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落射蛍光顕微鏡における光と分解能サンプルをステージ上に設置し、サンプル、 フィルター、検出器およびカメラに光を透過させることにより、サンプルの可視化および画像の取得が行われます。 ベーシックな光路およびフィルター形状、分解能に影響を与える要素および正立顕微鏡と倒立顕微鏡の違いに関してはこちらから。 |
蛍光観察を行うためには、顕微鏡の作用機構を詳細に知る必要まではありませんが、日々の実験を現実的に考慮すると、99.8%の確率で発生すると考えられるトラブルシューティングのために、作用機構に関する知見が少しは有用となる可能性があるとはいえないでしょうか?蛍光観察に関する問題を解決しようとする際に、恐らく理解しておくことが必要であろうと思われることの一つに、蛍光色素のためのフィルター設定があります。
蛍光観察の大部分は、これらの不可欠な構成要素を含む、蛍光顕微鏡を使用して行われます。
図 1. 二色性ビームスプリッターにより、より長い波長の光がフィルターを通過し、より短い波長の光は反射されます。
下図は、落射蛍光顕微鏡の一般的な光路を示しています。細胞生物学研究に使用される顕微鏡の大部分は、光が対物レンズを通りサンプルを照射し、サンプルから放射された光が同一の対物レンズを通って検出器に戻るように配置されています。
図 2. 倒立顕微鏡および正立顕微鏡はいずれも落射蛍光照射を使用しています:主な違いは、サンプルが設置されるステージに対する対物レンズの位置関係にあります。
照射光と放射光が同一の対物レンズを通るこの配置は、落射蛍光顕微鏡(Epifluorescence microscope)と称されていますが、「epi」 は「同じ」 を意味するギリシャ語に由来します。落射蛍光照射と称する方がより正確ですが、蛍光には照射が含まれることから、大部分の人は蛍光という言い方に照射という意味合いがすでに含まれているものと見なしています。透光蛍光顕微鏡はあまり一般的ではありませんが、サンプルをはさんでステージの反対(トランス)側でシグナルの照射と収集が行われる配置に遭遇する可能性はあります。
図 3. 落射蛍光顕微鏡における光路。 励起および蛍光のいずれもが二色性により制御されていることに注意が必要です。励起光(短波長)をサンプル上に反射させ、生じる蛍光(長波長)はフィルターを通して検出器(ビューアーまたはカメラ)に伝送されます。
蛍光観察において良好な結果を得ようとする場合、拡大 と解像度 の違いを理解することは極めて重要です。拡大は、顕微鏡下で観察した時に対象がどれくらい大きく見えるかを表します(図4)。
対照的に、解像度は画像においてどの程度の詳細を識別することが可能であるかを表し、主観が含まれる可能性があります。より技術的な意味では、解像度は光の屈折性により制限されます。
図 4. 二つの6 μm ビーズに関して、3種類の異なる拡大段階、すなわち、4x、10xおよび40xにおいて画像を取得しました。 | 図 5. 解像度の差を示すために、同じ画像のサイズを一致させました。 |
解像度の限界とは、実際には何を意味しているのでしょうか?解像度の限界は、一般的な落射蛍光照射 顕微鏡では、200 nm以上離れていない二つの物体を、解像または識別することが不可能であるということを意味しています。さらに、サンプル全体が同時に照射されているため、試料中で焦点が合っている部分も焦点が合っていない部分もすべて検出しています。これらの限界は、対物レンズによっては、同一細胞中に2種類の異なる色のプローブが存在しているということは同定で可能であるが、多くの制御、個々の画素解析および計算なしでは異なるプローブ間の空間的関係を解像することは不可能である可能性があるということを意味しています。さらに、深度に関する情報は全く供給されないため、落射蛍光顕微鏡により取得された画像からは、容量に関する明確な結論を導き出すことは不可能です。使用するシステムの限界を理解し、その範囲内でシステムを活用することにより、取得したデータおよび画像に自信を持つことが可能となり、データを完全に理解して結論を下すことが可能となります。
レーザー走査型共焦点顕微鏡は、複合光学系顕微鏡を必要としますが、より高い解像度が得られます。解像度の向上は、励起範囲を約2~3 nmに狭めることが可能な、レーザーを使用した照射に由来します。この励起範囲は、励起フィルターを使用して得られる波長範囲よりも約10倍狭くなっています。さらに、単一の焦点面から画像を取得できる能力も、実験中に生成する散乱および焦点の合っていない光が除去されることから、解像度の向上につながっています。単一の焦点面への制限は、焦点の合っていない光を、検出器に到達する前に、ピンホールを使用して遮断することにより達成され、任意のセクショニングと称されています。ピンホールは、サンプル中の非常に狭い領域のみからの光を透過させ、深度に関する情報が提供されます。これは、細胞中の多くの焦点面からの光を収集する、落射蛍光を使用して得られる解像度を改善するものです。さらに高い解像度を求める研究者には、他の方法もありますが、それらはしばしばより特異的で、着手するためにはより高度な技術的知識が必要とされます。
図6. 光学顕微鏡および電子顕微鏡の範囲内の、代表的な対物レンズを搭載した、様々な顕微鏡の解像力。
顕微鏡に関して、正立 または倒立という表現を耳にすることがあります。これらの表現は、対物レンズや光源などいくつかの成分の位置を指しています。正立顕微鏡では、対物レンズがサンプルを設置するためのステージの上部に位置しており、倒立顕微鏡では、対物レンズはサンプルを設置するためのステージの下部に位置しています。
様々な光路に沿って光を生成させチャネルする能力に関して、正立顕微鏡と倒立顕微鏡間に基本的な差はありません。達成することが可能な画像の品質は、顕微鏡上の成分の位置よりも、サンプル調製、レンズ、光源と波長、蛍光色素フィルターセットおよびカメラにより大きく依存しています。いくつかの実験においては、実験目的を達成するために特定の方向性が必要とされる場合がありますので、これまで使用した経験の無い顕微鏡にも注目し、実験のステップを実際に検証し、ご自身の実験に使用可能であることを確認することは有用です。
図 7. 黄色線は明視野照明用の光路の配置を表しています。 照射光は対物レンズを通らず、サンプルからの透過光のみが対物レンズを通過します。 青色線は、フィルターキューブおよび対物レンズを通してサンプルに到達する励起光の光路を示しており、発生する放射光(緑色で示してあります)が同時に、対物レンズおよびフィルターキューブを通して検出器に到達しています。 落射蛍光顕微鏡においては、励起光および放射光はいずれも同一の対物レンズを通して伝送されます。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.