以下が挙げられます(53):

  • 糖タンパク質または糖ペプチドの濃縮
  • 液体クロマトグラフィー(LC)による多次元分離分析
  • タンデム質量分析
  • バイオインフォマティクスデータ解析

この手法は、グリカンの酵素的切断処理の前後いずれにおいても実行が可能です。各実験タイプに応じて、エンドグルカナーゼH(endo H)またはペプチドN4-(N-アセチルβグルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ(PNGアーゼ)いずれかを用いて行います。グリコプロテオームの定量的比較分析を実行するには、細胞培養(SILAC)試薬中のアミノ酸による安定同位体標識を用いて差分標識を行います。また標的糖タンパク質には、同位体標識の「重い」参照ペプチドを用いて選択反応モニタリング(SRM)による絶対定量が実行できます。

Glycoproteomic-analysis-570pxグリコプロテオミクス分析最初に糖タンパク質を糖ペプチドへ消化し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)による直接分析を行います。あるいは、最初に脱グリコシル化させた後、グリカンまたはペプチドの濃縮を(分析前に)行います。

対象製品

Please Configure List Items!

Please Configure List Items!

グリコシル化のタイプと機構
N-グリコシル化

一般にグリコシル化は、翻訳後修飾に分類されます。この分類はN-グリコシル化以外のグリコシル化には当てはまりますが、一般にN-グリコシル化は翻訳と同時に起こります。つまり、グリカンは翻訳されERに運搬される際に、新生タンパク質へ結合します。これらのグリコシル化名の接頭語「N」は、グリカンがアスパラギン(AsnまたはN)残基上のカルボキシアミド窒素へ共有結合していることに由来します。

ERは大半の膜タンパク質や分泌タンパク質の翻訳/プロセシング部位であるため、それらタンパク質の大半は当然のことながらN結合型糖タンパク質です。N結合型糖タンパク質はグリコシル化の主要タイプであるだけでなく(糖タンパク質の90%はN-グリコシル化されています)、大型であり、通例広範囲な分岐グリカンを有しています。このグリカンは、タンパク質への結合後、様々な処理工程を経ます。

Tetradecasaccaryl-dolichol-600px

N-グリコシル化は、真核生物や古細菌において保存されています。また、相当数の酵素と関連プロセスも様々な種において保存されています(7)。N-グリコシル化は、以下の各現象へ分類できます:

  • 前駆体グリカン複合体
  • 付着
  • トリミング
  • 成熟化

上述のように、グリコシル化時の各工程では種々の酵素を必要とします。この酵素の作用により、様々なグリカンが生成されます(8,9)。しかしN-グリコシル化は最初、全てのタンパク質に対して一律に起こります。そのためトリミングやグリカン成熟化の後続工程を実行しない限り、多様なグリカンが生成されることはありません (7)。

前駆体グリカン複合体

Nグリコシド結合を介した結合オリゴ糖は、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、マンノース(Man)、およびグルコース(Glc)から構成される14糖前駆体分子に由来します。これらの糖は、ER膜に埋め込まれたポリイソプレノイド脂質キャリアであるドリコール上へ継続的に添加されます(8,10)。最初の7糖は、細胞質内の糖ヌクレオチド(UDP-糖、GDP-糖)から供与され、ピロリン酸結合(-PP-)を介してドリコールに結合します。Man5GlcNAc2-PP-ドリコール中間体の完成後、複合体をER内腔に反転させます。その後、Man-およびGlc-P-ドリコール分子から残りの7糖が供与され、Gcl3Man9GlcNAc2-PP-ドリコール前駆体グリカンが生成します。

グリカン結合

一般にグリコシル化は、翻訳後修飾として特徴付けられます。この分類はN-グリコシル化以外のグリコシル化には当てはまりますが、一般にN-グリコシル化は翻訳と同時に起こります。つまり、グリカンは翻訳されERに運搬される際に、新生タンパク質へ結合します。これらのグリコシル化名の接頭語「N」は、グリカンがアスパラギン(AsnまたはN)残基上のカルボキシアミド窒素へ共有結合していることに由来します。

