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クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイでは、最初にタンパク質-DNA複合体の共有結合安定化を行います。大半のタンパク質-DNA相互作用は一過性であり、生物学的機能を調整する多タンパク質複合体に関与します。In vivo 架橋により、タンパク質-DNA複合体を共有結合的に安定化させます。
従来法ではホルムアルデヒドを用いてin vivo架橋を達成しますが、EGSやDSGなど別の架橋剤と組み合わせて架橋を行うことも可能です。ホルムアルデヒド架橋は、直接相互作用し合う二つの分子に最適な手法です。しかしホルムアルデヒドは、ゼロレングス架橋剤であり、機能性が限られています。高次相互作用において、EGS(16.1Å)またはDSG(7.7Å)など比較的長い架橋剤を用いて、複雑な四次構造を有する大型タンパク質複合体を捕捉できます。
タンパク質-DNA相互作用パートナーを捕捉するため、一般に研究者は複数の架橋剤を組み合わせて使用しています。これらの架橋剤は無傷の細胞へ直接浸透して、効果的にタンパク質-DNA複合体を共にロックするため、解析において一過性の相互作用複合体さえも捕捉・安定化することができます。
Our 72-page Protein Interactions Technical Handbook provides protocols and technical and product information to help maximize results for protein interaction studies. The handbook provides background, helpful hints and troubleshooting advice for immunoprecipitation and co-immunoprecipitation assays, pull-down assays, far-western blotting and crosslinking. The handbook also features an expanded section on methods to study protein–nucleic acid interactions, including ChIP, EMSA and RNA EMSA. The handbook is an essential resource for any laboratory studying protein interactions.
Contents include: Introduction to protein interactions, Co-immunoprecipitation assays, Pull-down assays, Far-western blotting, Protein interaction mapping, Yeast two-hybrid reporter assays, Electrophoretic mobility shift assays (EMSA), Chromatin immunoprecipitation assays (ChIP), Protein–nucleic acid conjugates, and more.
溶解段階では、細胞または組織から架橋タンパク質-DNA複合体を抽出して、溶液中へ導きますこの段階において、界面活性剤ベース溶液で細胞膜を溶解させると細胞成分が遊離されます。タンパク質-DNA相互作用は主に核区画内で起こるため、細胞質タンパク質を除去すれば、バックグラウンドが低減され感度が向上します。ステップ1で行った共有結合架橋によって、ChIP手順を介して複合体の安定性が維持されるため、界面活性剤や塩の存在によりタンパク質-DNA複合体が干渉されることはありません。
細胞の機械的溶解は、核の溶解が非効率であるため推奨されません。Thermo Scientific Pierce Chromatin Prep Moduleなどの試薬は、細胞成分類から核分画を単離する特性があり、バックグラウンドシグナルの除去や感度の強化に用いられます。
抽出ステップでは、未結合の核タンパク質、完全長クロマチン、架橋タンパク質-DNA複合体といった、全ての核物質が生成されます。タンパク質結合配列を解析するには、抽出したゲノムDNAを有効な小片へ剪断する必要があります。一般にDNA断片化を達成するには、超音波処理による機械的手法、あるいはミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)で消化する酵素的手法が用いられます。
理想的なクロマチン断片は、200〜>1000 bp範囲内ですが、DNA剪断は非常に制御の難しいステップです。超音波処理法は、真にランダム化された断片が得られますが、次のような制約条件があります:チューニングを要する専用機器の使用が必須;超音波処理中の温度維持が困難;実地時間の増大と最適化ステップの肥大化。ミクロコッカスヌクレアーゼによる酵素消化は、再現性が極めて高く複数サンプルの処理がしやすい性能がありますが、酵素活性の変化が原因で変異性をもたらす可能性があります。また、酵素はインターヌクレオソーム領域に対して高親和性を有しています。
特異的な修飾ヒストン、転写因子または目的の補因子を単離するには、ChIPで検証した抗体を用いて核成分から標的を免疫沈降・単離します。このステップでは、目的のタンパク質-DNA複合体を選択的に濃縮して、無関係な細胞物質を全て排除します。
ChIPアッセイを達成するには、適切な抗体を選択することが肝要です。哺乳動物サンプルについては、本手順に検証済みの様々なChIPグレード抗体を利用できます。修飾抗体を使用できない標的タンパク質については、HA、ycまたはGSTなどの融合タンパク質を生物学的サンプル中で発現させることが可能です。その後、親和性タグに対する抗体を用いて、標的を免疫沈降できます。
固定化プロテインA、プロテインGまたはプロテインA/ Gなどの抗体結合樹脂を用いて、抗体-タンパク質-DNA複合体を親和性精製します。ビオチン化抗体には、固定化ストレプトアビジンまたは固定化されたThermo Scientific NeutrAvidin Proteinを使用することも可能です。低バックグラウンドにおいては、サケ精子DNAや汎用タンパク質源といった核酸とタンパク質ブロッキングバッファを組み合わせることによって、抗体結合ビーズをブロックする必要があります。ビーズ容量が増大すれば非特異的結合が増えるように、各ChIPサンプルに用いられるビーズ容量もバックグラウンドへ干渉することがあります。
DNA結合を目的タンパク質へ濃縮させることが、クロマチン免疫沈降の目的です。DNAレベルを測定するには、アガロースゲル電気泳動、もしくは通常定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって行います。クロマチンIPの特異的DNA産物を増幅・測定するには、事前にタンパク質とDNA間の架橋を逆転させておく必要があります。通常これは、大規模な加熱インキュベーションを介して、またはプロテイナーゼKでタンパク質成分の消化を介して行われます。
プロテイナーゼKは、脂肪族のカルボキシル側、芳香族または疎水性残基で切断します。プロテイナーゼKは、広範な特異性を有することから、一般にDNAまたはRNA調製物からタンパク質を除去する用途に使用されています。また、プロテイナーゼK消化によって、分解を防ぐ精製DNAからヌクレアーゼを除去します。タンパク質断片からDNAを分離させるには、標準的なDNA精製法とフェノールクロロホルム混液を組み合わせて使用します。また、複雑な生物学的サンプルから核酸物質を精製するデザインとなったスピンカラムを用いる手法もあります。
ChIPアッセイの特質は、定量PCRで精製DNA産物を定量する能力に秘められています。定量PCR手順は、増幅技法でありながら十分な精度を備えているため、様々な実験条件で標的タンパク質-DNAレベルを測定できます。免疫沈降した複合体量と結合DNAの間には、直接的な相関関係があります。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.