Search Thermo Fisher Scientific
Search Thermo Fisher Scientific
byPaul Haney, Ph.D.; Aaron McBride, M.S.; Katherine Herting, B.S.; Monica Noonan, M.S.; - 03/24/14
ゲルろ過クロマトグラフィは、タンパク質やDNAなど大きな分子から試薬成分を分離するためによく使用されます。このアプリケーションは、通常、脱塩あるいはバッファー交換と呼ばれています。これはライフサイエンスの研究に必須な技術で、サンプル中に過剰に存在する塩や代謝産物、ビオチン、架橋剤、reactive dye、放射性物質、薬剤などを除去しながら、以後のアプリケーションに適したバッファーへの置換が可能です。脱塩処理用に、さまざまな樹脂がさまざまなサイズフォーマットで市販されています。4mL未満の少量サンプルでは、重力フロー(自然落下)カラム、またはスピンカラムを用いたフォーマットが一般的です。2000 〜40,000ダルトンの間のさまざまなサイズ排除限界( exclusion limit)を有するレジンが入手できます。小スケールのタンパク質脱塩処理では、排除限界が5000~7000kDaのレジンが良く使用されます [通常、5K~7K MWCO(molecular-weight cutoff)と表記]。
Thermo Scientific Zeba Spin Desalting Column (7K MWCO)をベースとして、競合であるGE Healthcare 社および Bio-Rad社の同等品との比較を行いました。図1はスピンカラム製品の製品ライナップやサンプル処理容量をまとめています(図1)。Zeba Spin Desalting Columnは、他メーカーと比較し、さまざまな容量および濃度のサンプルに対応可能な製品ラインナップが揃っており、サンプルの希釈を抑え、高いタンパク質回収効率を提供します。
7K MWCO Zeba Desalting Resinおよびスピンカラムフォーマットの製品は、幅広い容量およびタンパク質濃度のサンプル対して、優れたパフォーマンスのゲルろ過性処理ができるよう設計されています。これを実証するために、Zeba Desalting Columnの2種類のサイズ( 0.5mLと10mL)のカラムを使用し、GE Healthcare社とBio-Rad 社の同等のカラムと比較実験を行いました。タンパク質の回収率は、BSAおよびHeLa細胞由来のライセートを用い、サンプル容量やタンパク質濃度を振ってデータを取りました。表 1は小サイズのカラムを用いた場合、表 2は大きなサイズのカラムを用いたデータをそれぞれまとめています。
脱塩カラムは、low-salt buffer(25mM NaCl)で平衡化しました。サンプルは、high-salt buffer (500mM NaCl)にさまざまな濃度になるように溶解した後、それぞれのカラムに適したプロトコールに従って脱塩処理を行いました。カラムは、各社の推奨プロトコルに沿って使用しました。塩成分の除去効率については、テストした全カラムについて、ほぼ同等でした ( > 95%、データ非公開)。基本的に、今回テストしたカラム間では、バッファー交換の性能に大きな差は認められませんでした[注:カラムの推奨容量以上のサンプルを処理した場合を除く:PD-10 columnに3.5mLのサンプルを処理したケース(表2)]。タンパク質濃度は、 BCAタンパク質アッセイキット(Part No. 23227)を用いて測定しました。ライセートサンプル(例、HeLa細胞ライセート)のタンパク質回収率は、純粋なタンパク質(例、BSA)を用いた場合と比較し、わずかに低くなります。これはライセートサンプル中のタンパク質アッセイに影響を与える低分子量化合物やコンタミネーションした物質が除去されるためです。
Zeba 0.5mL | SpinTrap G-25 | Micro Bio-Spin 6 | ||
---|---|---|---|---|
サンプル (濃度) | サンプル 容量 | 回収率 | 回収率 | 回収率 |
BSA 0.04mg/mL | 40μL | 70-80% | <10% | <10% |
80μL | 80-95% | <10% | <10% | |
120μL | >90% | <10% | <20% | |
BSA 0.2mg/mL | 40μL | 70-80% | <15% | 25-35% |
80μL | 80-95% | 35-45% | 45-60% | |
120μL | >90% | 55-70% | 65-80% | |
BSA 1mg/mL | 40μL | 80-95% | 45-60% | 70-80% |
80μL | >90% | 60-75% | 80-90% | |
120μL | >90% | 75-90% | >90% | |
HeLa lysate 0.2mg/mL | 40μL | 45-55% | <10% | <15% |
80μL | 60-70% | 15-25% | 30-40% | |
120μL | 70-80% | 45-55% | 50-60% | |
HeLa lysate 1mg/mL | 40μL | 65-75% | 45-55% | 45-55% |
