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byMichael Major, Ph.D.; Wendy Towne, M.S.; Navid Haghdoost, Ph.D.; Barbara Kaboord, Ph.D. - 11/12/12
シグナル伝達、タンパク質間相互作用、タンパク質安定性、タンパク質局在性、アポトーシスおよび細胞周期調節などほぼすべての細胞内生物学的事象は、可逆タンパク質リン酸化により調節されます。タンパク質リン酸化の調節解除は、癌や代謝性疾患、免疫不全といった多数のヒト疾患の代表的な特長です。しかし、リン酸化特異的抗体が十分に開発されていない、リン酸基が化学変化を起こしやすい状態にある、あるいはリン酸化タンパク質の量が少ないという状況から、リン酸化タンパク質を研究することが困難です。本研究では、哺乳類細胞および組織由来のリン酸化タンパク質濃縮用Thermo Scientific Pierce Phosphoprotein Enrichment Kit(品番90003)の性能を試験しました。
リン酸化タンパク質の特異性を評価するため、HeLaおよびNIH 3T3細胞を血清飢餓状態にし、それぞれEGFおよびPDGFで活性化しました。キット取扱説明書に従って細胞ライセートを処理し、リン酸化タンパク質の濃縮を行いました。ウェスタンブロット分析については、成長因子シグナル伝達に関係している重要な調節タンパク質を識別するリン酸特異的抗体を使用しました。非リン酸化タンパク質のシトクロムc (pI 9.6)およびp15Ink4b (pI 5.5)が溶出分画に認められず、フロースルー分画および洗浄分画に認められたことから、キットの特異性が証明されました(図1)。
in vitroでHeLa細胞ライセートを脱リン酸化したところ、溶出液中にそれらが認められなかったことから明らかなように、リン酸化タンパク質濃縮カラムへのPTEN、MAPKおよびGSK3βの結合が減少しました。逆に、3つのすべてのタンパク質は、未処置HeLaライセートからの溶出画分に認められました(図2)。本リン酸化タンパク質濃縮キットは、他社製品と比べて、より高収量のリン酸化タンパク質濃縮をもたらしました(表1)。本キットは、ホモジナイズしたマウス肝臓組織からも、効果的にリン酸化タンパク質を濃縮しました(図3)。
キット | Phosphoprotein Yield (µg)† | Enrichment Time (Hours) | |||
---|---|---|---|---|---|
Pierce Phosphoprotein Enrichment Kit | 300 | 1.5 | |||
Supplier Q Kit | 88 | 4.5 | |||
Supplier I Kit | 52†† | 3.5 | |||
Supplier C Kit | 160 | 3 | |||
Supplier E Kit | Too dilute to determine | 5 | |||
†From 2mg total protein; ††Based on maximum 1mg load per manufacturer’s protocol. |
Pierce Phosphoprotein Enrichment Kitは、弊社独自の高い収量をもたらす金属およびバッファー組成を使用しており、非特異的な結合はごくわずかです。本キットは使いやすく、哺乳類の培養細胞および組織に適しています。
サンプル調製:HeLa(ヒト子宮頸癌)およびNIH 3T3(マウス線維芽細胞)細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するDMEM培地を用いて37°C、5% CO2で増殖させることにより、細胞培養を実施しました。48時間、血清飢餓培養(0.25%)することで、細胞を静止状態にしました。血清飢餓培養したHeLaおよびNIH 3T3細胞を、100 ng/mLのEGF[Cell Signaling Technology (CST)]で10分、50 ng/mLのPDGF (CST)で20分、それぞれ活性化しました。活性化後、非リン酸塩バッファー(50 mM HEPES、pH 7.3)で細胞を洗浄しました。1 mLのThermo Scientific Haltプロテアーゼ阻害剤(EDTAフリー)(品番78437)およびThermo Scientific Haltホスファターゼ阻害剤(品番78420)を添加した溶解または結合または洗浄バッファーを各15 mL細胞培養皿に加えることで、細胞ライセートを調製しました。細胞を適切な大きさの回収チューブにかき集め、氷上に45分に置き、定期的にボルテックスしました。タンパク質濃度は、Thermo Scientific Pierce Coomassie Plus Bradford Assay(品番23238)で測定しました。ラムダホスファターゼ処理については、全HeLa細胞ライセートの小分け品100 μgをラムダホスファターゼ400 U (Upstate Biotechnology)とともに、37°Cで24時間インキュベートしました。
スピンカラム濃縮:全細胞ライセート約2 mgを溶解または結合または洗浄バッファーで0.5 mg/mlに希釈しました。希釈した細胞ライセートをあらかじめ平衡化したリン酸化タンパク質濃縮カラムに加え、振盪機をシーソー式シェーカー上で4°C、30分インキュベートしました。1000 x g、1分間遠心分離することで、非結合タンパク質分画を回収しました。リン酸化タンパク質濃縮カラムを、溶解または結合または洗浄バッファーで洗浄(5 mL x 3回)しました。1000 x g、1分間遠心分離することで、各洗浄分画を回収しました。各遠心分離(1000 x g)のステップ間に2~3分のインキュベーションを行い、リン酸化タンパク質を溶出バッファーで溶出(1 mL x 5回)しました。溶出分画をプールし、Thermo Scientific Pierce Concentrator 7 mL/9K MWCO(品番89884)の中に置いて2500 x gで遠心分離することにより、100~200 μLに濃縮しました(約30分)。タンパク質濃度は、Coomassie Plus Bradford Assayで測定しました。全精製に1.5時間かかりました。
Western Blot Analysis: Concentrated protein fractions were resolved by SDS-PAGE using 4-20% gradient gels. Specificity was determined by Western blot analysis using phosphorylated protein-specific antibodies. Antibodies recognizing non-phosphorylated proteins with varying isoelectric points (pI) were used as negative controls. Enrichment was determined by comparing phosphoprotein enrichment elution fractions to total cell extract (non-enriched). Antibodies: phospho-MAPK T202/Y204 (CST), phospho-PTEN S380 (CST), phospho-GSK3β S9 (CST), phospho-Akt S473 (CST), phospho-Src Y527 (CST), phospho-Rb S795 (CST), cytochrome C (Clontech) and p15Ink4b (CST). Primary and secondary antibody dilutions were 1:1000 and 1:5000, respectively, in 5% nonfat dry milk/TBST. Chemiluminescent detection was performed using Thermo Scientific SuperSignal West Pico Substrate (Part No. 34078).
当初、これらのデータは、2007年10月にPreviews 11(3):2-3に論文発表されました。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.