イントロダクション

Lipofectamine® 2000は核酸(DNAおよびRNA)の真核細胞へのトランスフェクション用の独自の製剤で、以下の利点があります:

  • 多くの細胞タイプおよびフォーマットで最高のトランスフェクション効率(例えば、 96ウェル) 。正常にトランスフェクトした細胞タイプのリストはCell Lines database を参照。
  • Nucleic acid-Lipofectamine® 2000複合体は血清の有無にかかわらず、培地中の細胞に直接添加することができます。 
  • トランスフェクション後に複合体を除去、または培地を変更/添加する必要はありませんが、複合体は 4-6時間後に除去してもよいです。


トランスフェクションのガイドライン

次の手順により、細胞を低分子干渉RNA (siRNA)または Stealth™ RNAiでトランスフェクトして下さい。

  • 次の手順により細胞をプラスミドDNAにトランスフェクトして下さい。
  • Opti-MEM® I Reduced Serum Medium (カタログ番号 31985-062)を、複合前のLipofectamine® 2000と核酸の希釈に推奨します。
  • 細胞死を引き起こすため、トランスフェクション中に培地に抗生剤を追加しないで下さい。 
  • 同じ播種条件を核実験で維持して下さい。
  • いくつかの無血清製剤(例えばCD293、SFM II、VP-SFM)はカチオン性の脂質媒介トランスフェクションを阻害する可能性があるため、無血清培地のLipofectamine® 2000との互換性をテストして下さい。


注: RNAi実験の詳しいヒントについては「RNAi成功への7つのステップ」を参照してください。このマニュアルは www.lifetechnologies.com/RNAi または Technical Serviceから、細胞種特異的なRNAiトランスフェクションのプロトコルとして入手可能です(「RNAiのプロトコル」を参照してください。)

品質管理

Lipofectamine® 2000は血液寒天プレート、サブローデキストロース寒天プレート、および液状チオグリコレート培地による微生物汚染がないことがテストされており、またレポータープラスミドを有するCHO-K1細胞のトランスフェクションにより機能的にテストされています。

Stealth™ RNAiまたはsiRNA Transfection

この簡単な手順により、Stealth™ RNAiまたはsiRNA を哺乳類細胞に24ウェルフォーマットでトランスフェクトして下さい。他のフォーマットについては、トランスフェクションのスケールアップまたはダウン、を参照してください。量は全て、1ウェルをベースにしています。この手順を出発点として下さい; 特に哺乳類細胞株のトランスフェクトが初めての場合、Stealth™ RNAiまたはsiRNA Transfectionの最適化、に従いトランスフェクションを最適化して下さい。

  1. トランスフェクション前日に、抗生剤を含まない500μlの成長培地に細胞をプレーティングして下さい。そうすることでトランスフェクション時に30〜50%コンフルエントとなります。 注: 低密度で細胞をトランスフェクトすると、トランスフェクションからアッセイまでの間隔が長くなり、細胞のオーバーグロースによる細胞生存率の低下を最小限にできます。

  2. 各トランスフェクションサンプルについて、オリゴマーとLipofectamine® 2000 の複合体を以下の通り準備します:

    • a. 20 pmolのStealth™ RNAiまたはsiRNA オリゴマーを50 μlの血清を含まないOpti-MEM® I Reduced Serum Mediumで希釈します(細胞に添加時のRNAの最終濃度は33 nM) 。穏やかに混合します。

    • b. 使用前にLipofectamine® 2000を穏やかに混合し、1 μlを50 μlの Opti- MEM® I Reduced Serum Mediumに希釈します。穏やかに混合し、室温で5分間インキュベートします。注:25分以内にステップcに進みます。

    • c. 5分間のインキュベーションの後、希釈したオリゴマーを希釈したLipofectamine® 2000に混合します。穏やかに混合し、室温で20分間インキュベートします (溶液が濁って見える場合があります)。

  3. 細胞と培地を含む各ウェルに、オリゴマーとLipofectamine® 2000の複合体を添加します。プレートを前後に揺動して穏やかに混合します。遺伝子ノックダウンのアッセイが準備できるまで、24〜96時間、CO2 インキュベーター内で37℃で細胞をインキュベートします。4~6時間後、培地を交換してもよいです。

Stealth™ RNAiまたはsiRNA Transfectionの最適化

最高のトランスフェクション効率と低い非特異性効果を得るため、RNAとLipofectamine® 2000の濃度を変化させてトランスフェクション条件を最適化します。10~50 pmolのRNA および0.5~1.5 μlのLipofectamine® 2000を24ウェルフォーマットでテストして下さい。ターゲット遺伝子の性質に応じて、条件を最適化する際、高い密度で細胞をトランスフェクトすることも考えられます。