ERは大半の膜タンパク質や分泌タンパク質の翻訳/プロセシング部位であるため、それらタンパク質の大半は当然のことながらN結合型糖タンパク質です。N結合型糖タンパク質はグリコシル化の主要タイプであるだけでなく(糖タンパク質の90%はN-グリコシル化されています)、大型であり、通例広範囲な分岐グリカンを有しています。このグリカンは、タンパク質への結合後、様々な処理工程を経ます。

Glycan-assembly-attachment-570pxグリカンの複合化と結合前駆体グリカンの合成は、小胞体(ER)の細胞質側表面から開始され、構造がER内腔に反転された時点で完了します。その後オリゴ糖トランスフェラーゼ(OSTase)の作用により、前駆体グリカンが新生タンパク質上のAsn残基へと移動します。

まず、予測コンセンサス配列を有するAsn残基が、必ずしもグリコシル化されるわけではない点に留意する必要があります。N末端からC末端へタンパク質の合成を行うと、新生ポリペプチドが同一配向でERへと移動します。そしてポリペプチドがERへ侵入した直後に、タンパク質のフォールディングが始まります。したがってタンパク質フォールディングの進行に伴い、グリカン結合のコンセンサス配列へのOSTaseの到達が困難になります。実際にC末端Asn残基よりも多くのN末端Asn残基がグリコシル化されます。

ERにおけるグリカンのトリミング

オリゴ糖は、ER/ゴルジ体でグリコシダーゼによる加水分解を受け、トリミングされます。しかしERにおけるグリカントリミングは、ゴルジ体におけるトリミングとは異なる役割を果たします。

ERでは糖加水分解によって、以下2つが達成できます:タンパク質フォールディングの監視;タンパク質の分解時期の指示。グリコシダーゼIおよびIIによって、2つの末端GlcGlcが前駆体グリカンから除去されます。その後、カルネキシン(膜結合性の糖結合レクチン)およびカルレティキュリン(可溶性の糖結合レクチン)は、残留Glcを介して新生糖タンパク質に結合し、タンパク質の適正なフォールディングを促進するシャペロンとして作用します。残留GlcはグルコシダーゼIIにより素早く加水分解され、シャペロンから糖タンパク質が放出されます。非天然フォールディングを持つタンパク質は、UDP-グルコースの糖タンパク質グルコシルトランスフェラーゼによって認識されます。これによりGlc が糖タンパク質へと移動し、タンパク質がレクチンシャペロンに再結合して適切なタンパク質フォールディングが促進されます(12)。タンパク質が適正にフォールディングされるまで、Glcの添加と除去による上記サイクルを続行します(再グリコシル化されない程度まで)。そして糖タンパク質をゴルジ体へ輸送し、さらに処理を施します(13)。適切にフォールディングされている糖タンパク質のグリカン構造(ゴルジ体へ輸送される)は、高等真核生物中に見られる高マンノース型糖鎖(Man9GlcNAc2)です。

ER常在性マンノシダーゼ(ERManI)は、適切にフォールディングできないタンパク質を同定する際に機能します。ERManI活性を介してER で3~4個のマンノース残基を失うタンパク質は、ER外へ輸送し、グリカナーゼNで脱グリコシル化(全グリカンを除去en bloc)させ、ER関連分解(ERAD)で処理されます(14,15,16,17)。ERManIはマンノース加水分解の速度が遅いため、(マンノース残基が除去され、タンパク質が分解に標的される前に)適切なフォールディングを達成するために、新生タンパク質が何度も再グリコシル化されます。このことからERManIは、ある種のタイマーとして機能すると考えられています(18)。

ゴルジ体におけるグリカンの成熟

グリコシル化でグリカンが成熟するまで、全てのN結合型糖タンパク質は共通の前駆体グリカン構造を保持します。ゴルジ装置でグリカンを処理する際、糖をトリミング後に付加することによって、糖タンパク質上に多様なグリカンが生成されます。多様なオリゴ糖を生成するこの成熟経路は、前駆体グリカン生合成と同様、高度に秩序化されています。つまり、各工程はそれぞれの先行工程に依存しています。これを達成するために、ゴルジ体では各酵素を別々の槽へ局在させています。

