フローサイトメーターによる結果の整列化

より高度な実験を可能にする

アコースティックアシストによるハイドロダイナミックフォーカシングおよび流路系を備えたAttune NxT Flow Cytometerは、目詰まりを防ぐと同時にあらゆる細胞型やサンプルを効率的に処理できる仕様となっているため、より多量のデータとより詳細な情報を取得し、さらにスループットを向上させることができます。

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最小限のコンペンセーションパネル

カラー補正の手間を省略したい場合には、最小補正あるいは補正無しの状態で、4つの各レーザーラインにまたがる14色に一般的な色素を当てはめて使用することができます。

補正は簡単ではなく、バックグラウンド蛍光を注意深く監視すると共に、カラーマッチングされたコントロールと、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを測定する必要があります。Attune™ NxT flow cytometerは、独立したレーザーを最大4つ設定できるため、十分にスペクトル分離されて互いに重複しない色素と検出チャネルの選択に柔軟性をもたらし、補正を最小限に留めることができます(図1)

 

 

 

 

図1. 全行程を通してコンペンセーションを行わずにAttune™ NxT flow cytometerで取得したヒトT細胞サブセットの洗浄・溶血不要、6色イムノフェノタイピングパネルに最適化されたデザイン。 ヒト全血は、6色のプローブで染色を施してからAttune NxT flow cytometer上で解析を行いました。 (A) Pacific Orange™ fluorescence (CD45)に蛍光閾値を設定し、PE陽性(グリコフォリンAまたはグリシンA)に基づいて赤血球と一致するイベントは除外しました。 (B)散乱光特性に基づき、リンパ球をゲーティングし、(C)CD3発現によりT細胞を同定しました。 (D, E) そして、ナイーブ/セントラルメモリーT細胞(CD62L陽性)とエフェクターメモリーT細胞(CD62L陰性)を識別するために、細胞系マーカーCD4およびCD8、ならびに活性化マーカーCD62の各発現に関してT細胞の解析を行いました。 これらのデータの解析や表示にコンペンセーションを行う必要はありませんでした。


マルチカラー解析

マルチパラメーター解析用に最大でレーザー4種類および14色の設定オプション(図2)を備えた Attune NxT flow cytometerは、現在あなたが実行中の解析パネルにも適合するように、フローサイトメトリー用として一般性の高い蛍光色素と蛍光タンパク質に対応する仕様となっています。オプションの561 nmレーザーを用いて、多数の蛍光タンパク質を検出することができます(図3参照)。

図2. Attune NxT flow cytometerを用いた、マウス制御性T細胞および樹状細胞のマルチパラメーター(10色)解析 FSC/ SSCパラメーターを用いて(A、左)リンパ球をゲートし、B220を発現するB細胞を後続の解析から除外しました(A、中央)。 CD3の発現に基づいて、B220陰性 、CD45.2陽性ゲート中においてT細胞の解析を行いました(A、右)。 共受容体CD4またはCD8の発現に基づいて、CD3陽性 T細胞は2つの集団に分離されました(B、左) CD4陽性 T細胞中には、転写因子のFoxp3および細胞表面マーカーCD25 (IL-2Rα)を発現する、抑制制御性T細胞のサブポピュレーションが存在します(B、右)。 プロフェッショナル抗原提示樹状細胞である、CD11c陽性 MHCII陽性のレアポピュレーションを提示するために、CD3陰性細胞を分離しました(C、左)。 脾臓樹状細胞はCD11b陽性およびCD8陽性樹状細胞サブセットへさらに細分化させることができ(C、右)、各細胞サブセットは独自の抗原提示特性を有しています。

