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血液サンプルから変異の検出結果までを包括した、セルフリー核酸のためのリキッドバイオプシーワークフロー

Ion Torrent Oncomine cell-free research Assay は、血漿中の体細胞変異を、固形腫瘍に関連する遺伝子変異の 0.1%まで再現性よく検出できるマルチバイオマーカー次世代シーケンシング(NGS)アッセイです。リキッドバイオプシー NGS ワークフローの一部として使用した場合、研究用血液試料採取から変異検出結果の取得までにかかる時間はわずか 2 日間です。

各アッセイには、ライブラリ作製用の試薬と、全血の血漿画分に認められるセルフリー DNA(cfDNA)およびセルフリー RNA(cfRNA)からアンプリコンライブラリを調製するためのマルチプレックス PCR に使用するプライマープール1本が含まれており、それぞれのアッセイはセルフリー核酸から腫瘍由来 DNA および RNA を検出するための研究ソリューションの一部分を担います。

このアッセイは、1 本の血液チューブから臨床研究に用いられるがんサンプル中で頻繁に認められる一塩基置換、短い挿入欠失、コピー数変異および融合遺伝子を解析するためにデザインされています。このアッセイにより、検出限界(LOD)を 0.1%まで下げることができます。

 フライヤー

リキッドバイオプシーは、従来の固形腫瘍サンプルを用いる手法と比べ、以下の利点があります。 

  • 採取時の侵襲性が低いため、腫瘍を含む試料の複数回採取が期待できる
  • 組織サンブルを用いる従来法と比較して価格を抑えられる
  • サンプル採取から結果取得までの所要時間を短縮する
  • 腫瘍の不均一性の理解を手助けする
  • 将来的な臨床研究とその応用につながる可能性がある

私たちは現在、がんが分子病であることを知っています。将来のがん研究をより良好に進めていくために、がん遺伝子と腫瘍性タンパク質が時間と空間の両方において、どのように変化するのか、より明確に理解する必要があります。リキッドバイオプシーを用いたアプリケーションにより、臨床研究者は以前不可能だった方法で腫瘍を調べることができます。

以前は、cfDNA を用いた臨床がん研究の分野では、デジタル PCR やドロップレットデジタル PCR アプリケーションを用いることで低頻度変異を有するサンプルを解析することに主眼が置かれていました。これらの手法は高感度ではありますが、ターゲット遺伝子の絶対数が制限されるため、研究者の視野を狭めることがあります。

Oncomine cell-free research Assay および Ion GeneStudio S5 システムにより、腫瘍の不均一性研究、治療選択研究、治療モニタリング研究、再発研究の調査を、わずか 1 ng のサンプルインプット量から実施することができます。

EGFR T790M などの変異を検出します

「Oncomine Lung cfDNA Assay を使用して、これまで難しかったサンプルを増幅することができました。このアッセイで、EGFR T790M などの変異を 0.14%のアレル頻度まで検出できました。」

ポルト大学(ポルトガル)分子病理学・免疫学研究所の
上級研究員
José Luis Costa博士


セルフリー核酸中の主要なドライバー(促進因子)変異と耐性変異に重点をおいたリキッドバイオプシーによる臨床研究用に最適化されています

Oncomine cell-free research Assay には、がんゲノミクスデータリソースである Oncomine Reporter によって特定され、臨床研究者が精査したターゲット遺伝子が含まれています。

Oncomine cell-free research Assay の遺伝子コンテンツ

アッセイ

DNA/RNA

遺伝子

対象となる SNV ホットスポット

CNV

融合遺伝子

それ以外のもの

Oncomine Pan-Cancer Cell-Free Assay

DNA & RNA

AKT1
ALK
APC
AR
ARAF
BRAF
CCND1
CCND2
CCND3
CDK4
CDK6
CHEK2
CTNNB1
DDR2
EGFR
ERBB2
ERBB3
ERG
ESR1
ETV1
FBXW7
FGFR1
FGFR2
FGFR3
FGFR4
FLT3
GNA11
GNAQ
GNAS
HRAS
IDH1
IDH2
KIT
KRAS
MAP2K1
MAP2K2
MET
MTOR
MYC
NRAS
NTRK1
NTRK3
PDGFRA
PIK3CA
PTEN
RAF1
RET
ROS1
SF3B1
SMAD4
SMO
TP53

以下を含む 900 超のホットスポット

BRAF 
EGFR
HRAS、KRAS、NRAS

 

CCND1
CCND2
CCND3
CDK4
CDK6
EGFR
ERBB2
FGFR1
FGFR2
FGFR3
MET
MYC
ALK
BRAF
ERG
ETV1
FGFR1
FGFR2
FGFR3
MET
NTRK1
NTRK3
RET
ROS1