Golgi-glycosylation-enzymes-428pxゴルジ体酵素区分ゴルジ装置内のグリカン処理を媒介する各酵素がそれぞれ別々の槽へ分離され、段階的なグリコシル化が確実に起こります。

最終的なグリカン構造は、以下2タイプにおおまかに分類できます:

  • 複合オリゴ糖 – 複数の糖型を含む
  • 高マンノースオリゴ糖 – 複数のマンノース残基
  • ハイブリッド型 – 高マンノースオリゴ糖および複合オリゴ糖の分岐部

最終的に複合オリゴ糖となるグリカンを、ゴルジマンノシダーゼIおよびIIでトリミングし、GlcNAcトランスフェラーゼでグリコシル化すると、共通のコア領域が発生します(7,12)。この結果コアは様々なGtfの基質となり、糖部分を糖ヌクレオチドから継続的に移動させます。これによって、GlcNAc・ガラクトース(Gal)・N-アセチルノイラミン酸(NANAまたはシアル酸)・フコースなどのオリゴ糖鎖が、様々な長さや分岐状の形態で形成されます。上記処理により共通コア段階から発達する糖タンパク質は、エンドグリコシダーゼH(endo H)によるグリカン除去に対する耐性がつきます(エンドグリコシダーゼHは、糖タンパク質が高マンノースあるいはは複合オリゴ糖のどちらを含有しているか判定する実験に使用します)。

高マンノースオリゴ糖鎖は複合オリゴ糖鎖とは異なり、他の糖部分を一切有していません。ただし一部のMan残基については、ゴルジ体マンノシダーゼIでトリミングされるケースも少なくありません。グリカンが (残留する高マンノースオリゴ糖ではなく)複合オリゴ糖鎖の形態へ処理される確率は、プロセシング酵素のグリカンへの到達度に依存しています(これは、糖タンパク質の立体構造が原因で妨害される場合があります)。一部の糖タンパク質はハイブリッド型オリゴ糖を有しており、複合オリゴ糖鎖および高マンノースオリゴ糖鎖の2つから構成されています。

High-mannose-complex-oligosaccharides-570pxグリカンの成熟。糖タンパク質は、最初にERでトリミングされた後、ゴルジ体へ輸送されます。ゴルジ体では、ゴルジマンノシダーゼIの作用によって多数のマンノース糖が除去されます。さらなるグリコシル化を受けないグリカンは、高マンノースオリゴ糖と呼ばれます。糖をさらに添加/除去すると、様々なGtfに付加された種々の糖上に共通のコアオリゴ糖が生成します。この結果、極めて多種多様な複合オリゴ糖が生成します。共通コアを逸脱してグリカンが成熟することにより、エンドグリコシダーゼHの切断を受けなくなります。グリカンは、以下いずれかの形態へ成熟します:高マンノース型オリゴ糖;複合型オリゴ糖;前者両オリゴ糖の組み合わせ形態(ハイブリッド型オリゴ糖)。

O-グリコシル化

グリコシド結合としてはN-グリコシル化が最も一般的ですが、O-糖タンパク質も細胞生物学において重要な役割を果たします(19)。O-グリコシル化は、ムチンの生合成にとって不可欠です(ムチンは、重度にO-グリコシル化された高分子量タンパク質のファミリーであり、粘液分泌物を形成する)。また、細胞外マトリックス成分の材料となるプロテオグリカンコアタンパク質の整合性段階にも、O-グリコシル化が不可欠です。さらに、抗体が重度にO-グリコシル化されることも一般的です。

O-グリコシル化は、ゴルジ装置内でセリン側鎖やトレオニン側鎖上において翻訳後に発生します。一般にERでN-グリコシル化された糖タンパク質上でO-グリコシル化が起きるため、N-グリコシル化が原因で他のグリコシル化の発生が妨害されることはありません。O-グリコシル化は、結合場所が異なるだけでなく、グリコシル化の方法も異なります。前駆体グリカンがN-グリコシル化を介してAsnへまとめて転移するのに対して、セリン残基またはスレオニン残基に1つずつ糖を添加します。またO-グリコシル化は、コラーゲン中に見られるヒドロキシリジン(リジンの酸化形態)やヒドロキシプロリン(プロリンの酸化形態)上でも起こり得ますます(19)。さらに、一般にO結合型グリカンは、N結合型グリカンよりもはるかに単純なオリゴ糖構造を有しています。

対象製品

Please Configure List Items!

