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byJae Choi, Ph.D.; Kate Wolf, B.S.1; Janaki Narahari, Ph.D.; Georgyi Los, Ph.D.; Atul Deshpande, Ph.D.; Brian Webb, Ph.D.; Peter Bell, Ph.D. - 05/02/14
タンパク質相互作用ネットワークの研究は細胞生物学を理解するための重要なアプローチで、創薬研究において関心が高まっています。しかし、高感度、定量的、高スループットスクリーニング(HTS)方法ではタンパク質-タンパク質相互作用の直接測定が困難だということがわかっています。従来の共免疫沈降アプローチは、ウェスタンブロット法を含む手間のかかるサンプル処理と検出が必要なためHTSには実用的ではありません。
そこで私たちはThermo Scientific™ Pierce™定量的免疫沈降(qIP)システムを開発し、哺乳類細胞に発現した組換えタンパク質間の相互作用を測定しました。高感度のルシフェラーゼアッセイ法ではゲル電気泳動やウェスタンブロットが必要ありません。さらに、この技術はHTSに利用できます。ここでは簡単にPierce qIP Assay Systemについて説明し、いくつかの実験例から結果を提示してアッセイシステムの有用性を示します。実験例には、HTS適合384ウェルプレートアッセイで行ったものが含まれ、高いS/N比とZ’値が得られました。
Pierce qIP Assayでは小さく明るいルシフェラーゼであるThermo Scientific™ TurboLuc™ (Tluc)ルシフェラーゼを使用し、目的タンパク質に融合させ、哺乳類細胞中のエピトープタグ付き(例:HAまたはMycタグ)タンパク質と一時的に共発現させました。両方のタンパク質を発現している細胞を溶解し、相互作用(HAタンパク質XとTlucタンパク質Y)を固体担体で捕捉します。一般的に担体は抗タグアガロースまたは磁気ビーズを使用します(本研究では、抗タグコートされたマイクロプレートウェルを使用した方法も行っています)。タンパク質相互作用(XおよびYタンパク質)をプルダウン産物のTlucルシフェラーゼ活性測定により定量します。
2つの目的タンパク質(XおよびY)の相互作用をアッセイシステムで試験するには、XおよびY遺伝子を2つの別々の発現ベクターにクローン化することが必要です。遺伝子Xをエピトープタグ付きべクター(HAまたはMycタグ)に、遺伝子YをTluc融合べクターにクローン化します。哺乳類細胞への同時導入により、ベクターはXおよびYタンパク質を発現し、処理条件に応じて相互作用します。次に、細胞を溶解し、目的タンパク質複合体に抗エピトープタグ付きビーズで免疫沈降を行います。最後に、共免疫沈降産物(タンパク質Y)をTlucルシフェラーゼ活性測定により定量します(図1)。
A. ビーズベースqIPアッセイ
B. プレートベースqIPアッセイ
Pierce定量的免疫沈降(qIP)システムでは、TurboLucルシフェラーゼ酵素(Tluc)を使用して、共免疫沈降に固有の生成物の存在量を正確かつ的確に示すことができるので、手間のかかるウェスタンブロット、およびバンドデンシトメトリーステップは不要になります。Tlucルシフェラーゼは小さな(18kDa)細胞内発現型のルシフェラーゼで、Metridinidae copepodsから採取したルシフェラーゼに基づいて設計された合成遺伝子が発現したものです。Tlucルシフェラーゼはセレンテラジンを基質とし、一般に使用されるホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼよりはるかに明るく生物発光するよう操作されています。生物発光が強いため、Tlucルシフェラーゼベースアッセイの感度は非常に高くなり、qIPアッセイ中のわずかな量のルシフェラーゼ(シグナル)を検出できます。さらに、Tlucルシフェラーゼ遺伝子は哺乳類細胞発現に最適化されたコドンを持ちます。
TlucルシフェラーゼのqIPタンパク質相互作用レポーターとしての優れた感度を示すため、Tlucを3つの従来型ルシフェラーゼ、WTウミシイタケ、緑色発光ウミシイタケ、細胞内発現型ガウシア(icガウシア)と比較してqIPアッセイシステム内で評価しました(図3)。2つの遺伝子(p53およびBcl-xL)を等価な発現ベクターにそれぞれのルシフェラーゼとともにクローンしました。そして各ルシフェラーゼベクターをp53およびBcl-xLそれぞれのHAタグ付き相互作用物質(p53およびBAD)とともに使用して、qIPアッセイを行いました。p53-p53ペアのqIPアッセイにおけるTluc活性は230万RLUで、細胞内発現型ガウシア(15万RLU)に比較して15倍でした。BAD/Bcl-xLペアのqIPアッセイにおけるTluc活性は1560万RLUで、細胞内発現型ガウシア(319万RLU)に比較して5倍でした。
Pierce qIP Assayの広いダイナミックレンジを示すため、3つの全く異なる既知のタンパク質-タンパク質相互作用ペア(IRF3/HPV16 E6mp53/p53、BAD/Bcl-xL)をシステムで測定しました(図4)。RLU値は5,000~150万の範囲(5桁)で、タンパク質-タンパク質相互作用ペアを定量する優れたダイナミックレンジを示しました。
SMAD2およびSMAD4を用いた簡単な実験では、Pierce qIP Assayが、翻訳後修飾に影響する既知の処理条件に依存するタンパク質相互作用を正確に測定できる能力を持っていることを示しています(図5)。
