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着床前遺伝子検査では、体外受精処置(IVF)の結果として胚の遺伝的事象をスクリーニングします。 PGT-異数性(PGT-A)検査では染色体の数を調べ、PGT-SR検査では各染色体の転座等の構造的な異常を調べます。またPGT単一遺伝子性(PGT-M)検査では単一遺伝子において先天性疾患に関係する可能性のある遺伝子変異の存在を調べます。すべてのPGTは、着床に対する胚の適合性を判断するために行います。
染色体は、糸のような構造に詰められたDNA分子の配列です。ヒトの染色体は合計23対で、22対の常染色体(非性染色体)および1対のXXまたはXY染色体(性染色体)から成ります。
染色体の数または構造のいずれかに染色体異常があると、流産またはダウン症候群(21番染色体の3つのコピー)またはターナー症候群(女性に1本のX染色体しかない場合)などのさまざまな先天性疾患が生じる可能性があります。
異数性または転座等の構造的な異常の着床前遺伝子検査から得られた遺伝子検査結果により、胚は正倍数性、異数性、およびモザイクの3つのカテゴリーのうち1つに分類されます。 正倍数性の胚は染色体が正常ということを意味するので、着床に推奨されます。異数性の胚は染色体異常が1つ以上検出されることになるので、着床には推奨されません。モザイク胚とは、正常な染色体を有する胚と有しない胚が混在する胚を指します。モザイク胚を移植するための推奨事項は、染色体異常と、他に生存可能な胚が存在しないかによります。
家族内の特異的な一塩基多型(通常は一塩基多型 - SNV)の素因が分かっている場合、既知の変異の存在に関して胚を解析します。これにより、ノンキャリア胚のみを選択して宿主に移すことができます。
着床前遺伝子検査は、着床前に発生中の胚から採取した単一の細胞または複数の細胞の生検を行うことにより実施します。
第一世代の着床前遺伝子検査では、PCRに基づいて単一遺伝子の変異の検出または染色体の数的または構造的な異数性に関する蛍光in situハイブリダイゼーションアッセイ(FISH)を行います。これらの手法のどちらにも、解像度、真度(正確さ)、結果が出るまでの所要時間、カバレッジなどの限界があります。
より包括的なスクリーニング法であるアレイCGHまたはaCGHはマイクロアレイに基づく技術であり、構造的および数的な変化に関して、第一世代の検査よりも高い解像度、カバレッジ、およびより短時間で染色体のセット全体を分析することが可能になりました。
着床前遺伝子検査における次世代DNAシーケンシングは、着床前スクリーニングの最も先進的で迅速かつ包括的な方法です。DNAは、単一の細胞または複数の細胞から抽出し、増幅した後に配列決定します。同じ解析において、単一の遺伝子変異と染色体の構造的および数的変化に関してDNA配列を解析し、胚が変異を有するか、および/または正倍数性、異数性、またはモザイクであるかを判断します。
着床前遺伝子検査は、流産の発生率を減らし、妊娠成功の確率を高め、健康な新生児を出産することを目的として、体外受精胚の染色体異常と遺伝子変異をスクリーニングするために行います。着床前遺伝子検査は、IVFサイクル総数を抑えることができる優先順位付けツールであるため、妊娠までの期間を短縮し、IVF関連する経費を抑えます。