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Christina Waters 博士、MBA の紹介
遺伝学者 Christina Waters 博士の母は、かつて命を失いかけたことがあります。母の疾患は当初誤診されていましたが、最終的には特定されました。ある日、回復中の病院で、母親は娘にこう言いました。「ようやく、あなたがしようとしていることを理解できた。私も力になりたい」
これがきっかけとなり、Waters 博士が「希少な子どもたち」と呼ぶ希少疾患を患う子どもたちの家族の団結を支援する取り組みが生まれました。これには、50 ヶ国で 5,000 人が参加しています。Waters 博士は、希少な子どもたちの治療促進と治療法の特定に力を注ぐ非営利組織 Rare Science の創設者兼 CEO として、こうしたさまざまなコミュニティを結びつける方法を模索していました。
支援を申し出た母に対し、同博士は、希少な子どもたちの一人ひとりに合わせてテディベアを作ったらどうかと提案しました。Waters 博士の母は、回復後に、キルティング仲間の協力を得て「Rare Bear」(希少なテディベア)の制作にとりかかりました。この Rare Bear は、世界中にいる希少な家族たちを見つけ、結びつけるための糸口となっています。しかし、その「Rare Bear Army」(希少なテディベア部隊)の起源にたどり着くには、まず、Rare Science と Christina Waters 博士のことを知る必要があります。
Waters 博士は農場で育ちました。その農場で農業における遺伝学の役割を目にしたことで、コミュニティの前に立ちはだかる生物学的課題を特定し、解決したいという思いに駆られるようになりました。同博士の遺伝学に対する関心は、最終的に、民間セクターの研究財団での希少疾患研究にたどり着きました。そこで気づいたのは、腫瘍学などの分野が個別化医療に向かう一方で、希少疾患の患者や希少な子どもたちの支援においては遺伝学の活用がさほど重視されていないということでした。
「希少疾患と特定されている疾患は、およそ 8000 種類あります。そうした疾患にかかっている患者の合計数は 3 億 5,000 万人にのぼると推定されています。これは、10 人に一人の割合になります」と Waters 博士は説明します。「希少疾患は世界的な課題ですが、患者人口がきわめて少ないうえに世界中に分散しています。このリスクがあるために、製薬会社にこの分野への進出を促すことが難しくなっています」
この世界的な課題に対処すべく、Waters 博士は Rare Science を設立しました。「こうした患者を助ける治療法を開発できるようにするには、こうした家族を一つにまとめ、患者集団の中の各人の共通点や相違点を調べる必要があります」
Rare Science の前に立ちはだかった最初の障害は、世界各地で同じ希少疾患を抱える家族を特定して、生物学的特性を調べるのに十分な数の家族を確保することでした。そこで登場したのが、特別なテディベアである Rare Bear です。
これは、世界各国の数千人のキルト愛好家たちが協力し、そうした希少な子どもたちのために、端切れを使って製作した特別なテディベアです。綿詰めや縫製はコミュニティのグループが支援しています。それぞれのテディベアにはシリアル番号がついています。これは、Rare Science がそのテディベアを受けとった子どもを特定できるようにするためです。この「Rare Bear Army」は、希少疾患を抱える家族やコミュニティ同士のつながりを作り、疾患の認知度を高めています。また、治療につながる可能性のある生物学的特性を把握するために、遺伝子シーケンシングを目的とした家族と患者のグループを形成しています。
もう一つの障害は、子どもの遺伝子シーケンシングを実施したあと、家族はその情報を使って何ができるのか、ということでした。
Waters 博士はこれを説明するために、ある事例を示しました。脳性まひと誤診されていた女児が 10 代後半になってようやく遺伝子変異と特定されました(希少疾患の子どもが診断されない期間もしくは誤診されている期間は平均 7 ~ 8 年にのぼります)。しかし、その人の家族は「これからどうなるのだろう?」という疑問を持ちました。
サーモフィッシャーサイエンティフィックは、カリフォルニア州再生医療機構と共同で、5 ヶ国の希少疾患コミュニティで組織および血液サンプルを採取するためのツールとリソースを Rare Science に提供しました。Rare Science はその後、影響を受ける組織を標的とする幹細胞を作製し、そうした疾患の生物学的特性を研究する研究者を支援しています。「私たちの目標は、機能アッセイを開発し、場合によっては現在の承認薬を転用し、それまで何もなかった分野に支援を提供することです」と Waters 博士は説明します。
「このモデルは成功しています。すばらしいことです。キルト愛好家が最初の希少疾患幹細胞プログラムを前進させることになるとは、誰が想像していたでしょうか?このモデルをコミュニティとの関係を通じていかにして拡大していくか。その方法を見つけることが現在の目標です」
Rare Science の設立を計画していた当時を振り返ると、「うまくいくわけがない」と言う人もいました。そして、Waters 博士が助けようとしている子どもたちと同様に、コミュニティと科学の結びつきもまた「希少」であることが明らかになりました。「科学の世界では、特定の方法にしたがって何かを行うように訓練されます。しかし、自分のしたいことがたとえスタンダートな方法に則っていないとしても、心の底から望むことならば、挑戦すべきです」
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.
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