MET エキソン
14 スキッピング

がん
抑制
遺伝子:
APC
FBXW7
PTEN
TP53

Oncomine Lung cfTNA Assay

DNA & RNA

ALK BRAF EGFR ERBB2 KRAS MAP2K1 MET NRAS PIK3CA RET ROS1 TP53

以下を含む 150 超のホットスポット

EGFR:T790M、C797S、
L858R、エキソン 19 del KRAS:G12X、G13X、Q61X

BRAF
:V600E

ALK
:エキソン 21-25

PIK3CA
:E545K、H1047R、E542K

MET

ALK、RET、ROS1

MET エキソン 14 スキッピング

Oncomine Lung cfDNA Assay

DNA

ALK BRAF EGFR ERBB2 KRAS MAP2K1 MET NRAS PIK3CA ROS1 TP53

以下を含む 150 超のホットスポット

EGFR:T790M、C797S、L858R、エキソン 19 del

KRAS:G12X、G13X、Q61X

BRAF
:V600E

ALK
:エキソン 21-25

PIK3CA
:E545K、H1047R、E542K

---

---

---

Oncomine Breast cfDNA Assay v2

DNA

AKT1 CCND1 EGFR ERBB2 ERBB3 ESR1 FBXW7 FGFR1 KRAS PIK3CA SF3B1 TP53

以下を含む 150 超のホットスポット

PIK3CA
:E545K、H1047R

AKT1:E17K

ESR1:抗エストロゲン耐性関連変異 TP53:機能喪失関連変異

ERBB2:抗 ERBB2 療法感受性に関連する変異

CCND1ERBB2、
FGFR1

---

TP53 のカバレッジの拡大

Oncomine Breast cfDNA AssayDNAAKT1 EGFR ERBB2 ERBB3 ESR1 FBXW7 KRAS PIK3CA SF3B1 TP53

以下を含む 150 超のホットスポットPIK3CA:E545K、H1047R AKT1:E17K

ESR1:抗エストロゲン耐性関連変異 TP53:機能喪失関連変異

ERBB2:抗 ERBB2 療法感受性に関連する変異

---------
Oncomine Colon cfDNA AssayDNAAKT1 APC BRAF CTNNB1 EGFR ERBB2 FBXW7 GNAS KRAS MAP2K1 NRAS PIK3CA SMAD4 TP53

以下を含む 240 超のホットスポット

KRAS/NRAS:G12/G13/Q61 BRAF:V600E

PIK3CA:E545K、H1047R

TP53:R175H R273H/C/L

再発性の APC 病的変異(p.R876*、p.R1114*、p.Q1378*、p.R1450*など)SMAD4:R361C/H CTNNB1:S45F、T41A

---------
ホットスポット遺伝子がん抑制遺伝子コピー数変異遺伝子融合遺伝子
AKT1
ALK
AR
ARAF
BRAF
CHEK2
CTNNB1
DDR2
EGFR
ERBB2
ERBB3
ESR1
FGFR1
FGFR2
FGFR3
FGFR4
FLT3
GNA11
GNAQ
GNAS

HRAS
IDH1
IDH2
KIT
KRAS
MAP2K1
MAP2K2
MET
MTOR
NRAS
NTRK1
NTRK3
PDGFRA
PIK3CA
RAF1
RET
ROS1
SF3B1
SMAD4
SMO

APC
FBXW7
PTEN
TP53

CCND1
CCND2
CCND3
CDK4
CDK6
EGFR
ERBB2
FGFR1
FGFR2
FGFR3
MET
MYC

ALK
BRAF
ERG
ETV1
FGFR1
FGFR2
FGFR3
MET
NTRK1
NTRK3
RET
ROS1

  • 1 本の血液チューブ—1 本の血液チューブからの実験を可能とする 2 日間の NGS ワークフロー
  • 有用なコンテンツ—OncoNetwork コンソーシアムや業界の専門家が選択し検証した重要なターゲットが含まれており、あらゆる種類の重要な変異(SNV、挿入欠失、CNV、融合遺伝子)を解析することができる
  • サンプルの許容性—インプット量の柔軟性と変動に対する許容性があるため、幅広い目的のサンプルに適用できる
  • 低い検出限界—SNV ホットスポット変異および挿入/欠失の検出下限値は 0.1%
  • コストの削減—腫瘍タイプ特異的なアンプリコンのカバレッジが均一なため、シーケンシング1ランで多くのサンプルを処理できる
  • 最適化された解析—感度と特異性を高めたバリアントコール

セルフリー核酸量はサンプルごとに異なるため、特に少量の場合をサポートするうえでインプット DNA 量に対する柔軟性は不可欠です。Oncomine cell-free Assay はさまざまなインプット量をサポートすることができます(図 1)。できるだけ多くのサンプルからデータを取得することは、リキッドバイオプシー研究を進めるうえで重要なステップです。

検証試験において、本アッセイでは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルで判定されたバリアントと血漿で判定されたバリアントの高い相関が示されています(表 1)。予想どおり、FFPE 腫瘍サンプルでは、血漿で測定したものと比較して、より高い変異アレル頻度になっており、生殖細胞変異は、FFPE および血漿の両方で約 50%の予測レベルで認められました。 

