機器のデータ解析ソフトウェアのベースライン設定が低すぎる

最終サイクルのベースライン設定が低すぎると、一部あるいはすべてのサンプルからバックグラウンドシグナルが十分に差し引かれません。その結果、影響を受けた曲線の精度が低下します。また、影響を受けたサンプルの増幅曲線は S 字状になる可能性があります。

データの解析に Manual Baseline を選択した場合、上のベースラインはもっとも早い CT値を示すサンプルに合わせて設定される必要があります。この場合、増幅曲線がランの後期で立ち上がるサンプルは、バックグラウンドシグナルが十分に差し引かれない可能性があります。

すべての Applied Biosystems リアルタイム PCR 機器の Manual Baseline End Cycle の初期値は15に設定されています。サイクル15以降に増幅曲線が顕著に立ち上がるサンプルがランに含まれており、上のベースライン設定が調整されていない場合は、差し引かれるバックグラウンドシグナルの量が不十分となります。

Auto Baseline 設定で解析することで、Auto 機能によりサンプルごとに最適な量のバックグラウンドシグナルが差し引かれるため、上述の2つのケースの問題は通常解決されます。

PCR の初期サイクルにおける蛍光ノイズレベルが高い

PCR の初期サイクルにおいて、プレート上の1つあるいは複数のサンプルの蛍光ノイズが非常に高い場合、それらのサンプルの増幅曲線は不規則な形状 (通常 S 字状) となる可能性があります。まれではありますが、この現象は Auto Baseline 解析機能を使用したときに見られます。

高い蛍光ノイズは、以下の2つのいずれかの要因によって引き起こされる可能性があります:

  1. アッセイ自体に非常に高いバックグラウンドシグナルが存在する場合、特定のアッセイにおいてすべてのサンプルの増幅曲線は不規則な形状になる可能性が高い:
     

    これは TaqMan®アッセイよりも SYBR® Green でより多く発生し、ケミストリを切り替えることで解決するケースが多くあります。データ解析中に問題を解決するために、問題の原因のアッセイにおいて Manual Baseline への切り替えを試すこともで可能です。Auto あるいは Manual Baseline 設定を含め、適切なデータ解析方法の詳細は、お使いの機器の Getting Started ガイドの Data Analysis (データ解析) のセクションをご参照ください。これらのドキュメントは、弊社サイトの Tutorials&Troubleshooting ページに掲載されています。

  2. 1つあるいは複数のサンプルがサイクリング前に十分に混合されなかった:
    これらの場合は、あるアッセイにおいて少数のサンプルのみ増幅曲線が不規則な形状になる可能性があります。不十分な混合の原因はほとんどの場合、含水サンプルをマスターミックス (グリセロールを含むために多少粘性あり) と十分に混合していないことにあります。この現象は、以下のいずれかの状況のときにもっとも多く見られます:

    • サンプル量が最終的な反応液量の20%を超えている ー マスターミックス/カクテルに対してサンプル量が多いほど、その2つを十分に混合することが難しくなります。
    • Applied Biosystems Fast Master Mix を使用しており、プレートをサイクリング前に遠心しなかった ー Fast Master Mix は、 95°C 、たった20秒でホットスタートが可能 (標準的なマスターミックスは10分間) なため、サイクリング前の遠心が特に重要となります。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.