Search Thermo Fisher Scientific
Search Thermo Fisher Scientific
Steve McClellan 氏の紹介
Steve McClellan 氏のお気に入りのひらめきの瞬間は、ある朝お茶を淹れている最中に訪れました。湯に沈んだ茶葉が広がっていくのを眺めたあと、茶葉を濾していたときのことです。一本の電話がかかってきて、McClellan 氏はお茶から離れました。少しの間でしたが、戻ってきたときには、微細な沈殿物がカップの底にたまっていました。普通の人ならティーポットで茶葉を使って淹れたお茶を飲むというごくあたり前の結果を見るだけですが、McClellan 氏は違いました。がん細胞のコミュニケーションの仕組みを解明するための良い方法を思いついたのです。
ひらめきを得た McClellan 氏は、サウスアラバマ大学 Mitchell Cancer Institute(MCI)の自身の研究室でエキソソームと呼ばれる血液サンプル中の小さなウイルスサイズの粒子の分析に使用されている、フローサイトメトリー装置を微調整する方法を突き止めようと決めました。「エキソソームの理解が深まれば、検査を改良することにより、がんを早期に発見し、特定のがん治療に効果があるかどうかを迅速に見極められるようになる可能性があります」と、MCI のフローサイトメトリーコア研究室長を務める McClellan 氏は語っています。
過去 30 年にわたりフローサイトメトリーを使いこなしてきた経験から、McClellan 氏は、その装置でナノスケールのエキソソームを検出するためには、創造性が必要であることを知っていました。エキソソームの前処理に用いる液体とフローサイトメーターを流れるシース液を高度に精製する必要があったため、McClellan 氏は研究室に生物学的ろ過装置を供給している会社に電話をかけ、自身の「限外ろ過」のアイデアを説明しましたが、その提案を実現する方法はないと言われるだけに終わりました。
McClellan 氏はさらに 4 回にわたって同じ会社に電話をかけ、さまざまな質問をしたあと、あるアイデアを持つシニアスペシャリストにたどり着きました。「彼女が言うには、その会社にあるろ過装置のうち、そこまで細かくろ過できる可能性があるのはエアフィルターだけだが、液体が通過するかどうかはわからないということでした」と McClellan 氏は回想しています。「結局のところ、通過することがわかりました。とてもゆっくりでしたけれどね」
およそ 1 年半後、McClellan 氏のひらめきの瞬間は、研究室の備品として実現しました。McClellan 氏は次のように語ります。「Invitrogen Attune NxT フローサイトメーターで限外ろ過した溶液を使うことにより、目をみはるような成果が出ました。というのも、この装置はほかのフローサイトメーターほど大量のシース液を必要としないので、ろ過の所要時間が短くなるからです。
限外ろ過で成果が出始めたとき、『どうしてみんな、これをしないのだろう?』と不思議に思いました」McClellan 氏はこう続けます。「おそらく、試してはみたけれど、できないと言われたのでしょう。幸運なことに、私はノーを答えとは思いません」
McClellan 氏がフローサイトメトリーのトレーニングを始めたのは、フロリダ大学で医療技術を学んでいた学生時代です。その時代の指導者で現在は NIH のシニア臨床医である Raul Braylan 博士に、当時はまだ比較的新しかったこの技術をマスターすれば、この先ずっと仕事にあぶれることはないと言われたのです。「そのとおりでした」と McClellan 氏は認めています。「私は、幹細胞療法や糖尿病から移植免疫学、異種移植まで、さまざまな分野で研究してきました。私はその間ずっと、いつも『フローガイ』、つまりフロー職人でした」
McClellan 氏は、フローサイトメトリー分野に、自身が得たものと同じくらい多くのものを還元してきました。McClellan 氏は共同設立者のひとりとして、SouthEast Flow Cytometry Interest Group(SEFCIG)の立ち上げに参画しました。McClellan 氏によれば、「サイトフローのオタク」が毎年集まり、専門の話をする地域組織ということです。「サイトメトリーはユニークな分野です。これほど親密なユーザーグループが集っている技術を、私はほかに知りません」と McClellan 氏は語っています。また、大学の予算が削られ、フローメトリーの年次国際会議 ISAC に参加するのが難くなっている現状において、地域のグループは重要であると指摘しています。「こうしたグループは、昨今の科学界に著しく欠けている仲間意識も育ててくれます」
好奇心なもちろんのこと、そうした仲間意識こそ、McClellan 氏が次世代の科学者たちに伝えようとしていることです。「若者たちの科学への関心を育むことが不可欠です」と同氏は述べています。「私は、高校生や大学生が MCI でのボランティアを通じ研究室での経験を積むことができる活動のコーディネーターを務めています。科学の一分野として、フローサイトメトリーの専門家である私たちが次世代の『フローガイ』や『フローガール』、つまりフロー職人たちを育成し、能力を開発することも重要なのです」
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.
>
>