What are disinfection byproducts?

消毒副産物とは

飲料水、スイミングプール、廃水の消毒は、微生物やウイルスなどの病原微生物から一般市民を守るために必要です。塩素、クロラミン、二酸化塩素、オゾンなどの消毒剤が無機物質および有機物質と反応すると、消毒副産物(DBP)が生成されます。飲料水中に生成される一般的な DBP には、亜塩素酸、塩素酸、臭素酸、トリハロメタン(THM)、ハロ酢酸などがあります。  

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サブトピック

無機消毒副産物と臭化物の分析

無機消毒副産物には亜塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩などがあり、オキシハライドまたは DBP 陰イオンとも呼ばれます。

ハロ酢酸分析

ハロ酢酸(HAA)はがんリスクを増大することが知られており、水の塩素消毒過程で生成される消毒副産物(DBP)です。


消毒副産物の生成過程

消毒副産物の生成過程

水消毒剤の種類により、異なる消毒副産物が生成されます。また、さまざまな無機物質および有機物質の存在と量、水温と pH、消毒剤の量などのすべてが DBP の生成量と種類に影響します。下表に、上水処理の各種消毒剤により生成される主な DBP を一覧にしました。

水消毒剤消毒副産物
塩素亜塩素酸、トリハロメタン(THM)、ハロ酢酸
クロラミン亜塩素酸、トリハロメタン(THM)、N- ニトロソジメチルアミン(NDMA)
二酸化塩素塩素酸、亜塩素酸
オゾン*臭素酸

* 水中には臭素酸と有機臭素種が含まれる


消毒副産物による健康影響

消毒副産物の健康影響と規制

消毒副産物の多くは健康を脅かすため、各国の規制当局の規制対象となっています。DBP には、ハロゲン元素(塩素、臭素、ヨウ素など)などがあります。周知の DBP には塩素と臭素がありますが、ごく最近、新たな DBP にはヨウ素が含まれることが明らかになりました。研究調査によると、DBP の毒性は以下の順で強くなります。DBP(I) >>DBP(Br) >DBP(Cl)。

下表に、飲料水消毒により生じる消毒副産物の健康影響を一覧にしました。

消毒剤の処理消毒副産物健康影響
塩素処理
  • トリハロメタン(THM)
  • ハロ酢酸(HAA)
  • 亜塩素酸
  • がんリスクの増大。腎臓、肝臓、中枢神経系の問題。
  • がんリスクの増大。赤血球の O2 運搬能の低下。
二酸化塩素
  • 亜塩素酸
  • 塩素酸
  • 赤血球の O2 運搬能の低下。
  • 貧血および神経系への影響(乳幼児)
クロラミン
  • 亜塩素酸
  • 赤血球の O2 運搬能の低下。
オゾン処理
  • 臭素酸
  • がんリスクの増大。

規制対象の消毒副産物

規制対象の消毒副産物

600 種以上の DBP が知られていますが、健康影響、発生、濃度、頻度、処理方法、妥当性に関する明確なデータが得られている DBP はごく少数です。このごく少数の DBP が規制対象となっており、承認済みの分析法が確立されています。

米国 EPA は、公衆を DBP の脅威から保護するため、消毒剤と消毒副産物に関する規則(DBPR)を制定しています。ステージ 1 規則は、HAA と総 THM(TTHM)の最大汚染レベルを設定して、DBP への曝露を低減することを目指しています。ステージ 2 では、規則がさらに厳しくなります。EPA では、TTHM と HAA を個別に規制していません。

欧州および各国の飲料水品質基準でも、臭素酸とトリハロメタン(THM)などを規制対象としています。

以下の表に米国、EU、カナダの規制対象 DBP を一覧にしました。

規制対象の消毒副産物規制基準
米国塩素酸1000 ppb
臭素酸10 ppb
HAA560 ppb
TTHM80 ppb
EUTHM100 ppb
臭素酸10 ppb
カナダHAA580 ppb
TTHM100 ppb
塩素酸1000 ppb
亜塩素酸1000 ppb

一部の DPB は現在規制対象ではありませんが、EPA 規制外汚染物質モニタリング規則(UCMR)リストに含まれています。HAA9 および HAA6Br は UCMR 4 リストに掲載されており、2018 ~ 2020 年のモニタリング対象となっています。亜塩素酸は UCMR 3 リストに掲載されていますが、規制当局の決定はまだありません。

中国では、飲料水品質の新基準が 2006 年に公布され、2012 年に発効されました。新基準 GB5749-2006 には、14 種類の DBP をはじめ、106 種類の規制対象汚染物質が含まれています。日本で規制対象の DBP 種は、中国の規制対象とほぼ同じです。オーストラリアでは、16 種類の DBP が規制対象となっています。


消毒副産物分析の US EPA メソッド

消毒副産物の分析

消毒副産物はそれぞれに異なる特性を持つため、異なる分析法が適用されます。下表に、規制対象と規制対象外の DBP に適用される分析法をまとめました。未知の DBP を同定するため、高分解能質量分析計(HRMS)を液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)と組み合わせて、DBP を同定、定量します。

複数の EPA メソッドが各種 DBP の分析に承認されています(下表参照)。無機 DBP には、さまざまな ISO メソッドを利用できます。中国では、各種 DBP の分析に GB/T5750.10-2006 が策定され、多数の技術が盛り込まれています。

消毒副産物分析法(IC またはその他のメソッド)
総トリハロメタン
  • EPA 501.1(GC パージとトラップ)、EPA 502.2(GC-ECD)、EPA 524.2(GC-MS)、EPA 551.1(GC)
HAA
  • EPA 552.3(GC-ECD)、EPA 557(IC-MS)
塩素酸と亜塩素酸
  • EPA 300.0(B)および 300.1(B)、ISO 15061、EPA 317.0、EPA 326、EPA 327(比色分析法)
臭素酸
  • EPA 300.0(B)、300.1(B)、ISO 15061
  • EPA 302(2-D IC)、EPA 317、326、ISO 11206
  • EPA 321.8(IC-ICP-MS)、EPA 557(IC-MS)

新たに発見された飲料水中の消毒副産物同定の詳細情報:


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