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環境分析において、VOC 指定、または揮発性有機汚染物質とは、通常、以下の化学的特性を持つ環境サンプルに含まれる化合物の分析を指します。
*液体から気体への揮発性として定義されたヘンリー則定数(H)範囲
VOC は、塗料、接着剤、石油製品、薬剤、冷媒として、またはその処理で使用および生成される、人工の汚染物質です。これには、特に、自動車の排気ガスや産業活動の排出物が含まれます(USGS)。
この分類に含まれる化合物群には、以下のような、さまざまな構造的特性および化学的特性があります。
これらの化合物の多くが、今日私たちの環境を汚染しています。許容暴露限度と環境への VOC の放出規制は、EPA やその他の規制当局が規定しています。
このページでは以下の内容をご紹介します。
室温では、VOC の特性により、これらの化合物が気化、蒸発、または液体/固体から昇華し、空気中に逃げてしまいます。サンプリング方法および抽出手法は、採取から分析まで揮発損失を制限するように作る必要があります。SVOC 分析と同様に、分析対象のサンプルの種類により、必要な抽出法が決まります。しかし、VOC の捕捉および分離手法は、半揮発性物質の方法とは大きく異なります。
分析のために VOC を調製し、装置に移すのに使用する手法および戦略は多岐にわたります。揮発性物質の分析では、ほとんどの場合、パージおよびトラップに続いて、ガスクロマトグラフィー(GC)またはガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)を使用する方法が用いられますが、ヘッドスペース分析もよく用いられます。揮発性物質の抽出に使用される最も一般的な五つの方法を以下に示します。
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サンプルバイアル内の、サンプルの上にある、空いている領域は、一般にヘッドスペースと呼ばれます。静的ヘッドスペースを使用して、サンプルを含む密封バイアルを徐々に加熱し、VOC 化合物をサンプルマトリックスから分離させ、気相と平衡状態にします。安定したら、バイアル内の気相を採取するか、装置に直接移して、分析を行います。この手法は通常、燃料類の有機物など、ヘンリーの法則の定数が比較的高い化合物に適しています。しかし、この手法は MTBE や二臭化エチレン(EDB)には適さない可能性があります。
揮発性物質分析でおそらく最も一般的に使用されていて、最も感度が高い手法は、パージアンドトラップ濃縮です(動的ヘッドスペースサンプリングとも呼ばれます)。
注: パージ後、トラップを短時間ドライパージして、水を取り除くことができます。
前述のように、VOC の検出、同定、および定量に使用されるもっとも一般的な手法は、フレームイオン化(FID)、電子捕獲(ECD)または質量分析(GC-MS)検出によるガスクロマトグラフィーです。検出法を選択するには、さまざまな分析パラメータおよび規制要件を考慮する必要があります。次の表に、VOC 分析で使用される一般的なスタンドアロン GC 検出器と、それぞれに適した検出対象を示します。
TRACE 1300 シリーズ GC システム用の GC 検出器 | |
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検出器タイプ | 適した検出対象 |
Instant Connect フレームイオン化検出器(FID) | 広い直線性ダイナミックレンジにわたって有機化合物を高感度で検出 |
Instant Connect 電子捕獲検出器(ECD) | 電気陰性官能基を含有する化合物(塩素系殺虫剤など)を微量レベルで分析できる優れた選択性と感度 |
Instant Connect 窒素リン検出器(NPD) | 窒素またはリンを含有する有機化合物の測定に適した優れた選択性と感度 |
Instant Connect 熱伝導度検出器(TCD) | 有機化合物と無機化合物の両方に高感度で反応するユニバーサル検出器 |
VOC の検出では一般に、スタンドアロン GC よりも化合物同定の信頼性が高い質量分析が用いられるようになりました。しかし、今日でも、多くの揮発性物質のルーチンモニタリングにはガスクロマトグラフィーが用いられています。GC-MS 法を用いて、取得した質量スペクトルおよび保持時間を、同一の GC-MS 条件下で取得した校正用標準液の参照スペクトルおよび保持時間と比較することで、検体を同定します。
規制機関は、揮発性汚染物質をモニタリングするためのガイダンスを公開しています。規制では、多くの場合、検出法、目的とする化合物の使用法、化合物の構造的属性の分類など、いくつかの条件に基づいて VOC をグループ化しています。
米国環境保護庁(EPA)は VOC 分析の具体的なメソッドを公開していますが、すべての規制機関が分析法のガイダンスを提供しているわけではありません。EU 水枠組み指令(EUWFD)では、VOC モニタリングの限度を規定していますが、方法の指定はありません。選択する分析法は、各管理機関が指定し、公開した検出限界および条件を満たす必要があります。よく使用されている VOC 分析法を次に示します。
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