製薬業界におけるホットメルトエクストルージョン

製薬メーカーは、二軸スクリューエクストルーダーを使用して、不溶性または不安定な医薬品活性成分(API)の分子と適切なポリマーを混合しています。エクストルーダーは、腸溶性コーティング薬の調製、持続放出型の投与量の開発、味覚マスキング、およびフィルムなどの特定の形状の作製にも有用です。

ホットメルトエクストルージョンプロセス

ホットメルトエクストルージョン(HME)は、熱可塑性ポリマーや結合剤と活性化合物を分子レベルで混合するために、ガラス転移温度温度(Tg)を超えたところでプロセスする技術です。いくつかの他の業界でも使用されているHMEは、熱エネルギーと機械エネルギーの組み合わせを使用して、材料を再現性のある処理をするための連続プロセスを改善し、廃棄物と溶剤の削減やオンラインモニタリングを可能にします。

 

医薬品製造では、HME は分子レベルでマトリクス内に有効活性成分を分散させ、固体分散体を形成するのに使用されています。難溶性薬剤や、経皮吸収型貼付剤用のフィルムなど特殊な製剤のためのドラッグデリバリーシステムを可能にしました。


ホットメルトエクストルージョンポリマー

安定した固体分散体を形成するマトリクスとして、適切なポリマーを選択することがHMEでは重要です。高い溶解性を持つポリマーは、大量の薬剤を溶解できるため、特に適しています。ホットメルトエクストルージョンに使用するポリマーは、異なるモノマーや化学構造(ホモポリマー、コポリマー、両親媒性コポリマー、溶解剤や可塑剤など)がベースとなっています。各材料を考慮する場合、ポリマーの溶解性を考慮に入れる必要があり、それは親油性の高いものから親水性の高いものまでさまざまです。

 

ホットメルトエクストルージョン用ポリマーは、熱可塑性特性を示し、適切な放出温度で熱的に安定でなければなりません。HME薬剤システムを開発する場合、ガラス転移と融解温度が重要なファクターです。ポリマーの混錬性は主にTgまたはTmおよび溶融粘度で決まります。ほとんどのポリマーは、せん断応力が増大するにつれ、粘度が低下するというチキソトロピー挙動を示します。


製薬用押出混錬テクノロジー

現在の創薬方法論では、分子サイズと親油性が増大している薬剤候補が作られており、その結果として難溶解性で低透過性の化合物が増えています。新規薬剤候補物質のうち高い溶解性と透過性を備えているものがわずか10%未満であるのに対し、世界保健機構(WHO)の必須医薬品リストに掲載されている薬剤の30~40%は難水溶性または親油性と報告されています。HMEは、固体分散体を形成することにより、分子レベルでマトリックスに薬効成分を分散させます。

 

HMEは、非晶質固体分散、制御放出システム、多形生成、新規共結晶化(無溶媒連続共結晶化)、多孔性ポリマーシステムなど、さまざまなアプリケーションに使用できます。


ホットメルトエクストルージョンのプロセスパラメータ

ホットメルトエクストルージョンのプロセスでは、有効活性成分と賦形剤がエクストルーダーに供給されます。すべての構成成分に対し、せん断、加熱、可塑化、混合および分散が行われ、ダイを通してそれらを押し出すことにより、最終的に成形されます。HMEベースの製造プロジェクトの開発には、最終製品の品質に影響を与えるいくつかの処理パラメータを制御する必要があります。滞留時間分布および固有機械エネルギー消費量(SMEC)、およびエクストルーダーダイでの溶融温度と圧力、スクリュートルクも考慮する必要があります。


ホットメルトエクストルージョンのパイロットプロジェクトを商業生産規模にスケールアップ

ラボスケールでの薬剤候補の同定

Thermo Scientific二軸スクリューエクストルーダーは、さまざまなサイズにおいても、同様の形状で設計されています。これにより、ラボスケール(11 mmスクリュー)の装置で開発された実験および実現可能性プロジェクトを、科学的アプローチを用いて商業生産規模にスケールアップすることが可能になります。ラボスケールのエクストルーダーを使用することで、高価なAPIの使用を最小限に抑え、実験間の迅速かつ簡単なクリーンアップを可能にします。