O-グリコシド化機構

O-グリコシド化機構は、N-グリコシル化機構ほど複雑ではありません。ゴルジ体へ輸送されるタンパク質は、一般にN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)トランスフェラーゼによりO-グリコシル化されます。このトランスフェラーゼにより、単一のGalNAc残基がセリン/トレオニンβ-OH基へと転移します。現段階では、上記酵素の既知コンセンサス配列の存在は確認されていませんが、構造モチーフの特徴付けが行われています。細胞や種に応じて、GlcNAc・フコース・キシロース・ガラクトース・マンノースなどでO-グリコシル化されるタイプのタンパク質もあります(6,20)。O-グリコシル化の単糖供与体としては、N-グリコシル化の場合と同様に糖ヌクレオチドが使用されます。最初の糖ヌクレオチドの添加後に、様々な個数の糖(わずか数個~10数個)を新生グリカン鎖へ継続的に添加します。またO-グリコシル化を細胞質や核内で起こすことにより、他のGtfを介して遺伝子発現やシグナル伝達の調節が行えます(21)。


グリピエーション

グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの共有結合は翻訳後修飾であり、タンパク質を細胞膜に局在化します。この特殊なグリコシル化は、真核生物や一部の古細菌の表面糖タンパク質上で一般的に検出されます(22)。

GPIアンカーは、以下から構成されています:

  • 標的タンパク質C末端へ結合するホスホエタノールアミンリンカー
  • グリカンコア構造
  • 膜内の構造を固定するリン脂質尾部
Glycosylphosphatidylinositol (GPI) anchor-500px

尾部の脂質部分およびグリカンコアの糖残基はいずれも多種多様な形態が存在し(23,24,25,26,27,28)、シグナル伝達・細胞接着・免疫認識をはじめとした広範な機能的多様性を示します(29)。またGPIアンカーをホスホリパーゼCなどの酵素で切断することにより、細胞膜に固定されたタンパク質の局在化の調節が行えます。

脂質化の機構

N-グリコシル化に用いる前駆体グリカンと同様に、GPIアンカーの生合成は、ERの外部(細胞質側)で開始され、内腔で完了します。このプロセスにおいて、3-4 Man残基や様々な糖(例:GlcNAc、Gal)が、膜に包埋されたホスファチジルイノシトール(PI)分子上に付加されます。本プロセスでは、糖ヌクレオチド (ER外部)やドリコール-Pマンノース(ER内部) から供与された糖を使用します。さらに2-3 ホスホエタノールアミン(EtN-P)リンカー残基がER内腔のホスファチジルエタノールアミンから供与されるため、アンカーのタンパク質への結合が促進されます(30,31,32,33,34)。

最終的に糖化されるタンパク質は、以下2種類のシグナル配列を有しています:

  • N末端シグナル配列 - ER内腔への輸送を指示します
  • C末端シグナル配列 - GPIトランスアミダーゼ (GPIT)により認識されます(29)

GPITはコンセンサス配列を有していませんが、GPIアンカーを配列中アミノ酸へ共有結合させる能力のある、C末端配列モチーフを認識することができます。このC末端配列は、翻訳直後にER膜に包埋されます。その後タンパク質は膜から切り離され、予め形成されたGPIアンカーへと結合します(35,36,37)。


C-グリコシル化

C-マンノシル化は、反応によって (炭素-窒素結合や、炭素-酸素結合ではなく) 炭素間結合が形成される点から、グリコシル化とは異なる区別されます。C-マンノシルトランスフェラーゼ(c-Mtf)の作用により、マンノースのC1がトリプトファンのインドール環のC2へと結合します(38)。酵素により特定配列のTrp-X-X-Trpが認識され、マンノース残基がドリコール-P-Man から配列中の最初のTrpへと移動します(39,40,41)。

