先端技術をプロセス全体に適用することで、効率性を高め、品質とビジネスパフォーマンスを向上させます。
鉄鋼製造の方法とプロセスは、市場の要求、競争圧力、新たな経済的現実、政府の規制への対応のために、さらに迅速に進化する必要があります。サーモフィッシャーサイエンティフィックは、鉄鋼製造プロセスを改善する技術を開発・応用し、お客様の収益性を向上させるという点において、もっとも信頼できる業界パートナーであり続けます。
即発ガンマ中性子放射化分析/パルス高速熱中性子放射化(PGNAA/PFTNA)
PGNAA/PFTNAは、プロセス最適化におけるリアルタイムの品質管理に使用され、原材料のプロセスストリーム全体の高頻度オンライン元素分析を提供します。PGNAA/PFTNAを使用した分析計は、コンベヤーベルト上に直接配置され、原材料の断面全体を放射線が浸透するため、試料だけでなく原材料の全体の流れを分刻みで均一に測定できます。
PGNAA/PFTNAは、ベルト上の素材全体を代表していない限られた深さや表面積しか測定できない蛍光X線(XRF)、X線回折(XRD)、およびスペクトル分析などの他の表面分析技術よりも、優れた利点を提供します。鉄鋼メーカーは、この技術を利用して、品質管理の強化やプロセスの効率化を図ることができます。
即発ガンマ線中性子放射化分析およびパルス高速熱中性子放射化は、低エネルギーの中性子と原子間の原子核内部で起こる反応に基づいています。熱中性子、というより低エネルギーの中性子(<0.025 eV)が原子核に至近接近または衝突すると、中性子と原子核との間で相互作用が起こります。中性子のエネルギーが原子核に伝達されると、一時的な励起エネルギー状態にまで上昇します。このエネルギーはほぼ瞬時にガンマ線として放出されます。
プロセス質量分析
鉄鋼生産では、炉を最高の効率で稼働させることが重要な要件です。炉からの排出ガスの分析は、炭素から一酸化炭素および二酸化炭素への変換を制御し、最適化するためのプロセス制御戦略の重要な部分です。プロセス質量分析計は、炉の制御システムや動的制御モデルにリアルタイムの排出ガス分析データを提供し、プロセスに大きなメリットをもたらします。
1台の分析計で幅広い成分を測定できるという機能に、高度な校正、データ送信機能、自己診断ソフトウェアを組み合わせることにより、現代プラントに導入するうえで理想的な質量分析計となっています。高炉では、優れたガス分析を使用して、プローブ分析によるガス効率、マス・ヒートバランス、および熱プロファイルの計算を行います。また、冷却水の漏れや試料システムの不具合を早期に検出するために不可欠なツールとなります。
放射線検出
鉄鋼はスクラップ金属から製造されることが多く、放射性物質がスクラップ金属のリサイクル過程で放射性物質が混入しないよう、慎重に選別する必要があります。スクラップ金属のリサイクルに使用される放射線検出技術には、入荷原材料用のポータルモニタリングシステム、および施設内のスクラップの山を監視するためのワイヤレスグラップル搭載の放射線検出システムがあります。携帯型放射線検出装置は、ガンマ線を正確な線量率でリアルタイムに検出し、放射性物質の発見を確認し、放射能が自然由来のものか人工(人造)由来のものかを評価します。高感度中性子応答とアラームしきい値を備えた携帯型機器を使用すると、ガンマ感度とエネルギー補償型線量率測定をモニターすることができます。
蛍光X線
蛍光X線(XRF)分光計は、材料の元素組成を測定するために使用される非破壊分析技術です。XRF分析計は、一次X線源によって励起された場合に試料から放出される蛍光(または二次)X線を測定することで機能します。試料に含まれる各元素は、一連の特徴的な蛍光X線、または固有の「指紋」を生成します。定量・定性分析の優れたツールであるXRF分析計は、この「指紋」が元素によって異なることを利用しています。鉄鋼製造では、XRFは原材料、スラグ、および合金の分析に使用されます。
厚さおよびコーティングの測定
高い製品品質と最大の生産性を実現するには、非接触および非破壊の厚さおよびコーティング重量の測定が必要です。熱間圧延や冷間圧延用のオンライン厚さ計は、鋼板およびシートの高速生産中に正確なリアルタイムな測定を可能にします。亜鉛メッキ鋼板の場合、オンラインの溶融コーティング重量計は、定評のある蛍光 X 線(XRF)を使用したコーティング管理のための迅速なフィードバックを提供します。クローズドループのコーティング重量制御システムと組み合わせることで、亜鉛の原料消費量を最小限に抑えることができ、大幅な経済的節約につながります。
固体発光分光分析(OES)
固体発光分光分析(OES)は、アーク/スパーク励起を使用して、固体金属試料の微量元素からパーセント元素濃度レベルまでの元素分析を迅速に行うことができます。この技術は、生産管理から研究開発、材料の受入検査からスクラップの選別にいたるまで、冶金産業や分析ラボラトリーのもっとも厳しい分析ニーズを満たします。OESメタルアナライザーは、非金属微量介在物の高速オンライン評価にも使用できます。
ラボラトリー自動化装置
鉄鋼メーカーは、ラボラトリー自動化技術を使用して、アプリケーションのプロセス制御と効率をさらに高めることができます。OESおよびXRFの両方の分光分析装置を完全に自動化することで、スループットの向上、分析精度の向上、コストの削減を実現できます。このレベルの自動化により、完全なラボラトリーのワークフローソリューションが実現でき、応答時間の短縮、試料処理の頻度の増加、非常に重要な生産管理環境における自動試料調製の可用性の向上が可能になります。
排出量分析
弊社の連続排気モニタリングシステム(CEMS)のシステムは、生産のさまざまな段階で、次のようなプロセスガスの全スペクトルをモニタリングします(これらに限定されるものではありません):SO2、NOx、CO、CO2、H2S、TRS、THC、Hg、O2、HCl、全硫黄を、元素検出・測定の要求に応じて、複数の技術を組み合わせて測定できます。これらの技術には、一酸化炭素、二酸化炭素、HCl、およびその他の赤外線吸収ガスの測定に使用される非分散型赤外線(NDIR);窒素ベースの化合物を測定するための化学発光;SO2測定に使用されるパルス蛍光;USEPAメソッド25Aおよび25Bの基準を満たす炭化水素測定用の炎イオン化検出(FID);原子蛍光;不透明度モニタリング用の透過率計;ガス流の流量を測定するためのクロススタックおよびインスタック超音波モニター;完全抽出型プローブおよび希釈抽出型プローブなどがあります。これらの技術を組み合わせることで、規制当局のガイドラインに準拠しつつ、お客様独自の大気質モニタリングのニーズに応えることができます。本システムは、US EPA 40CFR Part 60および75基準を満たすように設計されていると同時に、卓越した感度、精度、信頼性を実現します。