クローニングしたDNAからタンパク質を発現させるには様々なオプションがあります。これには無細胞抽出液( in vitro発現システム)、細菌、酵母、昆虫、哺乳類細胞システムが含まれ、それぞれに利点と欠点があります。タンパク質溶解性、機能性、および収率は、多くの場合、発現システムを選択する際に考慮すべき最も重要な要素ですが、サブクローニングして発現を最適化するためにかかる時間と手間も重要な要素です。

組換えタンパク質の使用用途は幅広く、 in vivoでの機能解析から構造解析や治療学のための大規模なタンパク質発現精製まで多岐にわたっています。目的とするタンパク質とアプリケーションに最も適した発現系を使用することが、成功への鍵となります。

次のテーブルは、もっとも一般的な発現宿主の特徴をまとめています。

あなたのタンパク質発現に最も適した宿主を選択してください

宿主代表的なアプリケーション特長潜在的課題
無細胞
  • 迅速な発現スクリーニング
  • 有毒なタンパク質の発現
  • 自然界にない標識またはアミノ酸の取り込み
  • 機能分析
  • タンパク質相互作用の研究
  • プラスミドから直接迅速に発現できる
  • オープンシステム-タンパク質の溶解性や機能性を高めるための物質の添加が簡単に行える
  • 単純なフォーマット
  • 容量調整可能
  • Gateway®クローニングに適合
  • 3 mg以上のタンパク質収量の獲得は困難
細菌
  • 構造分析
  • 抗体産生
  • 機能分析
  • タンパク質相互作用の研究
  • 容量調整可能
  • 低コスト
  • 培養条件がシンプル
  • Gateway®クローニングに適合
  • タンパク質の溶解性
  • 最小限の翻訳後修飾が可能
  • 機能性のある哺乳類タンパク質を発現することが困難
酵母
  • 構造解析
  • 抗体産生
  • 機能分析
  • タンパク質相互作用の研究
  • 真核生物のタンパク質プロセッシング
  • 発酵によりきわめて高い収量(g/L)で、容量調整可能
  • 培地要件が容易
  • きわめて高い収率が必要な場合の発酵ステップ
  • 増殖条件には最適化が必要
昆虫
  • 機能分析
  • 構造解析
  • 抗体産生
  • 哺乳類系に類似した翻訳後修飾
  • 哺乳類系より高い収率
  • Gateway®クローニングに適合
  • より厳しい培養条件
哺乳類
  • 機能分析
  • タンパク質相互作用の研究
  • 抗体産生
  • 最高レベルの正しい翻訳後修飾が可能
  • 機能性のヒトタンパク質を得るためのベストな選択
  • Gateway®クローニングに適合
  • リットルあたりのマルチミリグラム単位の収量は、浮遊培養でのみ可能
  • より厳しい培養条件

Gateway®技術を用いたクローニングとタンパク質発現

Gateway®技術は目的遺伝子を1つのエントリークローンからの多くの発現ベクターに高効率で転写します。利用可能な様々な発現の選択が、組換えクローニングのGateway®システムをタンパク質発現研究において理想的なものにしています。

Gateway®組換えクローニングシステムはお使いのDNAを1つのエントリークローンからどのGateway®発現ベクターにも高効率で転写できるよう設計されています。利用可能な非常に多種のGateway®クローニング対応発現ベクターが、組換えクローニングのGateway®システムをタンパク質発現研究において理想的なものにしています。

  • 室温での1時間の反応で、効率が99%を上回るクローニングを行えます。
  • 制限酵素やライゲーションを使用せずに、方向およびリーディングフレームを維持し、発現クローンを作成できます。
  • ターゲットの同定から検証まで同一のクローンを使用するため、リシーケンシングなしで実験を通して一貫性のある結果が保証されます。
  • 1つの発現ベクターから別の発現ベクターにDNAを簡単にインサートできるので、クローニングのワークフローを簡素化しながら柔軟性が得られます。


T7制御 E. coli発現システムでは、MagicMedia™発現培地によってタンパク質の収量を10倍まで増加できます。独自のMagicMedia™配合によって E. coliは従来のLB + IPTG培地よりも3~10倍高い培養密度に到達することができます。