mzCloud Mass Spectral Library

高い信頼性で未知低分子を同定

未知化合物を同定する際にリファレンススタンダードがない場合、マススペクトルライブラリおよびデータベースが必要になることがあります。このようなことは、メタボロミクス、法中毒学、食品&飲料、環境中の新興汚染物質、または抽出物&漏出物(Extractables & Leachables)などの領域の研究において特によく起こります。

このような状況では、マススペクトルライブラリ、特にmzCloudマススペクトルライブラリのような高分解能および高精密質量MSnフラグメンテーションライブラリを使用すると、未知化合物を高い信頼性で同定するのに必要な情報を取得できます。

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mzCloudマススペクトルライブラリの主な利点

高い信頼性で未知化合物を同定より多くの未知化合物を同定スペクトルから構造を解析研究およびルーチンアプリケーションに柔軟に対応
ライブラリの内容はすべて広範囲にわたってキュレーションされており、十分アノテーションを行った詳細で検索可能なフラグメンテーションスペクトルが保存されているため、信頼性の高い結果が得られます。低分子アプリケーションなどの幅広いChemical Spaceに対応する詳細なフラグメンテーションスペクトルに対して、自動デコンボリューションおよびライブラリ検索を行うことにより、未知化合物を同定します。インフュージョン法もLC-MSも、ノミナルデータも高分解能データもカバーするソリューションで、ライブラリに一致するスペクトルがなくても、MSnスペクトルにより有益な結果を確実に得られます。オンラインの mzCloud.orgを無料で検索するか、Thermo Scientific Compound DiscovererおよびMass Frontierソフトウェアパッケージから直接アクセスできます。ネットに接続していない場合は、mzVaultにより、オフラインでスペクトルライブラリを検索できます。

mzCloudスペクトルライブラリの詳細をご確認ください

未知低分子の特性評価における課題に対処する場合に、高分解能マススペクトルライブラリはどのように異なるのか、また、パワフルなデータ分析ツールが、迅速かつ確実に答えを提供することにより、どのようにしてこれらのライブラリを活用して意思決定プロセスを導くのかについてご覧ください。

mzCloudは広範囲にキュレーションされた高品質のマススペクトルフラグメンテーションライブラリで、各エントリーについて非常に多くのスペクトルおよびメタデータが収容されています。各エントリーには、さまざまな衝突エネルギーで異なるフラグメンテーション法を用いて得られた詳細な高分解能MS/MSおよび多段階MSnスペクトル収容しています。

各マススペクトルの生データをフィルタリングしてノイズを除去し、再キャリブレーションによって絶対質量の精度を確保したうえで、アノテーションおよびキュレーションを行うことにより、品質と一貫性を確保します。

さらに、ライブラリのコンテンツを毎週更新して幅広い化学空間に対応し、低分子のアプリケーション領域すべてにおいて妥当性を確保します。

Mass Frontier software with mzCloud

これは、Mass FrontierソフトウェアでmzCloudのコンテンツを活用し、部分構造検索によって未知化合物を同定した例です;実測フラグメンテーションスペクトル(左上)をmzCloudマススペクトルデータベースで検索し、ヒットしたスペクトルがスペクトルツリー(中央上)に表示されます。それを裏付けるスペクトル情報(左下)、一致したフラグメンテーションスペクトルから同定されたプリカーサー構造(右下)および当該フラグメントの生成元である化合物のライブラリ上の構造(右上)も表示されます。

通常、データベースによってコンテンツもコンテンツの質も大きく異なり、そのことがデータの確実性や得られる結果の信頼性に影響を及ぼすこともあるため、数種類あるデータベースを使い分けることが重要です。

  • 化学物質データベース:最低でも化学物質の名称や化学式など、化学物質に関する情報が収集されています。構造、元素組成、保持時間情報、その他生物学的または化学的メタデータを含む場合もあります。
  • 精密質量(AM)データベース:AMデータベースには正確な質量式が保存されています。
  • 精密質量保持時間(AMRT)データベース:AMRTデータベースは、精密質量および特定の分析法における保持時間を収容しています。
  • ライブラリ:ライブラリというのは、データベース(AMまたはAMRT)ではありますが、上記に加えて化合物のリファレンスマススペクトルデータ、MS/MSおよび/またはMSnデータを収容しています。
mzCloud spectral tree

これはmzCloud内のスペクトルツリーの模式図です。両極性の化合物(ESI +/-)や、さまざまなアダクトのMSスペクトルを取得しています。異なるフラグメンテーション法(CID、HCD)を用い、複数の衝突エネルギーで各プリカーサーイオンを完全にフラグメント化し、フラグメンテーションレベルごとにフラグメンテーションスペクトルのコレクションを作成します(MS2、MS3、MS4など)。その結果、各ライブラリエントリーについて網羅的なスペクトルツリーが生成されます。

mzCloudは包括的なマススペクトルライブラリで、その内容は幅広いchemical Space(つまりすべての低分子アプリケーション領域に対応)に基づいており、複数のアダクトに対しCIDおよびHCDを用いてさまざまな衝突エネルギーによってを生成した高分解能および精密質量データを取得して作成されています。各プリカーサーイオンについて約10~20種類の衝突エネルギーを用いて取得したこの多段階、多次元MSnスペクトルデータからスペクトルツリーを作成します。これは詳細かつ網羅的なスペクトルツリーであり、MS4を上回る多段階のフラグメンテーションを行い、一つの化合物につき原則数十万個のスペクトルを収容しています。