80μL | 75-85% | 60-70% | 70-80% | |
120μL | 80-90% | 70-80% | 80-90% |
Zeba 10mL Spin | PD-10 (8.3mL) Spin | PD-10 (8.3mL) Drip † | ||
---|---|---|---|---|
サンプル (濃度) | サンプル 容量 | 回収率 | 回収率 | 回収率 |
BSA 0.04mg/mL | 1.5mL | 75-95% | 20-30% | 40-50% |
2.5mL | 75-95% | 30-40% | 45-55% | |
3.5mL | 75-95% | [60-70%] | [55-65%] | |
BSA 0.2mg/mL | 1.5mL | >90% | 60-70% | >90% |
2.5mL | >90% | 70-80% | 80-95% | |
3.5mL | >90% | [75-85%] | [75-85%] | |
BSA 1mg/mL | 1.5mL | >90% | 80-90% | >90% |
2.5mL | >90% | 80-90% | >90% | |
3.5mL | >90% | [80-90%] | [85-95%] | |
HeLa lysate 0.2mg/mL | 1.5mL | 70-85% | 55-65% | >90% |
2.5mL | 70-85% | 65-75% | 80-95% | |
3.5mL | 80-95% | [70-80%] | [75-85%] | |
HeLa lysate 1mg/mL | 1.5mL | 80-95% | 80-90% | >90% |
2.5mL | 80-95% | 80-95% | >90% | |
3.5mL | 85-95% | [80-95%] | [85-95%] | |
† 重力フローのプロトコルでは、スタートのサンプル容量に関係なく、3.5mLで回収しました。タンパク質の回収率は、最終的な総量で換算しました。 注:[]のついた値( PD -10の3.5mlのサンプル)は、サンプル容量がカラムの推奨最大値を大きく超えていることを示しています。バッファー交換は、この条件では不十分でした。 |
競合製品と比較してほぼ全ての条件で、タンパク質回収率が最も高かったのはZebaです(つまりタンパク質のロスが最も少ない結果でした)。GE HealthcareおよびBio-Rad製品では低濃度のサンプルでは特にタンパク質回収率が低く(例:BSAでは <0.2mg / mL) 、さらに小容量の場合も、低い回収率でした(表1の40μLの結果、 および表2の1.5mLの結果)。表1と表2のデータをより分かりやすくするため、サンプルの容量・濃度に対するタンパク質回収率をsurface mapでまとめました(図2 )。
図2。 サンプル濃度・容量に対するタンパク質回収率のsurface map。 surface mapは、表1と表2のBSAサンプルのデータを用いて作成しました。 詳細は本文を参照してください。
高レベルのタンパク質のロスが、GE HealthcareおよびBio-Radの スピンカラム式の脱塩カラムで見られました。この理由として、( 2 )レジンへのタンパク質の非特異的結合と、( 1 )遠心処理でレジンを通過させるための液体が不十分でタンパク質がトラップされたことが原因と考えられます。非特異的結合は、低濃度サンプルを含むすべてのテスト条件で確認され、サンプル中の50%以上のタンパク質が、サンプル容量に関係なくカラム通過されないことが確認されました。PD-10カラムの遠心法(スピンカラム)と重力フロー(自然落下)のタンパク質回収率を比較すれば、スピンカラム中のタンパク質のトラップは明らかです;少量のサンプルをカラムから押し出すために、大量のbufferを用いたところ(重力フローの方法で行うように)、タンパク質の回収効率が10~30%程度改善されました。
しかし重力フローのプロトコールでは、添加したサンプルがレジンベット内に移動した後、大量のchase bufferを追加する必要があります。これはサンプル回収をシンプルに、かつタンパク質回収効率を最大化するために行われます。例えば、 PD -10カラムの重力フローのプロトコールに従って操作すると、1.5mLのサンプルに対して、トータルで3.5mLの脱塩サンプルが分画・回収されました。つまりこの操作によりサンプルが希釈されます(上記の例では2.3倍に希釈)。操作に伴うタンパク質ロスとサンプル希釈による影響は、、SDS- PAGEのバンド強度で確認できます。図3のデータは、各カラムから回収されたサンプルから一定の容量をロードした結果です。この測定基準で評価すると、すべての試験区においてZeba Spin Desalting Columnが最も良い結果が得られています。