サンプル

バリアント

FFPE

血漿

1

EGFR-L858R

71.42%

2.62%

2

TP53-R158L

51.89%

4.32%

3

MET-T1010I
KRAS-G12C

43.87%
34.62%

51.57%
0.28%

4

N/A

検出なし

検出なし

5

EGFR-L858R
MET-T1010I
TP53-Y220C

58.44%
41.93%
35.54%

7.28%
48.72%
1.93%

6

TP53-R158L

10.19%

1.26%

表 1.FFPE と一致した血漿サンプルの結果との相関(末期肺がんサンプル)。Oncomine cell-free Assay では、FFPE サンプルで判定されたバリアントと、一致した血漿サンプルで判定されたバリアントとの高い相関が示されています。上記のデータは、Oncomine Lung cfDNA Assayを使用して得られました。太字の値は体細胞変異を示します。太字でない値は生殖細胞変異を示します。

総じて、Oncomine cell-free Assay はより多くのサンプルから結果を得ることができ、臨床研究サンプルを使用した実証例でも、0.1%の検出限界値、感度 90%および特異度 98%を超えるデータが Oncomine cell-free Assay の製品群全体にわたり再現良く得られています。

サンプル

EGFR
E746_A750delELREA

EGFR
L858R

EGFR
T790M

EGFR
V769_D770insASV

KRAS
G12D

NRAS
A59T

NRAS
Q61K

PIK3CA
E545K

0.1% HDX

0.06

0.17

0.06

0.10

0.22

0.17

0.15

0.10

1% HDX

0.72

1.07

0.75

0.74

1.14

1.15

1.15

2.29

5% HDX

4.52

4.86

6.32

3.97

6.34

6.11

6.94

5.29

100% WT

0

0

0

0

0

0

0

0

表 2.Horizon cfDNA Multiplex Reference Set で検出されたバリアント。八つのホットスポット変異は、すべて 0.1% で検出されました。Oncomine Lung cfDNA Assay を使用して得られたデータ。

Ion 530 チップで最大 8 サンプル、または Ion 540 チップで最大 32 サンプルを同時に処理します(Oncomine Lung cfDNA Assay の場合)。Oncomine cell-free Assay は、効率的なマルチプレックスPCRにより、一般的な腫瘍タイプで頻繁に認められる一塩基置換(SNVs)、短い挿入欠失、コピー数変異、融合遺伝子の解析を可能にします。Oncomine cell-free Assay の全製品群にわたり、サンプルインプット量が 1 ng という低いインプット量の場合でも柔軟に対応します。

推奨する Applied Biosystems MagMAX Cell-Free Isolation Kit を使用したセルフリー核酸の単離からサンプルの解析までのワークフロー全体(図 2)は、Ion GeneStudio S5 Prime システムでは、わずか 2 日で完了します。

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調製

  1. セルフリー核酸の単離(MagMAX Cell-Free Isolation Kit)
  2. ライブラリ調製(Oncomine Cell-Free Assay)
  3. テンプレート調製(Ion Chef System)

シーケンス

  1. ハイスループットシーケンシング(Ion GeneStudio S5 シリーズ)

解析

  1. バリアントコーラーによる最適化された解析(Torrent Suite/Ion Reporter Software)
  2. ラベル、ガイドラインおよび国際共同治験(Oncomine Reporter)

Oncomine cell-free Assay は、リキッドバイオプシー臨床研究用にデザインされた完全なワークフローの一部です。

Oncomine cell-free Assay

キットには、ライブラリ構築用の試薬と、全血の血漿画分に含まれるセルフリー核酸からアンプリコンライブラリを調製するためのマルチプレックス PCR 用プライマープールが1本含まれます。

Tag Sequencing Barcode Set 1–24 および 25–48

弊社の機器で最適な性能を発揮するよう特別にデザインされたユニークなバーコードアダプターのセット。このユニークなバーコードアダプターは、Ion GeneStudio S5 シリーズおよび Ion PGM と互換性があります。このセットは、キットと組み合わせて使用すると、最大 24 のアンプリコンライブラリをプールし、マルチプレックスシーケンシング解析を実行できるため、サンプルあたりのシーケンシングコストを削減できます。

Ion GeneStudio S5 シリーズ

Ion GeneStudio S5 シリーズ は 最大 5 種類の半導体チップをサポートしているため、1 台のシーケンサーで複数のアプリケーションを実行できます。この柔軟性により、サンプルをバッチ処理する必要がないため、最適なコスト効率が得られます。必要となるスループットまたはアプリケーションに最適なチップタイプをお選びください。 

詳細をみる

pan-cancer-poster-286x250

ポスター:血漿サンプルで本当に包括的な遺伝子変異評価ができますか?

詳細については、AACR 2019 で発表されたこのポスターをご参照ください。

ダウンロード

** Oncomine Reporter は、バージョン 5.2 以降の Ion Reporter™ ソフトウェアで有効です。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.