PCR/qPCR Plastics Troubleshooting Guide

PCR や qPCR 実験で問題が生じた場合、まず試薬と機器設定のトラブルシューティングを行うことが多いと思います(関連項目:PCRqPCR に関するトラブルシューティングガイド)。 しかし、増幅反応はプラスチックチューブ・プレート内で増幅反応を行っているので、PCR/qPCR プラスチック消耗品に関連する問題について調べることも重要です。

1. PCR/qPCR の問題(プラスチック製品に関連した)

a. 増幅が起こらない、もしくは少ない

考えられる原因推奨事項
サーマルサイクラーのブロックと形状が対応していない
材質または構造が対応していない
阻害物質またはヌクレアーゼの存在
容量過多または容量過少
  • 適切な熱伝導効率を維持するため、チューブまたはウェルの推奨容量以上分注してはなりません。
  • 容量が少なすぎると、チューブ内での水分の蒸発に伴い、反応効率に影響が出る危険性があります。

b. qPCR 蛍光値が低い

考えられる原因推奨事項
ウェルの色が適切でない
シールの透明度が適切でない
  • 蛍光シグナルの歪曲を最小限に抑えるために、シールフィルムとキャップが光学的に透明または超透明であることを確認します。

c. qPCR データのばらつきが大きい

考えられる原因推奨事項
ウェル間のばらつきが大きい
  • 白色のプラスチック製品は、蛍光シグナルがウェル外に屈折拡散するのを防ぐことによりウェル間の均質性が向上するため、透明ウェルよりも白色ウェルのプラスチック製品のご利用をおすすめします。
シールの透明度が適切でない

d. 偽陽性増幅

考えられる原因推奨事項
DNA 汚染物質の存在
  • DNA 汚染を防ぐため、厳格なガイドラインに準拠したクリーンルーム環境でプラスチック製品とシールが製造されていることを確認します。
  • 製造業者に分析証明書を請求し、DNA 汚染物質のコンタミに関して生産ロットが試験されていることが証明されているか確認します。
  • 人物同定のための qPCR など高い精度が必要なアプリケーションに使用する場合には、潜在的な DNA 汚染物質を破壊するためにシーリングフィルムが製造業者によってエチレンオキサイドで処理されていること(ISO 18385 要件)を確認します。
シーリングが不十分
  • クロスコンタミネーションを避けるため、すべてのウェルが確実にシーリングされていることを確認する。
  • チューブストリップを使用する場合、クロスコンタミネーションを防止するために、チューブ毎に独立して開閉可能なキャップ付きチューブストリップの使用を検討します。

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2. チューブとプレートの問題

a サーマルブロックと形状が対応していない

考えられる原因推奨事項
互換性のないデザイン
  • 使用しているサーマルサイクラーに適切にフィットするよう対応していることが検証されている PCR/qPCR プラスチック製品を選びます。
  • 使用しているサーマルサイクラーに適切にフィットするように対応しているか、製造業者から提示されているプラスチック製品選定ガイドをご確認ください。

b. 変形または潰れ

考えられる原因推奨事項
互換性のないデザイン
  • 使用しているサーマルサイクラーに適切にフィットするよう対応していることが検証されている PCR/qPCR プラスチック製品を選びます。
  • 使用しているサーマルサイクラーに適切にフィットするように対応しているか、製造業者から提示されているプラスチック製品選定ガイドをご確認ください。 スカートプレートを選択すれば、より強固な安定性と強度を確保できます。
  • ロボットハンドリングで使用する場合、グリッパーで掛かる力に耐えられるポリカーボネイト(ハードシェル)フレームを備えたスカートプレートを選びます。
サーマルサイクラーのカバーによる高い圧力
  • チューブまたはチューブストリップを使用する場合、かかる圧力に対してバランスを取るためにブロック全体に均等にチューブ/チューブストリップを配置します。 必要に応じて、ブロックに空のチューブを配置して蓋の圧力を分散させます。
  • サーマルサイクラーによっては、チューブやチューブストリップが潰れないようにするために、製造業者から提供しているアクセサリー(例えば、トレーやリテーナー)の使用に関するガイドをご確認ください(トレーおよびリテーナーの使用に関する動画を見る)。
  • フラット キャップからドーム型キャップ、またはその逆に変更します。 ドーム型キャップはサーマルサイクラーのカバーからの圧力を上手く分散することができますが、フラットキャップはチューブとカバーの間に少しのスペースしかありません。
  • 調整可能な場合も、加熱し過ぎたり(通常、サンプル温度よりも 5 °C 高い温度で十分)、サーマルサイクラーのカバーを締め過ぎたりしてはいけません。
  • スプリングまたはカバーを閉める機構がが正しく機能することを確認するために、サーマル サイクラーのカバーが故障していないか確認します。

c. 溶解

考えられる原因推奨事項
材質が最適ではない
  • ポリプロピレン製のプラスチック製品を用いていることを確認します。この材質は熱サイクルに耐えることができるのが特徴です。 必要に応じて別の製造ロットのプラスチック製品を使用し、それでも問題が継続する場合は製造業者にお問い合わせください。

d. PCR 後のブロックへの固着

考えられる原因推奨事項
急速な加熱と冷却の繰り返し

e. 化学物質の浸出

考えられる原因推奨事項
製造プロセスが適切ではない
  • ロット間の均質性と高純度の品質を維持するために、、医療グレードまたは分子生物学グレードの未使用ポリプロピレンで製造されている PCR/qPCR プラスチック製品のご利用を検討します。
  • 厳格な製造ガイドラインと生産工程の透明性を堅持する、信用・信頼できる製造業者が製造したプラスチック製品を選びます。

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3. シールの問題

a. サンプルの消失/蒸発

考えられる原因推奨事項
シーリングが不十分シール:
  • すべてのウェルの縁に沿って(周縁部を含む)、ウェルの間およびウェルの周囲のシールをしっかりと押さえ、ウェルの縁をしっかりと密封します。 シーリングアプリケーターがお手元にある場合は、これをを使用します(ツールの使用に関する動画を見る)。
  • フラットデッキ(レイズドデッキではない)タイプのプレートを使用できる場合、このタイプのプレートを用いることでより簡単に密封できます。 自動でシーリングを行う場合、彫刻レタリング(隆起レタリングではない)を施されたプレートを使用することで、確実に密閉することができます。
キャップ:
  • 使用しているチューブやプレートとキャップストリップの互換性を確認します。
  • キャップが所定の位置にしっかりと付いていることを確認します。 キャップシール ツールがお手元にある場合は、これを使用します(ツールの使用に関する動画を見る)。

b. 接着性フィルムの接着不足

考えられる原因推奨事項
感圧フィルムが接着されていない

c. キャップの浮き上がり

考えられる原因推奨事項
適切にフィットしていない
  • 使用しているチューブやプレートとキャップの互換性を確認します。
  • キャップが所定の位置にしっかりと付いていることを確認します。 キャップ シールツールがお手元にある場合は、これを使用します(ツールの使用に関する動画を見る)。
  • 使用しているキャップの形状(フラットまたはドーム型)がサーマルサイクラーのカバーに適切ににフィットしているか確認します。

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トラブルシューティングのヒントの詳細情報については、PCRqPCR トラブルシューティングガイドを確認、当社のサポートセンターへアクセス、あるいは当社のテクニカルサポートチームまでお問い合せください。

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.