マイクロコンパウンダーは医薬品の候補を見つけだします

この製剤がホットメルトエクストルージョンの候補であったとしても、適切なAPI/賦形剤の製剤を見つけることが困難な場合があります。 Thermo Scientific Pharm amini HMEマイクロコンパウンダーは、ホットメルトエクストルージョンに適した医薬品候補を同定するのに、わずか3 gの材料で試験することができます。円錐状の同方向または反対方向に回転するスクリューを備えるこのコンパウンダーは、材料の無駄を最小限にとどめ、洗浄によるダウンタイムを削減します。

研究および小規模生産用の卓上型エクストルーダー

最小スループット20 g/hである小型卓上エクストルーダーは、特に高価なAPIおよび関連化合物を使用したHMEレシピを開発および試験する場合に、フェーズ1の研究用途に最適です。Thermo Scientific Pharma 11二軸スクリューエクストルーダーは、GMP準拠のユニットとして、最大2.5 kg/hのスループットに対する臨床試験や小規模生産にも適していますスクリューおよびバレルの設計は、ラボ、パイロットから生産規模に至るまで、Thermo Scientificのエクストルーダーポートフォリオ全体にわたって、幾何学的に拡張性が確保されています。

製剤開発プラットフォーム

モジュール式のThermo Scientific Pharma 16二軸スクリューエクストルーダーは、開発ラボと生産ラインの間に適合するよう設計されており、放出制御製剤、溶解性向上、共押出およびインプラント、乱用抑止剤製剤、湿式および溶融造粒プロジェクトなど、さまざまな医薬品製剤プロジェクトに活用できます。モジュール式設計により、ホットメルトエクストルージョンと連続造粒を容易に切り替えることができます。

生産規模のHME

ホットメルト製剤の一貫した制御可能な処理を実現するために、PATの利用に適したThermo Scientific Pharma 24二軸スクリューエクストルーダーを使用すれば、製品の切り替え時間の短縮とスケールアップリスクの最小化が保証されると同時に、迅速かつ簡単な洗浄が可能です。

 

このプラットフォームには、プレミキサー、フィーダー、冷却ロール、空冷コンベア、ペレタイザー、シートなど、プロジェクト開発と商業生産の両方のための統合されたオプションを選択することがます。 GMPに準拠した仕様の装置は、ステンレス製構造と防塵タッチスクリーン操作インターフェースを備えています。


製薬用二軸スクリューエクストルーダー選択ガイド

お客様の製剤開発と生産ニーズに適した医薬品二軸スクリューエクストルーダーを迅速に見つけることができます。

 

 

製薬用二軸スクリューエクストルーダー

Pharma Mini HME

Pharma 11

Pharma 16

Pharma 24

Pharma 24 TSG

推奨用途:

実現可能性検討

研究

研究/パイロット生産

商業生産

商業生産

一般的な生産能力HME*

3 gのバッチまたは100 g/h

20 g/h~2.5 kg/h

0.5 kg/h~10 kg/h

1 kg/h~30 kg/h

N/A

一般的な生産能力TSG*

N/A

最大3 kg/h

最大20 kg/h

最大80 kg/h

最大80 kg/h

サイズ
(長さ(幅) × 奥行き × 高さ)

58 x 37 x 34 cm

83 x 48 x 41 cm

210 x 76 x 176 cm

210 x 85 x 173 cm

195 x 32 x 42 cm

オプション

コンベアーベルト
ストランド径モニターおよび切断装置

コンベアーベルト
ペレタイザー
シート巻取機

コンベアーベルト
ペレタイザー
冷却ロール
フェイスカットペレタイザー

コンベアーベルト
ペレタイザー
冷却ロール
フェイスカットペレタイザー

生産ラインとの統合

スクリュー設計

コニカル同方向、異方向回転

パラレル同方向回転

パラレル同方向回転

パラレル同方向回転

パラレル同方向回転

最大トルク

5 Nm

6 Nm/シャフト

18 Nm/シャフト

52.5 Nm/シャフト

18 Nm/シャフト

*実際の生産能力は処方によって異なります