C-マンノシル化は、様々な細胞株(42)やラット肝臓ミクロソーム(40)中において検出されています。C-グリコシル化されるタンパク質としては、リボヌクレアーゼ中のTrp2(43)、エリスロポエチン受容体、IL-12B (5) などが挙げられます。C-グリコシル化の生物学的機能については未だ解明されていませんが、現在は植物・昆虫・細菌(代謝加水分解に高耐性であるため)によるC-グリコシル化分子の合成に重点を置きながら創薬に向けた研究が行われています。


リン酸グリコシル化

このタイプの翻訳後修飾は、寄生生物(例:リーシュマニア やトリパノソーマ)や粘菌(例:タマホコリカビ類)に限定されており、ホスホジエステル結合を介したグリカンのセリン/スレオニンへの結合として特徴付けられます(44)。リン酸グリコシル化は、リーシュマニアなどの一部の寄生生物において最も多い翻訳後修飾であり(45,46)、プロテオホスホグリカン(PPG)の作成用として使用されます。これは宿主補体から保護するためには不可欠であり(47)、宿主中の寄生生物の凝集が促進されます(48)。ホスホグリコシル化の発生形態は、N-グリコシル化に類似しており、作成済みのホスホグリカンがリン酸グルコシルトランスフェラーゼ(PTase)を介して膜結合分子から転移することによって起こります。ただし、厳密な構造や酵素は宿主生物種によって異なります(44)。


グリコシル化後の修飾

ひとつのタンパク質上で様々なタイプのグリコシル化が起こる上に、グリカンへさらに修飾を加えれば所定プロテオーム中の糖タンパク質の多様性は高まります。グリコシル化後修飾には、以下のタイプがあります:

  • Man残基やGlcNAc残基の硫酸化 – 細胞外マトリックス中のプロテオグリカン成分であるグリコサミノグリカン(GAG)を生成する際に行われます
  • シアル酸のアセチル化 – タンパク質間相互作用を促進させる例が知られています(49,50,51)
  • 前駆型リソソームタンパク質上のMan残基などを用いたリン酸化 (マンノース6-リン酸) – ゴルジ体中のマンノース6-リン酸受容体(M6PR)へ結合することによって、堅実にリソソームへの輸送を行います

