Pierce G2 Fast Blotter(品番62288)は、当初はウェスタンブロット法でのタンパク質ゲルのセミドライ転写に用いるため設計された装置です。メンブレンベースのゲルシフトアッセイ(EMSA: electrophoretic mobility shift assay)を行う際に、ポリアクリルアミドゲルからの効率的なDNA転写のために、この装置が利用できるかの検証実験を行いました。検証では、Pierce G2 Fast Blotterと従来のウェットタンク式を用い、いずれの装置がより効率的にDNAゲル(TBE)をナイロンメンブレンへ転写できるかを比較しました。また転写後の検出は、LightShift Chemiluminescent EMSA Kit(Part No. 20148)を用い、ゲルシフトアッセイのパフォーマンスの比較も行いました。

結果と考察

Pierce G2 Fast Blotterセミドライ転写システムおよび従来のウェットタンク式システムを用いて、EMSAゲルをナイロンメンブレンに転写し、発光検出を行いました(図1)。この実験では、G2 Fast Blotterは、ウェットタンク式システムより効率的な結果が得られました。ウェット式では、転写時間を延長することで改善できる余地はあるものの、G2 Fast Blotterは、少ないbuffer量で、短時間で簡単に効率よく転写されました。

A14n12-Fig1図1. Pierce G2 Fast Blotterおよびウェットタンク式システムを使用して転写したEMSAゲル。LightShift Chemiluminescent EMSA Kit付属試薬でコントロールEBNA結合反応を行い、2反復(n=2)で6%-ポリアクリルアミドゲル(0.5 X TBE)で電気泳動しました。ゲルはナイロンメンブレンにPierce G2 Fast Blotter(レーン1~3)またはウェットタンクシステム(レーン4~6)を用い、それぞれ転写しました。ビオチン標識したプローブは、Chemiluminescent Nucleic Acid Detection Module(LightShift Kitに付属)を用いて検出しました。またmyECL Imagerを用いて画像解析を行いました。△はターゲットの二本鎖DNA(60 bp)の位置を示し、▲はDNA-タンパク質複合体の位置を示しています。

これらのデータは、Pierce G2 Fast Blotterがタンパク質解析の用途だけでなく、さまざまタイプのゲルベースの研究に有用であることを示しています。

方法

LightShift Chemiluminescent EMSA Kitのプロトコールに従い、3種類のEBMA結合反応コントロールを設定しました。

  1. Biotinylated DNA target
  2. Biotinylated DNA target + EBNA extract
  3. Biotinylated DNA target + EBNA extract + unlabeled DNA target (competitor)

Forty microliter binding reactions were performed, and samples were loaded in duplicate on a 6% polyacrylamide gel in 0.5X TBE buffer. The gel was electrophoresed at 100V for 60 minutes, and then cut in half. One half was transferred to positively charged nylon membrane (Part No. 77016) with a standard wet transfer in 0.5X TBE at 180mA constant current (about 70V) for 30 minutes. The other half was transferred using the Pierce G2 Fast Blotter in 0.5X TBE at 25V for 15 minutes. The blots were crosslinked using the auto setting of a UV lamp device, then probed with streptavidin-HRP conjugate and detected with chemiluminescent substrate according to the LightShift Kit instructions. Finally, blots were imaged using the myECL Imager (Part No. 62236).

40 µL結合実験を行い、サンプルを0.5X TBEバッファー中の6%ポリアクリルアミドゲルに2反復( n=2)でロードしました。ゲルを100 Vで60分間電気泳動し、電気泳動後にゲルを半分にカットしました。半分のゲルは、一般的なウェットタンク式システムを用い、0.5X TBE内で180mAの一定電流(約70 V)を30分間かけて、正電荷をかけたナイロンメンブレン(品番77016)に転写しました。もう片方のゲルは、Pierce G2 Fast Blotterを用いて、0.5X TBE内で25 Vの電圧で15分間処理し、転写しました。ブロットはUVランプ装置のオート設定を用いて架橋し、さらにプローブの検出は、ストレプトアビジン-HRPコンジュゲートを用いて化学発光基質で検出しました。操作はLightShift Kitのプロトコールに従いました。最後に、ブロットをmyECLL Imager(品番62236)で画像解析を行いました。


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