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複数の蛍光タンパク質を検出

Attune™ NxT flow cytometerは、最も一般的な蛍光タンパク質(EGFP)およびその変異型(emGFP、TurboGFP)に対応する488nmレーザーを含むモジュールデザインを備えています。また、405 nm、561 nm、および637 nmなどのオプションのレーザーラインへのアップグレードも可能です。561 nmレーザーは、以下のオレンジおよび赤色の蛍光タンパク質変異体の励起に特に有用となります:mCherry(高輝度で光安定性に優れた、一般的な単量体の赤色蛍光タンパク質);mKate(pH安定性や光安定が高いだけでなく、成熟が速いことでもよく知られています);mOrange2(高輝度を発する単量体のオレンジ蛍光タンパク質)。405 nmレーザーは、以下のような蛍光タンパク質を励起させるために使用できます:TagBFP(TagRFPの部位特異的かつランダムな変異誘導から生成される高輝度の青色蛍光タンパク質変異体);あるいはアズライトやT-サファイアなど。図3では、Attune™ NxT flow cytometerを用いたTagBFP、emGFP、YFP、mOrange2、TagRFP、mKate、およびmCherryの検出を示しています。

図3. Attune™ NxT flow cytometerを用いた、蛍光タンパク質パレットの検出 プラスミドや種々の蛍光タンパク質を発現するウイルスベクターを用いて、293FT細胞またはU2OS細胞をトランスフェクションまたは形質導入しました。 405 nm、488 nm、または561 nmの励起光源を用いて、流速100 μL /minにおいてAttune NxT cytometerでサンプルをデータ取得しました。 440/50バンドパス(BP)フィルターを用いて、VL1チャネルで(A) 青色蛍光タンパク質(TagBPF)蛍光を収集しました;530/30 BPフィルターを用いて、BL1チャネルで(B)エメラルドGFP(emGFP)蛍光および(C) 黄色蛍光タンパク質(YFP、Venus変異体)蛍光(Premo™ Halide Sensorにより細胞内へ形質導入)を収集しました; 585/16 BPフィルターを用いて、YL1チャネルで(D)オレンジ蛍光タンパク質(mOrange2)蛍光 および(E)赤色蛍光タンパク質(TagRFP)蛍光を収集しました;620/15 BPフィルターを用いて、YL2チャネルで(F)mKate蛍光および(G)mCherry蛍光を収集しました。 蛍光タンパク質を発現しないコントロール細胞は、各ヒストグラム図中にグレーのピークとして重ねて表示されています。 TagBFP、mOrange2、TagRFP、YFP、およびmCherryはCMVプロモーターから発現されました。また、emGFPおよびmKateはEF-1αプロモーターから発現されました。 BacMam 2.0 transduction systemを用いて、U2OS細胞へYFPおよびRFPコンストラクトを導入しました。一方では、Lipofectamine™ 3000試薬を用いて、TagBFP、emGFP、mKate、およびmOrange2コンストラクトを293FT細胞へトランスフェクトしました。 アデノウイルス導入システムを活用して、U2OS細胞へmCherryコンストラクトを形質導入しました。


レアイベントの迅速な検出

レアイベント検出には、幹細胞、微小残存病変細胞、ナチュラルキラー細胞、および胎児母体出血細胞の検出を含む、全細胞の1%未満から成る細胞集団を扱うケースもあります。レアな細胞集団の解析において信頼性の高い正確な測定を行うためには、多数のイベント収集を要するため、データ取得時間が長くなります。Attune NxT Flow Cytometerは、最大サンプル流速1mL /minで希釈サンプルを迅速に処理することができます。従来型サイトメーターで活用する旧来のハイドロダイナミックフォーカシングテクノロジーでは、最大サンプル流速が60〜100μL/minであるため、解析用として十分な量の細胞を回収するには極端に長時間を要するためレアな細胞集団の検出が非常に難しくなります。Attune NxT cytometerでは、アコースティックフォーカシングおよびハイドロダイナミックフォーカシングを統合することにより、サンプル流速500 µL/minまたは1mL /minで細胞を解析できるため、レアイベントの検出を伴う実験でデータ取得時間を短縮できます(図4)


