DXR3顕微レーザーラマンの概要

使いやすいポイント分析方式の顕微ラマン分光装置で迅速にラマンデータの取得ができます。またThermo Scientific DXR3顕微レーザーラマンは、進化したイメージング機能により、さらに信頼性の高いデータを提供します。また、自動X軸キャリブレーション機能はラマンデータの信頼性や安定性を向上させます。迅速性と柔軟性を兼ね備えたDXR3顕微レーザーラマンは、製薬、学術研究、先端材料、マイクロプラスチックなど、さまざまな用途に適しています。


DXR3顕微レーザーラマンの機能

DXR3顕微レーザーラマンは、微小な粒子を迅速に識別および分析するための新しい粒子分析機能を有し、堅牢で、且つ最適化されたデザインの高性能なコンフォーカル型顕微レーザーラマン分光装置です。自動アライメントとキャリブレーション機能により、特殊なツールやマニュアル操作を必要とせずに科学的に正確な測定が可能になります。また、可動部のない高度な分光器設計は使用方法を簡素化し、検出システムとキャリブレーションの堅牢性を実現しています。

 

DXR3顕微レーザーラマン分光装置は、リアルタイムの測定プレビュー、自動蛍光補正、自動露光、および宇宙線除去機能を有します。システム最適化後はシステムインジケーターにより機器の準備完了状態が一目でわかります。さらに、3経路のファインビームオートアライメント機能により、ピーク性能の最適化とサンプリング品質が維持されます。レーザー出力制御機能は、レーザーが寿命に至るまで、一貫したサンプル励起が保証されますので、常に安定したスペクトルの取得を実現します。

DXR3顕微ラマン分光装置のその他の機能:

  • プリアラインの自動認識ロックイン型コンポーネントを採用し、保存されたアライメント情報を利用して、数秒で装置の再校正が可能
  • レーザーおよびその他のコンポーネントは、DXR3ファミリーのすべての装置と付け替えおよび共有可能
  • オプションの自動偏光ラマン機能により、化合物の分子配向情報を提供
  • お客様ご自身で簡単に新しいレーザー波長の追加が可能

DXR3顕微レーザーラマンのレーザー安全性

DXR3顕微レーザーラマンは、クラス1レーザーにより安全にご使用いただけます。(注:オプションのファイバーオプティクスアクセサリー、および数種のオプションは、レーザー安全性の予防措置や安全用ゴーグルが必要なレーザークラス3Bに分類されます。)レーザーは、サンプル測定時に目への直接照射を防止するために遮光されます。

DXR3顕微レーザーラマンを使用したDQ/IQ/OQ/PQバリデーション

広範囲にわたるドキュメンテーションおよび自動化バリデーションソフトウェアプロトコルにより、完全なDQ/IQ/OQ/PQバリデーションパッケージが利用可能です。さらに、OMNICデータセキュリティソフトウェアは21 CFR Part 11に準拠しています。


DXR3顕微レーザーラマンの性能概要

DXR3顕微レーザーラマンは、最適なサンプルにおいて、540 nmの空間分解能と1.7 μmの共焦点深度分解能を実現します。スペクトル範囲3,500~50 cm-1のCCD検出器は、1回の測定で全領域の測定が可能です。また、532 nmの励起レーザーを用いて、6,000 cm-1までの拡張スペクトルレンジも測定可能です。

 

DXR3で利用可能な励起レーザー:455 nm、532 nm(高輝度)、532 nm(高出力)、633 nm(高輝度)、633 nm(高出力)、785 nm(高輝度)、785 nm(高出力)(すべての励起レーザーで自動蛍光補正機能が利用できます)

 

顕微鏡デザインには高品質のオリンパス製光学系を採用しています。また、自動レーザー強度補正機能が搭載され、常にサンプルに対して同じレーザー強度の測定ができることから、装置間や異なる励起レーザー間で比較可能なスペクトルが生成されます。さらにネオンランプの輝線によるキャリブレーションにより、スペクトル範囲全体にわたって正確な波長キャリブレーションが可能になります。

 

DXR3顕微レーザーラマンにはすべての波長で優れたピーク形状を実現し、フォーカスを維持することができる独自のトリプレット分光器が搭載されています。また、ユーザーは高い共焦点モードと高感度ー測定モードをソフトウェアで切り替えてご使用いただけます。さらに、独自のアルゴリズムによる宇宙線の自動除去機能に加え、高品質のレーザーラインフィルターによりアーティファクトのないラマンスペクトルの取得を実現します。

 

その他の性能:

  • 偏光解消レーザーによりサンプルそのものの結晶方位によるスペクトルへの影響を回避
  • レーザー出力制御機能により出力をアクティブにコントロールし、レーザーが寿命に至るまで、あるいはレーザー交換後であっても、サンプルに照射されるレーザー出力値の再現性を確保
  • 複数の励起レーザーごとに最適なグレーティングを採用。複数の励起レーザーでグレーティングの共有することによる性能の犠牲を回避
  • 新品時のような装置状態を常に維持できる独自のオートアライメント機能
  • 特許取得済みのSmartバックグラウンド機能により、CCD検出器の暗電流を自動補正

法科学

法科学—微量物質の検証や違法薬物の識別に

医薬品

医薬品—結晶多形、微粒子の汚染物質、拡散に関する研究

太陽電池

太陽電池—シリコンの結晶性に関する解析、および太陽光発電材料の特性評価

ポリマー

ポリマー—内包物およびゲルの欠陥、耐候劣化、ラミネート接着層、結晶化度

ナノテクノロジー

ナノテクノロジー—グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング、その他のナノ構造の特性評価

宝石学

宝石学—天然宝石の迅速な特定、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの識別、内包物および不純物の特性評価

学術研究

DXR3顕微レーザーラマンは、材料科学、生物学など多くの応用研究分野で有用です。

DXR3顕微レーザーラマンはその他、顔料、樹脂、釉薬、インクの識別、美術品の修復と保存(角、貝殻、骨、セラミック工芸品の特性評価を行う考古学など)、あるいは表面上の微粒子や小さな特性のキャラクタリゼーションを行う故障解析などにご利用いただけます。

DXR3顕微レーザーラマンのリソース