Analyzing Trace Elements With EPA Method 200.8

飲料水に含まれる金属汚染物質の ICP-MS 分析

US EPA メソッド 200.8 は、「誘導結合プラズマ - 質量分析(ICP-MS)による水および廃棄物に含まれる微量元素の測定」に関する手法です。この手法は、飲料水、地上水、地下水に含まれる 21 種の微量金属元素の分析を目的としたものであり、固形廃棄物サンプルにも使用できます。

コミュニティに参加する

EPA 200.8 で 測定される 21 種の微量検体マトリックス
  • アルミニウム(Al)
  • アンチモン(Sb)
  • ヒ素(As)
  • バリウム(Ba)
  • ベリリウム(Be)
  • カドミウム(Cd)
  • クロム(Cr)
  • コバルト(Co)
  • 銅(Cu)
  • 鉛(Pb)
  • マンガン(Mn)水銀(Hg)
  • モリブデン(Mo)
  • ニッケル(Ni)
  • セレン(Se)
  • 銀(Ag)
  • タリウム(Tl)
  • トリウム(Th)
  • ウラン(U)
  • バラジウム(V)
  • 亜鉛(Zn)
  • 飲料水
  • 地上水
  • 地下水
  • 土壌
  • 沈降物
  • 固形廃棄物

微量金属分析に使用する EPA メソッド

飲料水の品質は、飲料水安全法(SDWA)による EPA 規制基準に従って厳格に規制されています。現在、90 種を超える汚染物質が規制対象となっていますが、そのうち 17 種は金属または半金属です。US EPA メソッド 200.5(ICP-OES)、200.7(ICP-OES)、200.8(ICP-MS)、200.9(GFAA) は、いずれも金属元素分析用に承認された手法です。

近年は、EPA メソッド 200.8 の導入が進んでいます。これは飲料水の規制要件がさらに厳しくなり、さらに低い検出レベルが求められるようになったからです。ICP-MS 検出限界が ppt(pg/L)レベル(ICP-OES の 1000 分の 1)になり、EPA メソッド 200.8 を使った ICP-MS で飲料水に含まれるほとんどの有毒金属を測定できるようになりました。この結果、低い ppb 規制要件への適合が可能になりました。

EPA 200.8 は、飲料水、廃水、地下水、さらに固形サンプル(土壌、堆積物、廃棄物)の測定法として承認されています(ただし、固形サンプルに含まれる微量元素の測定手法としては EPA メソッド 6020 が特に承認されています)。


EPA メソッド 200.8 を利用した生産性改善の戦略

  1. 希釈および再分析に対応する自動化装置を使用する
    ICP-MS は、全溶解固形分が高い(TDS)場合の許容範囲が ICP-OES よりはるかに低くなります。そのため、廃水など、高濃度マトリクスを含むサンプルで ICP-MS 分析を行うと、内標準回収率が下がります。この場合、許容可能な回収率の範囲外の結果を手動でスキャンし、サンプルを手動で希釈して再分析する必要があります。自動希釈機能を備えた装置は、異常値を特定し、その後の希釈と再分析を自動的に行うことで、生産性を改善できます。この自動化により、プロセス全体のスピードアップが可能になり、特に 1 日に膨大な数のサンプルを分析するハイスループットラボで絶大な効果を発揮します。
  2. 高サンプルマトリクスの影響を軽減する装置を使用する
    シグナルドリフトを減らし、プラズマのシャットダウンを防ぐには、サンプル導入システム、特にサンプラーとスキマーコーンを洗浄する定期メンテナンスが必要です。高サンプルマトリクスの影響を軽減するオプションが装置にある場合は、メンテナンス作業の負担が減り、稼働時間が増加します。たとえば、感度と高いマトリクス耐性のバランスに基づき、サンプル処理ごとに厚さの異なるスキマーコーンインサートを選択できます。
  3. プラズマコーンを容易に清掃できるようにする
    装置のメンテナンス性が低くても、プラズマコーンの清掃は必要です。サービスコールを特に要請しなくても、プラズマコーンを容易に清掃できる装置を導入することをお勧めします。

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水質安全法と SW846 に EPA メソッド 200.8 を使用

廃水向けの EPA 200.8

US EPA メソッド 200.8 の主な用途は、飲料水と廃水のコンプライアンスモニタリングです。このメソッドの承認当時(1994 年)は、コリジョンセル技術はまだ登場していませんでした。2006 年にこの技術が登場すると、EPA 水局は、コリジョンセル技術を飲料水の分析に使用することを禁止する覚書を発表しました。しかし、EPA メソッド 200.8 は、コリジョンセル技術を使用した水質安全法および固形廃棄物(SW846)サンプルに対して承認されています。EPA は現在、コリジョンセルを飲料水向けに応用するための EPA メソッド 200.8 の更新に向けて、複数の団体と作業を進めています。


EPA メソッド 6020B および EPA メソッド 200.8

EPA 6020A および EPA 200.8

2014 年に改訂版 が公開された US EPA メソッド 6020B は、21 種の金属元素を測定します。EPA メソッド 200.8 と EPA Methoメソッド 6020B の相違点としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの鉱物元素が EPA メソッド 200.8 には含まれず、EPA メソッド 6020B には含まれるという点があります。しかし、最大の相違点はこれらの手法の使用方法です。上記のように、EPA メソッド 200.8 は、飲料水と廃水の規制モニタリングに使用されますが、EPA メソッド 6020B は実績ベースの手法です。実績が示されれば、追加元素も含めることができます。つまり、コンプライアンス検査のためでなく、ガイダンスとして使用する手法となります。EPA メソッド 6020B はコリジョンセル技術について言及していませんが、この技術の使用は許容されます。


UCMR 3 および UCMR 4 での金属元素モニタリング

金属元素モニタリング

EPA メソッド 200.8 で測定する規制金属汚染物質のうち、10 種の元素が NPDWR リストに、5 種の元素が第 2 種リストに記載されています。これらの汚染物質は、規制物質に対する 6 年間のレビュープロセスでモニタリングされます。現時点で NPDWR リストに記載されていない汚染物質のうち、人の健康の脅威となる可能性が認められるものについては、5 年ごとに実施される規制外汚染物質のモニタリング規則(UCMR)プログラムに従ってモニタリングします。クロム、ストロンチウム、コバルト、バラジウム、モリブデンは、EPA200.8 、または ASTMD5673-10、または SM3125 を使用して、直近の UCMR 3 でモニタリングされています。繰り返しになりますが、UCMR 3 でこれらの金属元素のモニタリングを行う場合、コリジョンセル技術の使用は、EPA 200.8 での ICP-MS 検査では許可されません。その結果、ストロンチウムは、あらかじめ規制の承認を受けています。

ゲルマニウムとマンガンは、UCMR 4 リストに記載される見込みで、2018 年から 2020 年の間にモニタリングが実施されます。これらの金属は UCMR リストに記載されますが、公共水道システムで詳しくモニタリングされ、研究時の含有データとその頻度を収集してさらなる評価を行います。さらに、EPA が規制判断を下す前に、健康への影響も検証されます。


関連リソース

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