マウス形質細胞様樹状細胞(pDC細胞)ゲーティングおよび解析
 
図4. 生細胞100万個以上のデータ取得とマウス脾臓細胞による樹状細胞0.2%のレアポピュレーションの検出
形質細胞様樹状細胞(pDC細胞)は、ウイルスに応答して多量のI型インターフェロンを産出し、また免疫表現型CD19陰性/ B220high/ CD317陽性を用いて同定される特殊な細胞集団です。 マウス脾臓細胞は、次の4色で染色しています:CD19-Pacific Blue™、CD317-Alexa Fluor™ 488、CD45R/B220-PE direct conjugates、およびSYTOX™ AADvanced™ Dead Cell Stain。 SYTOX™ AADvanced™ Dead Cell Stainを用いて生細胞をゲーティングした後、CD19陰性細胞をゲーティングしました。 pDC細胞の同定には、CD45R/B220と CD317の2つのパラメータープロットを用いました。 細胞濃度7.5 x 107 細胞/ mLで、総細胞数130万個を取得するのに、サンプル流速500 μL/minを適用しました7。 ダブルポジティブB220 陽性/ CD317陽性(図中の右上の区画)として同定された形質細胞様樹状細胞は、全脾臓細胞の0.194%にあたる、CD19陰性細胞の0.851%を構成しています。

処理時間を短縮—データ品質はそのままに、所要時間を10倍に高速化

アコースティックアシストによるハイドロダイナミックフォーカシングを活用する仕様のAttune NxT flow cytometerは、サンプルのスループットレートが12.5~1 mL/minに達し、従来型のハイドロダイナミックフォーカシングシステムよりも最大10倍まで高速化します。また、1秒間あたりに最大 35,000個分のイベントデータを取得できます。つまり、データ品質を維持したまま低濃度サンプルや貴重サンプルをはじめとしたあらゆるサンプルのデータ取得を今まで以上に迅速かつ正確に行えます(図5)

Attune NxT Cytometerと他社製機器の速度比較に関する4枚の棒グラフ

6種類のサンプル流速で近似CV値を示した表

図5. Attune NxT flow cytometerは、データ品質を犠牲にすることなく、3種類の他社製機器に対してわずかな所要時間でサンプルを処理します。 (上) 1万、 10万、 100万、および 1千万個の各イベント取得の所要時間については、Attune NxT Flow Cytometerにおける高流 速(1,000 µL/min)および3種類の他社製機器の最大流速に基づいて算出とプロットを行いました。 サンプル濃度106 細胞/ mL、および以下の各流速(他社マーケティング資料による)を算出時の前提としています:他社製機器A: 66 µL/ min 他社製機器B: 120 µL/ min 他社製機器C: 60 µL/ min (下) 高サンプル流速においても、データ変動が最小限になります。 Jurkat細胞を固定し、ヨウ化プロピジウムで染色し、さらにRNaseで処理した後、濃度1 x 106細胞/ mLで、 Attune NxT Flow Cytometerから種々のサンプルレートで解析を行いました。 G0/G1 およびG2/Mの各段階における細胞の変動係数(CV値)は、サンプル流速の高低にかかわらず、最大サンプル流速1,000 μL/minでさえも一貫性を保ちます。


サンプル流速に左右されない、最小限のデータ変動

複数の細胞集団間における蛍光強度の差異を正確に検出する必要がある場合、細胞周期解析も一つの例となります。Attune NxT flow cytometerを用いれば、サンプルのスループットレートにかかわらず、結果値の変動幅を最小限に抑えることができます(図6)。高感度性を優先するあまり、スループット性を犠牲にする必要はもうありません。

6つのヒストグラム図では、Attune® NxT Acoustic Focusing Cytometerが高サンプル流速におけるデータ変動を最小限に抑えることを示しています

