二次抗体は、標的抗原に直接結合する一次抗体へ結合することによって、標的抗原の検出/ソーティング /精製をサポートします。一次抗体の大部分は、限定された数種類の動物種をホストとして作成されており、さらに大部分のイムノグロブリンのクラスはIgGになっています。そのため各抗体メーカーは、あらゆるアプリケーションに対応するready-to-useの二次抗体を、容易かつ安価に生産・提供することができます。二次抗体の種類は比較的限られていますが、一方で、アプリケーションに応じた精製レベル、特異性、標識タイプなどさまざまなオプションが選択できます。

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二次抗体を使用する利点

二次抗体では、標的に特異的に結合した一次抗体を介して、間接的に標的を検出する事ができます。二次抗体は、使用する一次抗体のホストの生物種、およびアイソタイプに対して特異性のあることが求められます。また一般に二次抗体は検出可能なタグや、精製や検出を容易にするための標識がされています。

Direct_vs_Indirect_Ab_Detectionタンパク質の直接検出と間接検出の違いを表した図。|標的タンパク質は、メンブレン(ウェスタンブロット)またはマイクロプレートウェル(ELISA)の表面に結合/固定

間接検出法では、一次抗体による直接検出法と比較すると、操作ステップが多くなりますが、検出感度が高くなるという利点があります。間接検出法では、1つの一次抗体に対して複数の二次抗体が結合されるため、シグナルが増強されます。また二次抗体は、アイソタイプ/ホスト生物種の組合せが同一であれば、さまざまな一次抗体に併用することが可能です。標識された一次抗体を用いる場合より汎用性はかなり高くなります。一般的なホスト生物種由来の一次抗体であれば、さまざまな標識が施された二次抗体が市販されており、さらに検出用試薬も製品化されています。

Assay Development Technical Handbook

The revised Assay Development Technical Handbook is an essential resource for any laboratory using enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) and related plate-based assay methods. The handbook describes the essential techniques and tools for designing and optimizing ELISA Assays. Featured products include coated microplates, standards, blockers, buffers, probe-labeling reagents, secondary antibodies and detection substrates.

Contents include: Introduction to ELISA, Selecting an ELISA Plate, Thermo Scientific Pierce Microplates, Thermo Scientific Pierce Coated Microplates, Blocking and Washing, Blocking and Washing Reagents, Detection Probes, Antibody Labeling, Choosing a Substrate, Bulk and Custom Offerings, and Recommended Reading.

二次抗体フラグメント

二次抗体は、次の3タイプの形態で提供されます: whole IgG;F(ab')2フラグメント(二価抗体); Fabフラグメント(一価抗体)。

-Whole IgG

通常、二次抗体は、免疫動物(ホスト)の血清からアフィニティー精製されます。最初の精製では、、免疫抗体に結合する全免疫グロブリンが回収されます。主に約150 kDa のIgGクラスから構成されています。さらに、プロテインAまたはGを用いて、さらに精製することにより、IgG以外の免疫グロブリンクラスを完全に除去します。上記の方法で生産されたWhole IgG二次抗体は、ほぼすべてのアプリケーションに利用可能で、非常に安価です。

F(ab')2抗体フラグメント

Whole IgGは、ほとんどのアッセイに利用できます。一方で、特定の方法では、Fc領域を除いた抗体が適する場合もあります。抗体の分子サイズが小さい方が有効であったり、抗体のFc部分に結合するタンパク質( Fcレセプター、プロテインA、プロテインGなど)を避けたい場合に使用されます。いくつかの生物種由来のIgGは、ペプシン消化によってFc領域を除去することができ、残った2価のF(ab')2フラグメント抗体(約100kDa)が得られます。

ペプシン処理後、プロテインAまたはプロテインBカラムを用いることにより、F(ab')2フラグメントを精製する事が可能です。この処理により、未消化のIgGや、Protein A/G結合ドメインを有するFcフラグメントを除去します。小さく分断されたFcフラグメントは、透析やゲル濾過、あるいはアフィニティ精製によって、ある程度の除去が可能です。

マウスIgG1(モノクローナル抗体の主要アイソタイプ)は、ペプシン切断に耐性があるため、フィシンによる消化を行います。ただし、プロテインAは、マウスIgG1へのアフィニティが低いのでご注意ください。プロテインAをマウスIgG1に使用する場合には、特化した結合条件の使用が推奨されます。また、マウスIgG1にアフィニティーの高いタンパク質Gによる精製も有効です。

Fabフラグメント抗体 

Fabフラグメント抗体は、パパイン処理によって産生されます。一部の生物種由来のIgGは、パパインによる酵素消化によって、抗原の結合ドメインとヒンジ領域が切断され、2つのFabフラグメントとFcフラグメントに分かれます。一価のFabフラグメント抗体は、ブロッキングの用途に有用です。また、結合比のコントロールやFc相互作用の排除などが要求される特殊なケースに利用される場合もあります。低分子の(~50 kDa) Fabフラグメントを用いると、Whole IgGよりも、組織切片サンプルの内部へ浸透するため、抗原検出が向上します。

固定化パパインを用いると、Fabフラグメントから簡単に酵素を除くことができます。パパイン消化では、IgGは高度に断片化されないため、反応後プロテインAまたはプロテインGのカラムで、インタクトなFcフラグメントや未消化のIgGを除去することが可能です。必要に応じて、プロテインAまたはプロテインGのカラムを介した消化反応によってインタクトなFc断片や未消化IgGを除去することも可能です。

