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蛍光は光エネルギーによるものです蛍光分子は定義上、ある色(波長)の光を吸収し別の色の光を放出します。この色の差をストークスシフトと呼びます。蛍光顕微鏡で使用されるカメラは、人の目には見えない波長のシグナルも検出できます。 波長、エネルギーと蛍光および蛍光色との関係、スペクトルなど、蛍光を定義する物理的性質についてご覧ください。 |
光子(光を発生するエネルギーのパケット)は粒子および波としてふるまいますが、顕微鏡の光について話をする場合、通常は波長という表現をします。可視光、つまり肉眼で見える光は通常400~700 nmの範囲にあり、虹の全色を含み、400 nm付近の青色に始まり、700 nm付近の赤色で終わります。
図 1. 電磁スペクトル。可視波長およびその対応する色をハイライト表示しています。
蛍光観察の光は、人の目に見える範囲を超えています。一般的な 蛍光顕微鏡 において、発光された光を収集する CCDカメラ は、人間の目よりも検出レンジが広いため、可視外の光を使用しても問題にはなりません。実用的には、細胞生物学用の観察に用いられる波長は通常300~800 nmの範囲にあります。 図 2. 人の目と比較した、CCDカメラの光検出レンジおよび効率。 |
蛍光の特徴とは何でしょうか?蛍光とは、ある物体が、ある波長の光を吸収し、それとは違う波長の光を放出する物理的な性質のことを指します。 ある分子がある波長の光を吸収し、それとは違う波長の光(すなわち蛍光)を発する場合、この分子のことを 蛍光物質と呼びます。通常、蛍光物質が放出する波長は、吸収した光よりも低エネルギーであり、これは簡単に言うと青色の光を吸収して緑色の光を発する、または緑色の光を吸収して赤色光を発する、ということです。 さらに詳しく: "蛍光入門"を見る 図 3. 可視スペクトラムにおける、エネルギーと波長の逆相関。 |
図 4. 簡略化したヤブロンスキー図で、蛍光発光の際に蛍光物質が持つ電子のエネルギー状態が変化する様子を、色の変化に対応させて表しています。 | 蛍光シグナルが生じる仕組み蛍光の仕組みをより深く理解するためには、光を構成するエネルギー・パケットである光子について考察する必要があります。光子が持つエネルギーの大きさによって、光の色、物理的な用語でいうと 波長が決まります。光(または 光子)が蛍光物質に衝突すると、そのエネルギーは蛍光物質の電子に移動します。 電子は 励起状態になりますが、ただちに余剰のエネルギーを失います。このエネルギー損失の結果、光子の 放出 が起こりますが、この光子は元の光子よりも低いエネルギーを持っているため、より長い 波長 であり、異なる色を呈します。この放出された光子が、蛍光観察実験においてデータとして収集するべきシグナルです。 |
ほとんどの蛍光物質は、ある特定の波長を吸収し、他の特定の波長の光を放出するわけではなく、通常ある範囲の波長を吸収および放出します。つまり、観察に蛍光物質を使おうとする時には、その蛍光物質の吸収および発光の全スペクトルについて考えると同時に、最大励起波長および最大蛍光波長についても考えることが役に立ちます。これらの最大値は励起スペクトラムおよび蛍光スペクトラムのピーク値です。
さらに詳しく: "蛍光スペクトラム解体"を見る
図 5. 核染色色素(DAPI)の励起および蛍光スペクトラム。 色素が吸収する一定範囲の波長(励起、紫色で表示)ならびに色素が発する一定範囲の波長(蛍光、青色で表示)を示しています。
ある蛍光物質における最大励起波長と最大蛍光波長間の差をストークスシフトと呼びます。観察に使用する際には、ストークスシフトの大きい蛍光物質のほうが、ストークスシフトの小さい蛍光物質よりもはるかに使いやすいものです。励起および発光の波長間にわずかな差しかない場合、標識されたターゲットが発する蛍光を励起光から切り離して観察するのは非常に困難であり、またバックグラウンド蛍光の問題も生じます。
図 6. 一般的に、最大励起波長と最大蛍光波長の間が離れている蛍光物質は、これらの波長が近い蛍光物質よりも確実に検出することができます。 ストークスシフトの大きい蛍光物質(紫色および青色のピーク)と、ストークスシフトの小さい蛍光物質(オレンジ色および赤色のピーク)を比べてみてください。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.