化合物を正確に同定するうえで、各ライブラリエントリーについての詳細なデータは非常に重要なため、実験で得られたデータをライブラリの内容とマッチさせ、Compound DiscovererおよびMass Frontierデータ解析ソフトウェアにより一致の信頼度を取得してデータを視覚化します。Compound DiscovererおよびMass Frontierソフトウェアのその他のツールとしてはmzLogicがあり、スペクトルライブラリの化合物エントリーのみでは同定できなかった未知化合物を、詳細なフラグメンテーション情報を使用して高い信頼性で同定します。

mzLogicについての詳細

mzCloud content curation tool

これはMass Frontierソフトウェアで使用可能なマススペクトルの内容をキュレーションするツールの例です。mzCloudの内容を手作業でキュレーションする際に使用する機能をすべて備えています。mzCloudの強みは、内容の範囲と品質の高さにあり、そのおかげで信頼性の高い化合物同定が可能です。

Thermo Scientific Orbitrapベースの質量分析計で生じる質量の誤差は通常3 ppmを下回りますが、ライブラリ検索に使用される実測データにはわずかに不正確なものがあります;ライブラリ自体にも質量誤差のあるデータが含まれていれば、こうした誤差がより増幅されてしまいます。誤差が増幅されるということは、同定が難しくなったり、一致率スコアが高めに出てしまうことにより信頼性が低下したりすることを意味します。

mzCloudの内容をキュレーションすることにより、誤差や、データと比較する参照スペクトルのばらつきを防ぐことができます。キュレーションのプロセスは以下のとおりです:

  • 個別に取得した複数のスペクトルを平均化します。
  • マススペクトルのノイズを除去します。
  • プリカーサーイオンの既知の元素組成および構造から推測されるフラグメントイオンの元素組成式に基づいてマススペクトルを再キャリブレーションします。
  • すべてのフラグメントイオンにフラグメント構造のアノテーションを追加します。
  • データソースおよびすべてのオリジナル生データファイルなど、大量のメタデータを追加します。

このキュレーションプロセスをすべてのスペクトルに行います-すなわち各プリカーサーイオンの全衝突エネルギー、全フラグメンテーションタイプ、全MSnレベルについて行います。このようなプロセスにより、mzCloud内のスペクトルデータは非常に高品質に保たれ、高いレベルで管理されているおかげで、他のクラウドソースライブラリと比較して大変優れています。

Recalibrated fragmentation spectrum

これは再キャリブレーションをしてm/z 213.05462の誤差が認められなくなったフラグメンテーションスペクトルです。各衝突エネルギー、各フラグメンテーションタイプ、各MSnレベルのスペクトルに付けられたアノテーションをすべて表示しています。

mzCloud

Compound DiscovererソフトウェアおよびMass Frontierソフトウェアで使用可能なmzCloud、mzLogicおよび他の解析ツール、マススペクトル予測ツールによって、未知低分子の同定をより迅速に行えます。

インターネットに接続していれば、Compound DiscovererおよびMass FrontierソフトウェアパッケージからmzCloudの内容にアクセスできます。インターネット接続がない場合でも問題ありません。mzVaultによりmzCloudのMSおよびMS/MSの内容をオフライン形式で表示できます。

mzVault

セキュリティ上の問題またはローカルのファイアーウォールにより、処理用のPCを全員がインターネットに接続できるとは限りません。その点を考慮して年に2回、mzCloudの内容をオフラインバージョンに組み込みます。この情報には、mzVaultソフトウェアアプリケーションを用いてアクセスできます。mzCloudのオフラインバージョンへのアクセスに加え、mzVaultアプリケーションを使用して、お客様の組織内(オフライン)の高品質なカスタムMS/MSスペクトルライブラリを保管し検索できます。

mzCloudは未知化合物の同定および特性評価を実施する優れたソリューションですが、Compound DiscovererソフトウェアおよびMass Frontierソフトウェア内でも多くのツールを活用できます。

複雑なサンプル中にmzCloud内の化合物と一致しないまったく未知の化合物が認められた場合、または確認できるフラグメントが少なすぎて推定的同定ができない場合でも、カスタムライブラリにその情報を保管することにより、ユーザーがあとからデータを検索して、その未知化合物が過去に認められたかどうかを確認できる有用な情報のリポジトリを構築できます。Compound Discovererソフトウェアを使用すれば、お客様が取得したマススペクトルデータを既存のmzVaultに送信するか、または新たなライブラリの作成が可能です。Mass Frontierソフトウェアは、作成したmzVaultライブラリをmzCloudと同じ水準にするのに必要なキュレーションツールを備えています。

mzCloud MS用のオフラインmzVaultをダウンロード2


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無料の60日間トライアルをダウンロードしてCompound DiscovererソフトウェアおよびMass Frontierソフトウェアによってマススペクトルライブラリ、未知化合物解析ツールやその他の価値あるツールをどのように活用し、データを最大活用できるかをお確かめください。

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Small molecule compound
低分子化合物の同定における「アイデンティティクライシス(同定の危機)」に対応

このe-learningでは、最適化された質量分析計によるノンターゲット低分子解析への基本的な新アプローチ、強力で新しいデータ取得戦略、および高品質のOrbitrapマススペクトルからより多くの確かな低分子構造を解釈するための新しいソフトウェアツールについて紹介します。

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未知低分子のスペクトルがライブラリでヒットしない場合でも、それを同定するには?

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