図6. Attune NxT flow cytometerを用いると、高サンプル流速においても、データ変動を最小限に抑えることができます Jurkat細胞をアルコール固定し、ヨウ化プロピジウムで染色して、さらにRNaseで処理した後、濃度1 x 106 細胞/ mLでAttune NxT Flow Cytometerから異なるサンプル流速による解析を行いました。 各グラフ中の左側のピークは、G0/G1期の細胞を反映しています。また、右側のピークはG2/M期の細胞を反映しています。 Attune NxT flo w cytometerでは、G0/G1 およびG2/Mのピーク幅ならびにCV 値(%)は、サンプル流速の高低にかかわらず、最高サンプル流速1,000 µL/minでさえも一貫性を維持します。


あらゆるサンプル流速において優れた精度と高感度

Attune NxT flow cytometerは、ユーザーのニーズに応じて感度を上げることができます。最大で1,000 μL /minの高サンプル流速でも、正確なアライメントを維持できます。アコースティックフォーカシングによって正確にアライメントされるため、微弱シグナルとバックグラウンドを有効に識別する優れた変動係数(CVs)が得られる結果、変動を抑えてシグナル分離を向上させます(図7)

異なる流速における感度測定を示した3つのヒストグラム図

図7. 異なる流速における感度測定 561 nmレーザーおよび610/20 (A) または610/15 (BおよびC)発発光フィルターを用いて、蛍光マイクロスフェア(Spherotech Rainbow 3.2 μm)をハイエンドモデルの従来型フローサイトメーター(A) とAttune NxT flow cytometer (BおよびC)で解析しました。 最高感度(流速:〜12.5μL/min)に設定した状態で従来型フローサイトメーターを動作させました。 従来型フローサイトメーターと同じ12.5 μL/ min (B)および500 μL/ min(C;40倍以上希釈したサンプル)でAttune NxT flow cytometerを動作させました。 Attune NxT flow cytometerでは、最高流速でも同等もしくはそれ以上の結果を示しました。


洗浄不要・溶血不要オプションによる簡潔なサンプル調製

全血中の白血球を分離・検出する標準的手法では、所要時間が長いうえに、解析前の重要なサンプル操作が必要になります。これらの工程によって、サンプルの損失や細胞の生理的な変化が起こることがあります。サンプル収集速度が非常に高いため、Attune NxT flow cytometerは、全血のイムノフェノタイピングにおいて細胞損失を最小限に抑え、かつサンプル調製を簡略化する、洗浄不要・溶血不要プロトコルを実行することができます(図8)。同様に、サンプル収集速度が高いことにより、本質的に低濃度のサンプル(脳脊髄液(CSF)および幹細胞)や、十分なイベント収集のためにサンプル全体の解析を要する希少サンプル(マウス血液、骨髄、および穿刺吸引液)にとっても有益となります。

図8. Attune™ NxT flow cytometer上でバイオレット側方散乱光を用いた、ヒト全血中の白血球の同定(A)従来の青色488nmの前方散乱光(FSC)および側方散乱光(SSC)を使用しても、全血液中の白血球の解像度は向上しません。 白血球(ピンク)と赤血球(青)に特異的な蛍光標識抗体を用いたバックゲート解析により、この問題を示しています。 Attune™ NxT No-Wash No-Lyse Filter Kitを用いてバイオレット405 nm SSCを組み込むことによって、(B) 全血中の赤血球に対する白血球の解像度が向上します。 (A)および(B)に示されるFSCおよびSSCの解析とは対照的に、(C)赤血球細胞マーカーグリコホリンAに対する抗体 および白血球マーカーCD45に対する抗体 を用いたバックゲート解析では、ヒト全血中の白血球を識別しやすさが実証されています。 (D) バイオレットおよび青色の両SSCを用いて全血液中の白血球を識別することができます。このことは、(C)に示されるグリコホリンAおよびCD45の標識を用いたバックゲート解析により確認できると同時に、バイオレットSSC使用時の白血球および赤血球の異なる散乱光特性により明らかになります。 (E)バイオレット散乱光特性に基づいて白血球がゲートされた場合、ヒト血液中の主要な白血球細胞集団としてリンパ球、単球、および顆粒球の3種類に区別できます。

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