マウスIgG1抗体のFc部分を除去するには、フィシンによる消化が適しています。

IgG_diagram-354px抗体結合タンパク質の特異性。|ビーズ支持体への抗体固定化に用いるタンパク質は、様々な抗体ドメインに対して特異性を示します。プロテインAおよびGは抗体Fc領域の重鎖に結合します。一方プロテインLは、F(ab')2抗体断片の二つのFab領域の軽鎖へ特異的に結合します。† またプロテインGは、特定条件下でFab断片への結合が可能です。

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二次抗体の特異性

二次抗体は、一次抗体を産生した動物種の免疫グロブリンに対する抗体で、一次抗体のホストとは異なる動物種で産生したものを使用します。例えば抗マウス抗体は、マウス以外の動物にマウス抗体をインジェクションすることによって産生されます。二次抗体の産生では、ホストとして主にヤギ、ロバ、ウサギが用いられます。また抗体メーカーによっては、その他の動物種由来の二次抗体も入手が可能です。

主要タイプの二次抗体は、標的動物由来の免疫グロブリンのプールに対して産生されています。例えば、ヤギをホストとしてマウスIgG抗原の二次抗体(ヤギ抗マウスIgG抗体)を作成した場合、この2次抗体は、全クラスのマウス抗体に結合します。マウスIgG(H&L)やIgGフラグメント、また同一のドメインを有するその他の分子[ 例:IgGとκ(kappa)軽鎖を共有するIgMなど] にも結合します。一方、ヤギをホストとしてマウスIgG1抗体抗原の二次抗体を作成した場合、この二次抗体はマウスIgG1抗体、もしくは同じドメインを有する分子にしか結合しません。

多くの免疫グロブリンドメイン構造中には高度に共通している領域が存在しています。そのためクラス特異的な二次抗体の産生には、他の免疫グロブリンとの交差反応を最小限に抑えるために、アフィニティ精製と交差吸着処理(cross-adsorption)を行う必要があります。具体的な例を挙げると、マウスIgG1に結合するすべてのヤギ抗体をアフィニティー精製するために、固定化したマウスIgG1抗体を使用します。これらの抗マウスIgG1抗体を、マウスIgG2a/ IgG2b/ IgG3/ IgM等を含むクロマトグラフィーカラムに通過させて、さらに精製します。その結果、IgG1以外のアイソタイプと交差反応する抗体を除去することができます。

さらに、2次抗体は、抗体作成の際のホスト以外の生物種由来の血清タンパク質を固定化したカラムを用いて、追加の精製を行うことも可能です。この精製は、交差吸着( cross-adsorption)と呼ばれるオプション精製になります。ホストの異なる複数の一次抗体を使用した場合や、サンプル中に免疫グロブリンやその他の血清タンパク質が含まれる場合は、交差吸着した二次抗体の使用をお勧めします。

交差吸着済みのThermo Scientific Pierce Antibodiesは、特定の生物種由来の血清タンパク質との交差反応を最小限に抑えるよう精製されており、「min x Sp」というコードで示されます。Spとは、二次抗体の交差吸着された血清タンパク質の生物種(1種または2種以上)の略称です(下表をご参照ください)。一般に他社でも類似コードが使用されています:

SpecAbbrevKey
二次抗体の特異性を表す一般的略称

二次抗体はクラスや生物種特異性だけでなく、抗体断片(F(ab')1、Fab)、もしくは各抗体鎖(μ、γ、κ)や各抗体ドメインに対する精製も行えます。下表は、二次抗体の特異性を表す一般的な表記法です:

H+L(重/軽鎖) 全免疫グロブリン(Ig)、および免疫グロブリン鎖/ドメインを含む分子
Fc(断片、結晶化可能領域) ヒンジを形成する重鎖領域、およびFc受容体/プロテインA/プロテインGの結合部位
Fab(断片、抗原結合) 抗原結合ドメインを形成する重/軽鎖領域
F(ab')2抗原結合ドメインおよびヒンジ領域を形成する重/軽鎖領域
μμ重鎖(IgMクラス)
γγ重鎖(IgGクラス)
κκ軽鎖
λλ軽鎖

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二次抗体の選択

実験の目的によって、二次抗体の特異性が高すぎてしまったり(例:一次抗体に対して1種類のホスト生物種由来しか認識しない)、逆に二次抗体の特異性が低すぎてしまう場合もあります(例: 全IgG/ IgGフラグメントを認識してしまう)。実験システム設計を詳細に行い、適切な二次抗体が選択できれば、こうした問題のほとんどは解決できます。下記の点に従って、二次抗体を選択してください:

  1. 一次抗体のホストの生物種を決定する(マウス抗チューブリン、ウサギ抗CD4、等)
  2. 二次抗体に対して適切なホストの生物種を選択する(ヤギ抗マウスIgG、ロバ抗ウサギIgG)
  3. 二次抗体の交差反応性や特異性に注意してください:
    • Highly cross-absorbed(交差吸着)– 複数の標識を行う用途、もしくは内因性抗体と共にサンプルの検出を行う場合
    • 特異性 – 一次抗体の適正な断片/クラス/鎖に結合する
  4. 検出法や精製法
    • 標識 – 検出法に適正な酵素/タグ/蛍光団へ適切に結合する
    • プロテインA/プロテインG/プロテインLへの結合能力 – 使用する二次抗体が、上流や下流で用いる分子に対して十分にアフィニティーがあることをご確認ください(例:プロテインAでコーティングされたマイクロプレート)
  5. 二次抗体の形状に注意してください:
    • 二次抗体の形状:二次抗体は液体状態または凍結乾燥状態で提供されます。また抗体によって、PBSに溶解されていたり、Tris-bufferに溶解されていたりと様々です。さらにキャリアタンパク質としてゼラチンやアルブミンが添加されていたり、スクロースや微生物阻害剤が添加されているものもあります。

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.