最後に、Pierce qIP AssayがプレートベースのIPを使用して、発現させたタンパク質の相互作用をアガロースまたは磁気ビーズではなく、抗タグ抗体でコートされた96ウェルまたは384ウェルプレートで直接捕捉して行えることを示しました(図6)。ポジティブ(BAD/Bcl-xL)およびネガティブ(RFP/Bcl-xL)コントロールを使用し、プレートベースのPierce qIP Assayの導入を試験しました。マイクロプレートベースアッセイにおいて、BAD/Bcl-xLの標準化されたQIR値(約300)はレジンビーズベースアッセイの値(約500)に近く、両方法の感度が適合していることを示していますが、絶対RLU値は反応容量に差があるため異なっています。
本手順で使用したアッセイ試薬はPierceアガロースqIPタンパク質相互作用キット、TlucおよびHAタグ(品番82032)と同一です。6ウェルプレートの各ウェルに293T細胞を160万細胞/2 mLの濃度で培養しました。DNA constructs(各1.5 μg)が無血清培地総量200 μLの各ウェルにトランスフェクションされました。24時間後、ボルテックスで細胞溶解を行い、クリアライセートをマイクロスピンカラムに加えてプルダウンしました。約3時間後、レジンをqIPアッセイ試薬で洗浄し、160 µLで再懸濁させました(図2参照)。最後に、再懸濁させたレジン20 µLを黒色96ウェルマイクロプレートのウェルに移し、調製したTlucルシフェラーゼアッセイ試薬60 μL(品番82015)を加えた後生物発光を測定しました。
293T cells, 1.6 x 10^6, were plated in 6-well culture plate and incubated overnight at 37°C. Transfection reaction mixture was prepared with 1.5μg of each DNA construct, HA-tagged BAD and Tluc-tagged Bcl-xL, and 6μL of TurboFect Transfection Reagents in a total volume of 200μL serum free media. The transfection mixture was added to each well. The control transfection mixture was prepared with HA-tagged RFP and Tluc-tagged Bcl-xL. After 24 hours of post-transfection, the cells were harvested by trypsin treatment and lysed with 160μL of the qIP lysis buffer. The total lysates were diluted with 360μL of the dilution buffer (1:3 ratio of the qIP lysis buffer: dilution buffer).
A black 386-well microplate was coated overnight at 4°C with 5μg/mL anti-HA monoclonal antibody in carbonate/nicarbonate coating buffer. The microplate was incubated with cell lysate by rocking for 2 hours. Plates were then washed three times in Thermo Scientific Multidrop Combi (#5840320) with washing buffer, which is a 1:3 mixture of qIP assay lysis buffer (Part No. 82013) and dilution buffer (Part No. 82014). Finally, the bioluminescence (RLU) was measured after adding 60μL of Tluc luciferase assay reagent (Part No. 82015).
本記事の内容の一部は最初にポスター発表されました。
Bell, P., et al.(2014).Quantitative immunoprecipitation (qIP) assay: a novel and high-throughput-compatible protein-protein interaction assay.Poster ID#051.Third Annual Conference of the Society for Laboratory Automation & Screening.http://www.eventscribe.com/2014/posters/slas/home.aspで入手可能です。
このThermo Scientific Pierce qIPタンパク質相互作用キットは抗HAアガロースビーズおよびプルダウン用(co-IP)に高感度のルシフェラーゼアッセイシステムを使用し、哺乳類細胞内に発現したHAタグ付きおよびTlucタグ付きタンパク質ペア間の相互作用を測定します。
特長:
Learn more about the Thermo Scientific Pierce qIP Protein Interaction Kit
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.