プラスミドDNAトランスフェクション

次の手順によりDNAを哺乳類細胞に24ウェルフォーマットでトランスフェクトして下さい。他のフォーマットについては、トランスフェクションのスケールアップまたはダウン、を参照してください。量は全て、1ウェルをベースにしています。ほとんどの細胞株について、DNA (μg)とLipofectamine® 2000 (μl)の比率が1:2~1:3の割合で複合体を調製します。高効率、高発現レベルのため、また細胞毒性を最小限にするために、高い細胞密度で細胞をトランスフェクトして下さい。最適化が必要な場合があります(最適化プラスミドDNAトランスフェクションを参照)。

  1. 接着細胞:トランスフェクションの前日に、0.5~2 x 105 細胞を 500 μlの抗生剤を含まない増殖培地にプレーティングして下さい。そうすることでトランスフェクション時に70-90% コンフルエントとなります。浮遊細胞: 複合体の調製直前に、抗生剤を含まない500μlの増殖培地に、4-8 x 105の細胞をプレーティングして下さい。

  2. 各トランスフェクションサンプルについて、以下の通りに複合体を調製して下さい。

    • a. DNAを50 μlの血清を含まないOpti-MEM® I Reduced Serum Medium に希釈して下さい(または血清を含まない他の培地)。穏やかに混合します。

    • b. 使用前にLipofectamine® 2000 を穏やかに混合し、適量を50 μlのOpti-MEM® I Mediumに希釈して下さい。室温で5分間インキュベートします。注: 25分以内にステップcに進みます。

    • c. 5分間のインキュベーションの後、希釈したDNAを希釈したLipofectamine® 2000に混合します(総量 = 100 μl)。穏やかに混合し、室温で20分間インキュベートして下さい (溶液が濁って見える場合があります)。注: 複合体は、室温で6時間安定しています。

  3. 細胞および培地を含む各ウェルに100μLの複合体を添加します。プレートを前後に揺動して穏やかに混合します。

  4. CO2インキュベーター内で37℃で細胞を18~48時間インキュベートし、遺伝子発現テストをテストします。4~6時間後、培地を交換してもよいです。

  5. 安定発現株の場合:トランスフェクションの24時間後に新鮮な増殖培地に1:10(またはより高い希釈)で細胞を継代して下さい。選択培地(必要な場合)を翌日添加します。

Plasmid DNA Transfectionの最適化

最高のトランスフェクション効率と低い細胞毒性を得るために、細胞密度、並びにDNAと Lipofectamine® 2000 の濃度を変化させてトランスフェクション条件を最適化します。細胞が90%コンフルエントよりも大きいことを確認し、DNA(μg)とLipofectamine® 2000 (μl) の比率を、 1: 0.5~1:5に変更して下さい。

トランスフェクションのスケールアップまたはダウン

異なる組織培養形式で細胞をトランスフェクトするために、Lipofectamine® 2000、核酸、細胞および培地の使用量を表に示されるように表面積に応じて変更します。自動ハイスループットシステムでは、96ウェルプレートのトランスフェクションには50 µl 量の複合体を推奨します。

注: トランスフェクション混合物に細胞を直接プレーティングすることにより、96ウェルプレートのトランスフェクションを迅速に行うことができます。複合体をプレート内で調製し、細胞を直接添加して100 µl 中の基本プロトコルの細胞密度の2倍にします。細胞は複合体の存在下で、いつものように付着します。 

培養容器
ウェル当たり表面積1
共用の試薬
DNA トランスフェクション
RNAi トランスフェクション
プレーティング培地の量
希釈培地の量2
DNA
Lipofectamine® 2000
RNA
Lipofectamine® 2000
96ウェル
0.3 cm 2
100 µl
2 x 25 µl
0.2 µg
0.5 µl
5 pmol
0.25 µl
24ウェル
2 cm 2
500 µl
2 x 50 µl
0.8 µg
2.0 µl
20 pmol
1.0 µl
12ウェル
4 cm 2
1 ml
2 x 100 µl
1.6 µg
4.0 µl
40 pmol
2.0 µl
6ウェル
10 cm 2
2 ml
2 x 250 µl
4.0 µg
10 µl
100 pmol
5 µl
60-mm
20 cm 2
5 ml
2 x 0.5 ml
8.0 µg
20 µl
200 pmol
10 µl
10-cm
60 cm 2
15 ml
2 x 1.5 ml
24 µg
60 µl
600 pmol
30 µl


¹ 表面積はメーカーにより異なります。
² DNAまたはRNAiトランスフェクションプロトコルにおけるステップ2aおよび 2bの希釈培地の量。

11668.2k.pps   11-Jul-2006