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SuperScript® III 逆転写酵素(RT)は、他のRT酵素と比較して、遺伝子産物に完全に対応する完全長cDNAを、高い収量で得られます。 cDNA合成は、遺伝子発現研究において重要な要素です。 逆転写反応の効率低下は、感度の低下またはcDNAの切断による偽陰性が見られる可能性があります。 逆転写酵素の多くは、非常に高いRNase H活性を持ち、また不十分な熱安定性のため、インプットRNAに完全に対応するcDNAを一貫して生成することは不可能です。 SuperScript® III 逆転写酵素は、高い熱安定性および50°Cにおける長い半減期を持ちます。 さらにSuperScript® IIIでは、RNase H活性も低く抑えられています。 リアルタイムRT-PCRおよびマイクロアレイ実験で最高の感度および、高いフィデリティを必要とされる場合には、SuperScript® III RTが最適です。
SuperScript® III RTに関するさらに精しい情報
SuperScript®逆転写酵素(RT)製品群は、数千におよぶ参照および引用実績を持つ、cDNA合成用酵素の汎用ブランドです。 本ブランドの逆転写酵素は、完全長のcDNAを高収量で確実に合成するようにデザインされています。 高感度に対するニーズの高まりに応えるため、SuperScript® III RTは熱安定性を高め、50°Cで長期間保存できるように設計されています。
図1. SuperScript® III逆転写酵素の、パフォーマンスに根ざした進化。 SuperScript® III RTは、リアルタイムRT-PCR、マイクロアレイ実験およびその他の遺伝子発現研究において最高の感度が得られるように開発されたものです。
逆転写酵素には、ポリメラーゼ活性に加えて、RNA/DNAハイブリッド中のRNAを分解するRNase H活性が存在しますが、この活性によりin vitroにおいてmRNAからのcDNAの合成が妨げられるという問題が生じます。 さらにRNase H活性は、鎖が伸長する際にRNAテンプレートを加水分解することによってcDNAの収量とサイズを低下させます。
RNase H活性を排除することにより、完全長のcDNAの収量が増加します。 SuperScript® III RTには、RNase H活性をノックアウトする変異が導入されています。 図2には、SuperScript® IIIが353 bpから12.3 kbのcDNAを増幅可能であることが示されています。
図2。 SuperScript® III RTは、完全長cDNAの収量を増加させます。 SuperScript III RTを使用して、353 bpから12.3 kbのcDNAを増幅しました。 サイズの大きいアンプリコンでは1 µgのRNAが必要でしたが、これは完全長RNAの量が少なく、長い転写産物の読み取りが困難であることによるものと考えられます。
RNA転写産物には強い二次構造が存在し、逆転写を効率よく行うためには、熱変性が必要です。 高温においてはRNAの二次構造は少し弱くなりますが、45°C以上では通常の逆転写酵素(例:MuLVおよびAMV)も不活性化してしまいます。 SuperScript® III RTは、高い熱安定性を実現するように設計されており、50°Cにおける半減期は220分間です。 この高い熱安定性により、二次構造を持つRNAを処理する能力が向上します(図 3)
逆転写酵素 | 50o Cにおける半減期(分) |
---|---|
SuperScript® ||| | 220 |
SuperScript® || | 6.1 |
MMLV | 3.5 |
図3(上図)SuperScript® III RTの熱安定性。SuperScript® III RTは、MMLVまたはSuperScript® II RTよりもはるかに熱安定的です。例えば、55°CにおいてMMLVおよびSuperScript® II RTはいずれも5分後に不活性化されますが、SuperScript® III RTは、10分後においても80%が活性を保っています。
図4(下図)MMLVおよびSuperScript® II RT に関してはいずれも、温度の上昇とともにcDNAの合成が困難になっていることが示されています。 しかしSuperScript® III RTは55°Cにおいても活性を保っており、完全長のcDNA、例えば9.5 kbの断片をより高収量で生成することが可能です。
理想的な逆転写酵素はプール中において最も存在量の少ないmRNAも逆転写し、単一細胞の逆転写検出を可能とします。 異なるサイズのターゲットに関して、SuperScript® III RTの高い感度が示されています(図5)。
図5。 SuperScript® III RTの高い感度.。(A) SuperScript® III RTでは、例えばβ-actin 354およびグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)に関して、0.1 pgの転写産物のインプットからでもシグナルを容易に取得することが可能です。 (B) さらに、SuperScript® III RTは単一のHeLa細胞から、PCR増幅用のcDNAを生成することも可能です。
これまでのデータは、SuperScript® III逆転写酵素が遺伝子発現解析用の高品質な逆転写酵素として使用できることを示していますが、競合品と比較してみるとどうでしょうか? 当社において、使用される機会の多い逆転写酵素との直接比較を行ってみたところ、SuperScript® III RTは競合他社の酵素よりも高いcDNA収量、高い感度およびより完全長に近い転写産物の合成を達成することが示されました(図6)。 第三者によるデータ1においても、SuperScript® III RTが数種類の市販の逆転写酵素よりも高収量の完全長cDNAを生成することが示されています。
図 6 競合他社の逆転写酵素と比較して、SuperScript III Reverse Transcriptaseは、エンドポイントRT-PCRからより完全なcDNAおよびより代表的なcDNAを生成します。
細胞から直接cDNA合成 | First-Strand cDNA Synthesis | エンドポイントcDNA合成 |