参考文献
  1. Wormald M. R. et al.(2002) Conformational studies of oligosaccharides and glycopeptides: Complementarity of NMR, X-ray crystallography, and molecular modelling.Chem Rev. 102, 371-86.
  2. Rudd P. M. and Dwek R. A. (1997) Glycosylation: Heterogeneity and the 3D structure of proteins.Crit Rev Biochem Mol Biol.32, 1-100.
  3. Lechner J. and Wieland F. (1989) Structure and biosynthesis of prokaryotic glycoproteins.Annu Rev Biochem.58, 173-94.
  4. Messner P. (1997) Bacterial glycoproteins.Glycoconj J. 14, 3-11.
  5. Walsh C. (2006) Posttranslational modification of proteins : Expanding nature's inventory.Englewood, Colo.: Roberts and Co. Publishers. xxi, 490 p. p.
  6. Spiro R. G. (2002) Protein glycosylation: Nature, distribution, enzymatic formation, and disease implications of glycopeptide bonds.Glycobiology.12, 43R-56R.
  7. Trombetta E. S. (2003) The contribution of N-glycans and their processing in the endoplasmic reticulum to glycoprotein biosynthesis.Glycobiology.13, 77R-91R.
  8. Burda P. and Aebi M. (1999) The dolichol pathway of N-linked glycosylation.Biochim Biophys Acta.1426, 239-57.
  9. Dempski R. E., Jr. and Imperiali B. (2002) Oligosaccharyl transferase: Gatekeeper to the secretory pathway.Curr Opin Chem Biol.6, 844-50.
  10. Dean N. (1999) Asparagine-linked glycosylation in the yeast Golgi.Biochim Biophys Acta.1426, 309-22.
  11. Bause E. and Legler G. (1981) The role of the hydroxy amino acid in the triplet sequence Asn-Xaa-Thr(Ser) for the N-glycosylation step during glycoprotein biosynthesis.Biochem J. 195, 639-44.
  12. Roth J. (2002) Protein N-glycosylation along the secretory pathway: Relationship to organelle topography and function, protein quality control, and cell interactions.Chem Rev. 102, 285-303.
  13. Ellgaard L. and Helenius A. (2003) Quality control in the endoplasmic reticulum.Nat Rev Mol Cell Biol.4, 181-91.
  14. Ermonval M. et al.(2001) N-glycan structure of a short-lived variant of ribophorin I expressed in the Madia214 glycosylation-defective cell line reveals the role of a mannosidase that is not ER mannosidase I in the process of glycoprotein degradation.Glycobiology.11, 565-76.
  15. Frenkel Z. et al.(2003) Endoplasmic reticulum-associated degradation of mammalian glycoproteins involves sugar chain trimming to Man6-5GlcNAc2.J Biol Chem.278, 34119-24.
  16. Hosokawa N. et al.(2003) Enhancement of endoplasmic reticulum (ER) degradation of misfolded Null Hong Kong alpha1-antitrypsin by human ER mannosidase I. J Biol Chem.278, 26287-94.
  17. Kitzmuller C. et al.(2003) Processing of N-linked glycans during endoplasmic-reticulum-associated degradation of a short-lived variant of ribophorin I. Biochem J. 376, 687-96.
  18. Lederkremer G. Z. and Glickman M. H. (2005) A window of opportunity: Timing protein degradation by trimming of sugars and ubiquitins.Trends Biochem Sci.30, 297-303.
  19. Gemmill T. R. and Trimble R. B. (1999) Overview of N- and O-linked oligosaccharide structures found in various yeast species.Biochim Biophys Acta.1426, 227-37.
  20. Dell A. and Morris H. R. (2001) Glycoprotein structure determination by mass spectrometry.Science.291, 2351-6.
  21. Lamarre-Vincent N. and Hsieh-Wilson L. C. (2003) Dynamic glycosylation of the transcription factor CREB: A potential role in gene regulation.J Am Chem Soc.125, 6612-3.
  22. Kobayashi T. et al.(1997) The presence of GPI-linked protein(s) in an archaeobacterium, Sulfolobus acidocaldarius, closely related to eukaryotes.Biochim Biophys Acta.1334, 1-4.
  23. Nosjean O. et al.(1997) Mammalian GPI proteins: Sorting, membrane residence and functions.Biochim Biophys Acta.1331, 153-86.
  24. Thomas J. R. et al.(1990) Structure, biosynthesis, and function of glycosylphosphatidylinositols.Biochemistry.29, 5413-22.
  25. Ikezawa H. (2002) Glycosylphosphatidylinositol (GPI)-anchored proteins.Biol Pharm Bull.25, 409-17.
  26. Brewis I. A. et al.(1995) Structures of the glycosyl-phosphatidylinositol anchors of porcine and human renal membrane dipeptidase.Comprehensive structural studies on the porcine anchor and interspecies comparison of the glycan core structures.J Biol Chem.270, 22946-56.
  27. Low M. G. (1989) Glycosyl-phosphatidylinositol: A versatile anchor for cell surface proteins.FASEB J. 3, 1600-8.
  28. Low M. G. and Saltiel A. R. (1988) Structural and functional roles of glycosyl-phosphatidylinositol in membranes.Science.239, 268-75.
