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byRizwan Farooqui, Ph.D.; Babu Antharavally, Ph.D.; Alice Alegria-Schaffer, M.S. - 07/18/12
従来のエンドトキシン除去法は、時間を要するうえ、精製する標的分子ごとに厳密な最適化を行う必要があります。加えて、イオン的にエンドトキシンを吸着する方法では、高度に荷電したタンパク質の吸着を避けるためpHの最適化が必要であり、エンドトキシンをろ過するためのサイズ排除法は、大きなサイズのタンパク質には効果的ではありません。弊社では、タンパク質および抗体試料からのエンドトキシン除去に効果的な、エンドトキシン除去樹脂を開発しました。この樹脂は、環境に優しい天然高分子であるセルロース、および食品保存料としてFDAの認可を受けたポリ-ε-リシンで構成されています。
このThermo Scientific Pierce高容量エンドトキシン除去樹脂について、その汎用性を証明するため、様々なタイプの試料について試験を行いました。スピンカラムで1時間処理する方法で各実験を行い、処理後のエンドトキシンレベルおよびタンパク質回収率を測定しました。多様な試料において、種々の分子量および電荷を持ったタンパク質が高効率で回収されるとともに、エンドトキシンが効果的に除去されることが分かりました。
エンドトキシン除去樹脂の試験を、種々の分子量および電荷を持った4つの精製タンパク質について実施しました。哺乳動物細胞および大腸菌培養に由来するタンパク質試料におけるエンドトキシンレベルをシミュレートするため、各タンパク質のエンドトキシンレベルが高いものおよび低いものについて、それぞれ試験を行いました。すべての試験をとおして、エンドトキシン除去率は90%以上(表1)、タンパク質回収率は85%以上(データ未掲載)でした。
試料(1 mg/mL濃度で1 mL)は、Pierce高容量エンドトキシン除去スピンカラム0.5 mLで処理しました。
タンパク質(1 mg/mL) | 分子量(Da) | 等電点(pI) | 処理前エンドトキシン(EU/mL)† | 処理後エンドトキシン(EU/mL) | エンドトキシン除去率(%) |
---|---|---|---|---|---|
シトクロムC | 12,000 | 10.6 | 10,000 | 1.35 | >99 |
25 | 2.35 | 90 | |||
ミオグロビン | 17,000 | 6.8 | 10,000 | 3.67 | >99 |
24 | 1.6 | 93 | |||
ウシ血清アルブミン(BSA) | 66,000 | 4.9 | 10,000 | 0.80 | >99 |
14 | 0.6 | 96 | |||
ウシガンマグロブリン(BGG) | 150,000 | 7.4 | 10,000 | 4.60 | >99 |
18 | 0.37 | 98 | |||
†1エンドトキシンユニット(EU)は、およそ0.1 ngのエンドトキシンに相当する。 |
この樹脂の試験は、細胞培養上清中のタンパク質や抗体、細胞ライセート、血清などの複雑な生体試料についても実施しました。処理後のエンドトキシンレベルは、すべての試料をとおして1 EU/mL未満でした(表2)。
試料(2 mL)は、Pierce高容量エンドトキシン除去スピンカラム0.5 mLで処理しました。
タンパク質/ソース | 処理前エンドトキシン濃度(EU/mL) | 処理後エンドトキシン濃度(EU/mL) |
---|---|---|
抗フラクタルカイン/細胞培養上清 | 8.26 | <1 |
Hisタグ融合GFP/大腸菌 | 9,780 | <1 |
IgG/ヒト血清 | 78 | <1 |
処理に用いた試料の平均タンパク質濃度は1 mg/mLであり、エンドトキシン除去後の回収率は85%以上でした。希薄試料からのタンパク質回収を評価するため、Pierce高容量エンドトキシン除去樹脂の試験を、2種類の濃度(0.25 mg/mLおよび0.10 mg/mL)のBSAおよびIgG試料について実施しました。弊社製品は、99%のエンドトキシンを除去することができましたが、0.1 mg/mLのタンパク質試料における回収率は、従来法の85%よりも低い値になりました(表3)。
10,000 EUの大腸菌O55:B5株を含むBSAおよびヒトIgG(2 mL)を、Pierce高容量エンドトキシン除去スピンカラム0.5 mLで処理しました。
処理前タンパク質濃度(mg/mL) | BSA回収率(%) | IgG回収率(%) |
---|---|---|
0.25 | 90 | 89.5 |
0.1 | 72 | 67 |
エンドトキシンは、大腸菌などのグラム陰性細菌の外膜に由来するリポ多糖です。大腸菌には数多くの菌株が存在するため、Pierce高容量エンドトキシン除去樹脂のエンドトキシン除去能力試験には、4種類の異なる大腸菌株を使用しました。各菌株に対するエンドトキシン除去率は、99%以上でした(表4)。
10,000 EUの種々の大腸菌株を添加したBSA(1 mg/mL濃度で1 mL)を、Pierce高容量エンドトキシン除去スピンカラム0.5 mLで処理しました。
大腸菌株 | 処理後エンドトキシン濃度(EU/mL) | エンドトキシン除去率(%) | タンパク質回収率(%) |
---|---|---|---|
O11:B4 | 0.36 | >99.9% | 83% |
O26:B6 | 4.18 | >99.9% | 88% |
O127:B8 | 0.87 | >99.9% | 87% |
O128:B12 | 5.01 | >99.9% | 88% |
Pierce高容量エンドトキシン除去樹脂は、タンパク質および抗体試料からのエンドトキシン除去に効果的です。この樹脂は、様々なソース、サイズ、電荷のタンパク質からエンドトキシンを除去することができました。タンパク質の回収率は、試料濃度が0.25 µg/mL程度であっても、85%以上の高い値を示しました。加えて、4種類の異なる大腸菌株に由来するエンドトキシンを、この樹脂で効果的に除去することができました。この樹脂は、その高い吸着容量と低いタンパク質保持力により、多くのタイプのタンパク質試料に適用することが可能です。
Pierce高容量エンドトキシン除去スピンカラム0.5 mLを500 ×gで1分間遠心分離し、保管用バッファーを除去しました。カラムを0.2N NaOHで一晩洗浄した後、2M NaCl、エンドトキシンフリー水の順でさらに洗浄しました。樹脂の平衡化は、エンドトキシンフリーなリン酸緩衝生理食塩水で3回行いました。試料(1 mLまたは2 mL)は、10 mMリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウムを含むバッファー(pH 7.2)に添加し、穏やかに回転攪拌しながら22°Cにて1時間インキュベートしました。カラムを500 ×gで1分間遠心分離し、試料を回収しました。エンドトキシンレベルの測定には、Thermo Scientific Pierce LAL発色性エンドトキシン定量キット(品番88282)を、タンパク質の回収率測定には、Thermo Scientific Pierce BCAタンパク質アッセイ(品番23225)を、それぞれ使用しました。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.