図3。 Zeba Spin Desalting Columnの優れたパフォーマンス Thermo Scientific Zeba Columnは、幅広いサンプル濃度・容量において、他社の類似製品と比較して、タンパク質回収が高く、操作に伴うサンプル希釈も最小限に抑えられています。 Zeba Spin Desalting Column(7K MWCO 、10mL)とディスポーザブルのPD- 10 Desalting Column(GE Healthcare)を用いて、脱塩の比較試験を行いました。サンプルはウシ血清アルブミン( BSA )を用い、0.04、0.2、1 mg/mLの濃度を設定し、さらに容量を振って(1.5、2.5、3.5 mL)比較を行いました。 脱塩の操作は、スピン(遠心分離機)または自然落下(重力フロー)方法のいずれかで行いました。各操作方法は、それぞれメーカー推奨のプロトコールに従いました。 3セットのカラムを最終バッファーで平衡化し、その後1.5 、 2.5および3.5mLのサンプルをロードしました。 電気泳動ゲルごとに、Load control(Lane 1)を設定し、1µg分のBSAをロードしています;他の脱塩サンプルは、Load controlと容量のみをそろえてロードしています。 レーン間のバンドの強度の違いは、脱塩操作に伴うタンパク質回収率や希釈のレベルによって生じます。
バッファー交換やタンパク質回収の効率は、さまざまなファクターに依存します。サンプル分子の形状や疎水性、溶解性、結合部位や濃度などの分子特性にも影響を受けます。これはどのようなゲル濾過レジンや方法を用いた場合も同様です。サンプルごとに、検証および最適化を行う必要があります。しかしながら、トリス緩衝液に溶解した精製タンパク質および細胞ライセートを用いた私どもの検証実験では、Zeba Spin Desalting Columnは、GE Healthcareや Bio-Radのカラムと比較して、同等以上のパフォーマンスが得られることを確認できました。
いくつかのメーカーから、5K~7KのMWCOレジンのスピンカラム式の脱塩カラムが市販されており、0.01mL~4mLのタンパク質サンプルの迅速な脱塩処理を可能にしています。Thermo Scientific Zeba columnと同等のサイズのGE Healthcare社およびBio-Rad社の脱塩カラムを用い、脱塩処理のパフォーマンステストを行いました(塩成分除去とタンパク質回収の効率)。塩成分の除去効率はすべてのカラムでほぼ同等でしたが (>95%)、タンパク質の回収率は、競合製品と比べてZeba Spin Desalting Columnは高いパフォーマンスが確認できました。
サンプル容量や濃度を振って試験を行いましたが、全体的にZeba Columnが最も高いタンパク質回収率を示しました(サンプルの希釈も最小限のレベルでした)。5つのサイズから成るready-to-useのZeba Spin Desalting Columnは、標準的な実験装置(マイクロチューブ用遠心機と一般的な遠心機)や消耗品(コレクションチューブ)に対応しており、2μL~4mLの容量のサンプルが処理できます。
以下のカラムに対して、40、80 および120µLの容量のサンプルでテストしました:
以下のカラムに対しては、1.5、2.5 および3.5mLの容量のサンプルでテストしました:
ウシ血清アルブミン(BSA)およびHeLa細胞抽出物の溶液は、0.04 、0.2、1mg/mLの濃度になるように、25mM Tris、500mM NaCl、 pH7.5で調製しました。カラムは25mM Tris、 25mM NaCl、 pH7.5のバッファーで平衡化しました。カラムは各メーカー推奨プロトコールに沿って操作しました。スピンカラム式の脱塩カラムについては、すべての製品で、指定された量のサンプルを処理でき、スタックやチェイスバッファーの追加はありませんでした。PD - 10カラム(GE Healthcare )では、スピンカラム法と重力フロー(自然落下)法の両方のプロトコールをテストしました。自然落下のプロトコール(メーカー推奨プロトコール)では 、サンプルをカラムにロードした後、スタートサンプル量に関係なく、チェイスバッファーを追加しながら、3.5mLずつ溶出・回収しました。
500mM~25mM NaClからの塩除去効率は、脱塩前と脱塩後のサンプルの電気伝導度(mS/cm)を測定し、別途作成した標準曲線(塩濃度毎の電導度をプロットして作成)を基に決定しました。
タンパク質の回収率は、脱塩処理後のサンプルのタンパク質濃度を測定し、回収されたサンプルの容量からトータルのタンパク質回収量を算出して、もとめました。タンパク質濃度はBCA Protein Assay Kit (Part No.23227)を用いて測定しました。
サンプルはまたSDS-PAGEにより分析されました。SDS-PAGEは、最初のサンプルのみ1µg分のタンパク質をロードしました。他のサンプルについては、すべて容量をそろえてロードしました。レーン間のバンド強度の違いは、タンパク質の回収率と希釈レベルの差によって生じます。
Thermo Scientific Zeba Spin Desalting Columns, 7K MWCO、75µL は、素材はポリプロピレン製で、専用の高性能サイズ排除クロマトグラフィーレジンが充填されています。遠心フォーマットによって優れたタンパク質の脱塩および回収を行います。
Zeba Spin Desalting Columns、7K MWCO、75µLの特徴:
非常に低濃度(25μg/ mL)のタンパク質サンプルでも、高いパフォーマンスで脱塩処理できることを確認しています。塩成分や低分子の夾雑物(< 1000MW)を95%以上除去し、>7000MWのサンプル分子を効率よく回収します。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.