一般
1. Qdot® Streptavidin Conjugateと互換性のあるバッファーはどれでしょうか? Qdot® 605 Streptavidin Conjugateは、広範囲のpH 条件下、多数の異なるバッファー中で安定な蛍光を示します。 作用濃度では、これらの物質の量子収率およびコロイド分散は、Tris、HEPES、リン酸およびホウ酸バッファー中で、pH 6~9の範囲で(この範囲以外では試験を行っていません)極めて安定であることが明らかになっています。 Qdot® 605ストレプトアビジン コンジュゲートは、操作濃度バッファーNaCl200 mMまでは安定性があり凝集しません。 より高い塩濃度は顕微鏡沈殿物発生のもとになりかねませんが、操作希釈では材料のバルク沈殿物発生を引き起こさないとみなされています。 さらに、界面活性剤の中でも、Tween¨ 20、Triton¨-X-100、Pluronic¨ F68、NDSB 201および EDTA等の多数の界面活性剤が、0.05%の濃度で、蛍光を維持することが示されています。 それに対し、ゼラチンおよびデキストラン硫酸は共に、濃度605%にて Qdot® 0.05ストレプトアビジン コンジュゲートの凝集を促進することが判明し、ラベリングアプリケーションへの使用は避けてください。 一般的に、Qdot® ナノ粒子 コンジュゲートは高い希釈よりも、出荷された濃度での保存をお勧めします。 長時間の操作希釈状態においての材料の保存は、大きな性能ダメージを引き起こしかねません。 このような多様のバッファーを使用してその他の Qdot® Streptavidin Conjugates の安定性の特徴を調べてはいませんが、同等レベルの安定性を予想しています。
2. 付属のQdot® Incubation Bufferの代わりに使用できるバッファーはどれですか? Qdot®ナノパーティクルコンジュゲートは、最適化されていないバッファー中では、多くの非特異的結合を生じます。 弊社では、TBS、PBS、RPMI培地など、様々なバッファー条件下での染色に成功していますが、概してIncubation Buffer中で予想通りの安定した結果が得られることを確認しています。
3. Qdotは毒性がありますか? 弊社ではQdot® Streptavidin Conjugateの毒性に関する調査はまだ実施しておりません。 材料は ~2 mM 総 Cd 濃度の液に保存されていますが、CdSe コアは ZnS シェルと Cd の融解を防ぐポリマーシェルに包まれています。多種多様な生細胞のin vitro標識実験では、これらの材料の有用性が証明されていますが、これらの材料のヒト、動物、または、培養細胞への毒性を調査する系統的データはありません。
4. Qdot® Streptavidin Conjugateはどのように廃棄すればよいのでしょうか? Qdot® Streptavidin Conjugateには、無機結晶形状のカドミウムおよびセレニウムが含まれています。 Invitrogenでは、これらの種類の材料処理に関する、お客様の国、州および連邦の準拠法に遵守して処理していただくことを推進しています。 これらの材料の構造に関する詳細は、製品安全データシートをご覧ください。
5. 量子ドットは、近接状態で、FRETまたは消光を起こしますか? 弊社では、量子ドットのエネルギー移動に関しては系統的な検討を行っておりませんが、量子ドットは、エネルギー移動の有用なドナーおよびアクセプターとしての特性を有している可能性があります。 ビスビオチンリンカーを通じて互いに結合されたQdot® 605ストレプトアビジン コンジュゲートを調査し、ビオチンクロスリンカーのどの濃度においても材料の蛍光強度は安定していることがわかりました。 これら Qdot® Conjugates の粒子間クエンチングはごくわずかであることが、この結果から示唆されます。
6. Qdot® Conjugateと使用するのに最適なフィルターセットは何ですか?フィルターの選択肢に関するさらなる情報
トラブルシューティング - シグナルが出ない
1. イメージングおよび検出条件に適していることを確認してください。 標識したシグナルの検出に適したフィルターを使用していることを確認してください。 最適なフィルターのリストは Qdot® ビオチン ユーザーマニュアルの表1をご覧ください、または、こちらをクリックしてください。
2. Qdot® Conjugateが蛍光を保持していることを確認してください。 Qdot® Conjugateは通常、携帯型UVランプ(アガロースゲル上のエチジウムブロマイド可視化に使用される、長波長タイプのもの)の照射下で、明るく蛍光を発します。 弊社が調査したいかなる保存条件下にても、これらの材料の蛍光の顕著な損失は見られていませんが、全ての保存条件の検査はできていません。 Qdot® Streptavidin Conjugates が長波 UV 励起下でも蛍光が見られない場合は、テクニカルサポートへ連絡し交換してください。 (techsupport@qdots.com 866-440-7368 内線2、またはお近くの代理店)