  29. Vainauskas S. and Menon A. K. (2006) Ethanolamine phosphate linked to the first mannose residue of glycosylphosphatidylinositol (GPI) lipids is a major feature of the GPI structure that is recognized by human GPI transamidase.J Biol Chem.281, 38358-64.
  30. Menon A. K. et al.(1993) Phosphatidylethanolamine is the donor of the terminal phosphoethanolamine group in trypanosome glycosylphosphatidylinositols.EMBO J. 12, 1907-14.
  31. Menon A. K. et al.(1990) Biosynthesis of glycosyl-phosphatidylinositol lipids in Trypanosoma brucei: Involvement of mannosyl-phosphoryldolichol as the mannose donor.EMBO J. 9, 4249-58.
  32. Menon A. K. and Stevens V. L. (1992) Phosphatidylethanolamine is the donor of the ethanolamine residue linking a glycosylphosphatidylinositol anchor to protein.J Biol Chem.267, 15277-80.
  33. Orlean P. (1990) Dolichol phosphate mannose synthase is required in vivo for glycosyl phosphatidylinositol membrane anchoring, O mannosylation, and N glycosylation of protein in saccharomyces cerevisiae.Mol Cell Biol.10, 5796-805.
  34. Imhof I. et al.(2000) Phosphatidylethanolamine is the donor of the phosphorylethanolamine linked to the alpha1,4-linked mannose of yeast GPI structures.Glycobiology.10, 1271-5.
  35. Kinoshita T. et al.(1995) Defective glycosyl phosphatidylinositol anchor synthesis and paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.Adv Immunol.60, 57-103.
  36. Gerber L. D. et al.(1992) Phosphatidylinositol glycan (PI-G) anchored membrane proteins.Amino acid requirements adjacent to the site of cleavage and PI-G attachment in the COOH-terminal signal peptide.J Biol Chem.267, 12168-73.
  37. Udenfriend S. and Kodukula K. (1995) How glycosylphosphatidylinositol-anchored membrane proteins are made.Annu Rev Biochem.64, 563-91.
  38. de Beer T. et al.(1995) The hexopyranosyl residue that is C-glycosidically linked to the side chain of tryptophan-7 in human RNase Us is alpha-mannopyranose.Biochemistry.34, 11785-9.
  39. Krieg J. et al.(1998) Recognition signal for C-mannosylation of Trp-7 in RNase 2 consists of sequence Trp-x-x-Trp.Mol Biol Cell.9, 301-9.
  40. Doucey M. A. et al.(1998) Protein C-mannosylation is enzyme-catalysed and uses dolichyl-phosphate-mannose as a precursor.Mol Biol Cell.9, 291-300.
  41. Hartmann S. and Hofsteenge J. (2000) Properdin, the positive regulator of complement, is highly C-mannosylated.J Biol Chem.275, 28569-74.
  42. Krieg J. et al.(1997) C-mannosylation of human RNase 2 is an intracellular process performed by a variety of cultured cells.J Biol Chem.272, 26687-92.
  43. Loffler A. et al.(1996) Spectroscopic and protein chemical analyses demonstrate the presence of C-mannosylated tryptophan in intact human RNase 2 and its isoforms.Biochemistry.35, 12005-14.
  44. Haynes P. A. (1998) Phosphoglycosylation: A new structural class of glycosylation?Glycobiology.8, 1-5.
  45. Ilg T. (2000) Proteophosphoglycans of Leishmania.Parasitol Today.16, 489-97.
  46. McConville M. J. et al.(2002) Secretory pathway of trypanosomatid parasites.Microbiol Mol Biol Rev. 66, 122-54; table of contents.
  47. Sacks D. L. et al.(2000) The role of phosphoglycans in Leishmania-sand fly interactions.Proc Natl Acad Sci U S A. 97, 406-11.
  48. Bates P. A. and Rogers M. E. (2004) New insights into the developmental biology and transmission mechanisms of Leishmania.Curr Mol Med.4, 601-9.
  49. Rogers G. N. et al.(1986) Influenza c virus uses 9-O-acetyl-N-acetylneuraminic acid as a high affinity receptor determinant for attachment to cells.J Biol Chem.261, 5947-51.
  50. Schultze B. and Herrler G. (1992) Bovine coronavirus uses N-acetyl-9-O-acetylneuraminic acid as a receptor determinant to initiate the infection of cultured cells.J Gen Virol.73 ( Pt 4), 901-6.
  51. Schultze B. and Herrler G. (1993) Recognition of N-acetyl-9-O-acetylneuraminic acid by bovine coronavirus and hemagglutinating encephalomyelitis virus.Adv Exp Med Biol.342, 299-304.
  52. Cummings R. D. and Etzler M. E. (2009) Antibodies and lectins in glycan analysis.Essentials of Glycobiology, 2nd edition.Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press.
  53. Pan S. et al.(2011) Mass spectrometry based glycoproteomics--from a proteomics perspective.Mol Cell Proteomics.10, R110 003251

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.