ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)および硫黄は腐食性の有害化学物質で、環境汚染の原因になります。しかし、石油化学製品、気体サンプル、固体サンプル、および複雑な化学物質中に存在するこうした分析対象物は、従来のイオンクロマトグラフィー(IC)では容易に測定できず、また必要なサンプル調製には費用と多大な労力がかかる場合があります。自動化された燃焼ICは、このような複雑なサンプル調製ステップを排除することで、困難なサンプル中の腐食性ハロゲン類や硫黄の測定に要する時間と労力を低減します。

Thermo Scientific燃焼イオンクロマトグラフィー(CIC)システムは、困難なサンプル中のハロゲン類や硫黄の特性評価および定量分析を自動で実行します。この自動システムは高感度で使いやすく、時間を節約します。そのサンプル調製手順で発生する環境汚染物質は、酸分解や有機溶液からの逆抽出などの他のサンプル調製手法と比べて低減されます。

燃焼ICは4つの主要ステップで構成されています:

Combustion IC process
  1. サンプルの導入
    液体、固体、半固体のサンプルは、自動サンプルチェンジャーを用いて水平型ファーネスに導入されます。気体サンプルの場合は、インジェクターが使用されます。

  2. 熱分解
    サンプルは加湿酸素の存在下で高温(800~1,100℃)で分解されます。

  3. 揮発性物質のトラップ
    揮発性の生成物は水性の吸収性溶液にトラップされます。この溶液は、キャリブレーション用の内標準としてリン酸塩を含有している場合があります。

  4. イオン分析
    吸収性溶液中のサンプルはICシステムに移送され、個々のハロゲン化物および硫黄種(亜硫酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩など)の濃度を測定します。総硫黄量は、過酸化水素を用いて硫黄種をさらに酸化させることで測定できます。

The process flow within the combustion IC system

燃焼ICシステム内のプロセスフロー。

CICは、さまざまな環境、工業、食品および飲料サンプル中のハロゲン類および硫黄の分析において正確で再現性のある結果を、多くの場合12分で提供し、メソッド開発は最小限で済みます。サンプルの種類には、製薬の原料や最終製品、ポリマー、石油化学製品、鉱石、インク、金属、研磨剤、潤滑油、電子部品、および環境水や廃水などが含まれます。

CICは、フッ素化合物の存在指標として総吸着性有機フッ素(AOF)を測定することで、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)分析のLC-MS/MSを補完するスクリーニング手法として使用できます。サンプル中に存在するフッ素の総質量がターゲットPFASスクリーニングの質量を上回る場合、ターゲットリストにないその他のPFASがサンプルに含まれている可能性があります。総フッ素量をスクリーニングすることで、PFAS汚染に寄与している可能性のあるその他の汚染源を特定し、「疑われる」サンプルのみを選別して、LC-MS/MS装置を使用して分析できます。CICによるAOFの追加測定により、分析装置の利用を最適化して水中のPFASを分析できます。当社のPFAS分析ソリューションの詳細をご覧ください。

詳細なCICメソッドは、Thermo Scientific AppsLab分析アプリケーションライブラリ、および以下のリソースセクションで確認できます。

CICのその他のリソースや当社のイオンクロマトグラフィーシステムの一般的な情報は、当社のリソースセンターをご確認ください。

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