3。 一次抗体の特異性および力価を確認してください。 抗体が、標的とするターゲットを認識していることを確認してください。 ターゲットに結合する十分な一次抗体があることを確認してください。 この検証は、ELISAベースでの目的抗原のキャプチャ、またはCurrent Protocols in Immunologyなどの実験マニュアルに記載されている方法により実行することができます。
4. 抗体のビオチン化の確認。 お使いの抗体(一次抗体もしくは二次抗体)が、効率的にビオチン化されていることを確認してください。 最適シグナルと最小バックグラウンド入手には、分析に使用する一次および二次抗体両方の濃度を独立して調整する必要があります。
5. PAPペンのインクが染色シグナルを消光する可能性があります。 他の方法を使用して、スライド上のターゲットエリアを分離してください。 プロトコールにおいて、やむを得ずPAPペンの使用が必要である場合には、Vector LabsのImmEdge Hydrophobic Barrier Pen(カタログ番号 H-4000)の使用を推奨いたします。
トラブルシューティング - 高いバックグラウンド
1. Qdot® Incubation Bufferの使用。
付属のバッファーは、特にQdot® Streptavidin Conjugateを使用した大部分の免疫組織化学アプリケーションにおいて、優れたS/N比を示すように調製されています。 その他のバッファーはさらに異なる染色結果を引き起こすことがあり、特に、バックグラウンド染色が増大することがあります。 しかし、特定のアプリケーションではその他のバッファー条件が必要とすることがあります。 例えば、弊社では、アセトン固定ヒト上皮細胞の染色には、10X Sigma Blocking Buffer(Sigma Aldrich, St. Louis Mo.カタログ番号B6429)の5X希釈バッファーの使用がより効果的であることを確認しています。 「Qdot® Streptavidin Conjugateを使用した二重標識」プロトコールをご覧ください
2。 サンプルが高レベルの内在性ビオチンを有しているか確認してください。 アビジン-ビオチンブロッキング法によるサンプルのブロック。
Qdot® Incubation Bufferを使用しても高い非特異的バックグラウンドが出てしまう場合は、その他のステップをチェックする必要があります。 BSA または通常の動物血清を使用したサンプルのブロッキングは、一般的に抗体と Qdot® Streptavidin Conjugates の非特異的結合を減少させます。 ブロッキングバッファーにて一次および二次抗体を希釈することも効果的な方法です。 脾臓および腎臓切片などの組織は、非特異的シグナルに寄与する内在性ビオチン含んでいることがあります。 内在性ビオチンはアビジン/ビオチンブロッキングキット(Vector Laboratories, Burlingame, CA)を使ってブロックすることができます。
3. 粒状染色または蛍光物質の凝集がバックグラウンドに現れます。
Qdot® Incubation Buffer中のBSAが、時間経過と共にわずかに凝集することが、稀に観察されます。 Qdot® Streptavidin Conjugates を使ったサンプルのラベリングに先立ち、この凝集を除去する必要があります。 サンプルに添加する前にインキュベーション混合物をスピンダウンしてください。 卓上遠心分離機(Eppendorf 5415)を使って、サンプルを5000 xgで2分間スピンしてください。 材料はまた、顕微鏡沈殿物除去用の染色のためにサンプルに添加される前に、0.2 µm スピン フィルター ユニット上を通過することもできます。 Qdot® Incubation Buffer とは異なるバッファーを使用している場合は、しばしばインキュベーションバッファーのNaClレベルがより高くなり、濾過では簡単に固定できないことがあります。 この問題を減らすには全体塩濃度を削減してください。
4. ビオチン化二次抗体濃度の最適化。
多くの場合、染色用ビオチン化抗体レベルの調整により、目的シグナルの最適化を行います。 高レベルのビオチン化抗体が特異的標識を得るために必要ですが、過度の高レベルは抗体のサンプルへの非特異的な結合に寄与します。 非特異的結合ビオチン化抗体は Qdot® Streptavidin Conjugates に結合し、バックグラウンドサンプルのより高感度な染色を 実現します。
5. Qdot® Streptavidin Conjugate濃度の最適化。
免疫組織化学アプリケーションにおいて、特定なシグナルの最適化に一次および二次抗体濃度のタイトレーションが必要であるのと同様に、Qdotプローブの濃度もコンジュゲート毎に最適化される必要があります。 一般的に、飽和もしくは若干それ以下の濃度は最適シグナル/バックグラウンド比をもたらしますが、飽和よりもかなり高い濃度はバックグラウンドレベルがより高くなり分析が損なわれます。 シンプルな生化学アプリケーションにおいての Qdot® Streptavidin Conjugates のタイトレーションの影響詳細については、以下の表をご覧ください。