IgG は、単量体で存在し、ヒト血清中に最も多く含まれる Ig クラスです。このクラスの免疫グロブリンは、抗原に対する二次免疫応答の一部として生成され、総血清 Ig の約 75% を占めます。IgG はヒトの胎盤を通過できる唯一の Ig クラスで、生後数ヶ月の間は新生児の保護に大きな役割を果たします。IgG は、相対的に量が豊富で抗原に対する特異性が優れているため、免疫学的研究や臨床診断において主要な抗体として用いられています。

IgG の構造

IgG の特性:

  • 分子量: 150,000
  • H 鎖のタイプ (MW): γ 鎖 (53,000)
  • 血清濃度: 10 ~ 16 mg/dL
  • 総免疫グロブリンの割合: 75%
  • グリコシル化 (重量%): 3%
  • 分布: 分子内および血管外
  • 機能: 二次応答

免疫応答における IgG の役割

IgG は血液、リンパ液、脳脊髄液および腹水における主要な免疫グロブリンで、液性免疫応答において重要な役割を果たします。健康なヒトの血清 IgG は、アルブミン、酵素、他のグロブリンなどが含まれる全タンパク質の約 15% を占めています。

IgG の Fc 部分 ― F (ab ')2 や Fa b断片ではない ― は、母親の胎盤を通過して胎児循環に入り、分娩後の胎児を保護します。IgG 分子は、マクロファージ、好中球およびナチュラルキラー細胞の表面に存在する Fcγ 受容体と反応可能で、補体系を活性化することができます。

IgG の Fc 部分の、食細胞上に存在する受容体への結合は、オプソニン作用における重要なステップです。IgG抗体でコーティングされた粒子の食作用は、細胞が微生物に対して対処するために利用する重要なメカニズムです。

IgG は感染に対する遅延反応で生成され、体内に長期間保持することができます。IgG は血清中における寿命が長いため、抗体の移入による受動免疫に最も有用です。IgG の検出は通常、事前の感染またはワクチン接種を意味します。

IgG サブクラス

ヒト、マウスおよびラットにおいて記載される4つの IgG サブクラスがあります。サブクラスは、ジスルフィド結合の数、ヒンジ領域の長さとフレキシビリティにおいて異なります。可変領域を除くと、一つのクラスの全免疫グロブリンは約 90% の相同性を共有しますが、クラス間では 60% のみです。

IgG サブクラスの同定は、潜在的な抗体欠損を示す重要なツールとなり得ます。選択的 IgG サブクラスの欠損は疾患と関係があります。長期または重度の感染症の場合、IgG レベルの同定により、疾患の徴候についてさらなる見識が得られます。免疫系は小児期に成熟するので、ドナーの年齢に相関した IgG サブクラス濃度を知ることが重要です。

IgG は、相対的に量が豊富で抗原に対する特異性が優れているため、免疫学的研究や臨床診断において主要な抗体として用いられています。

IgG1

IgG1 は主要なIgGの全サブクラスの 60〜65% を占め、タンパク質およびポリペプチド抗原に対する胸腺依存性免疫応答に大きな役割を果たします。IgG1 は、食細胞の Fc 受容体に結合し、C1 複合体への結合を介して補体カスケードを活性化することができます。IgG1 免疫応答は、新生児で既に測定され、乳児期に通常濃度に達します。IgG1 アイソタイプの欠損は通常、低ガンマグロブリン血症の兆候です。

IgG2

IgG2 は、IgG アイソタイプで 2 番目に多く、主要サブクラスの 20〜25% を占めています。糖鎖/多糖抗原に対する一般的な免疫応答です。通常 6~7 歳までに「成人」 濃度に達します。全ての IgG アイソタイプ欠損症の中で、IgG2 の欠損が最も一般的で、乳児の気道/呼吸器感染の再発に関係があります。

IgG3

IgG3 は、全 IgG の約 5~10% を占め、タンパク質またはポリペプチド抗原に対する免疫応答において主要な役割を果たします。IgG3 の親和性は、IgG1 の親和性よりも高い場合があります。

IgG4

IgG4 は通常、全 IgG の 4% 未満を占め、多糖類には結合しません。これまで IgG4 の検査は食物アレルギーに関連するものでした。最近の研究により、IgG4 陽性形質細胞の浸潤によって引き起こされる硬化性膵炎、胆管炎および間質性肺炎を患う患者において、IgG4 の血清レベルの上昇が見られることがわかっています。IgG4 の正確な役割は未だほとんど知られていません。