実験を開始する前に、細胞の維持方法を決定してください。

細胞観察用には、非常に多くの培養および観察用チャンバーが入手可能ですが、適切なチャンバーの選択には、開始前に実験計画を十分に立てることが必要です。複数処理を行いますか?細胞には、特別な温度、大気または光条件が必要ですか?どのような形状の顕微鏡を使用しますか?

以下に示す情報は、細胞が常に、必要な画像を取得することを可能とする容器内で培養され維持されるようにするために必要な計画の立案を理解するために役立ちます。

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使用可能な容器の種類

細胞観察を行うことが可能な容器にはいくつかの種類があります。いずれの容器を選択するかは、実験の種類および顕微鏡の性能により異なります。

ガラス底容器

 

マルチウェルプレート

 

フラスコ

glass slides with coverslip glass-bottom multi-well plates flasks


容器ホルダーおよびアダプター

    
vessel holder vessel holder vessel holder


容器選択の考慮点

使用する容器の種類は、顕微鏡の形状にも依存します。ここには考慮するべき形状のいくつかを示してあります。

ご使用になるのは倒立顕微鏡ですかそれとも正立顕微鏡ですか?

顕微鏡に使用できる容器の種類は、一部には対物レンズがステージの下(倒立顕微鏡)に位置するかまたは上(正立顕微鏡)に位置するかにより異なります(図1)。

正立顕微鏡は、ガラスのカバースリップ上のサンプルの観察に適しています。これは、対物レンズを、サンプルが含まれるカバースリップに十分に近付けることができるためです。しかし、正立顕微鏡は培養皿およびフラスコには最適ではありません。これらの容器内では、観察を行いたい細胞は培養皿の底部に存在し、上部に設置された対物レンズでは、対物レンズと試料の間に存在するすべての空気を通して観察を行わなくてはなりません。大部分の対物レンズは、この方法で良好な結果を与えることはできません。

図 1. 顕微鏡の対物レンズの、サンプルステージに対する位置により、蛍光観察において最適な容器の種類が決定されます。

 The position of your microscope’s objective relative to the sample stage will determine which kinds of vessels will work the best for your imaging experiment.

 

容器は顕微鏡のステージに正しく設置可能ですか?

いくつかのステージは、特定の種類の容器を正しく設置するためにアダプターを必要とします。ご使用になる顕微鏡が、蛍光観察を行う間、容器を保持するために必要な、形状、ホルダーまたはアダプターアクセサリーを有しているかどうか十分に確認してください。

 

ご使用になる対物レンズはどのような種類ですか?

サンプルが保持されている容器に適合した撮影距離を有する対物レンズ を使用することが必要です(図2)。

実験デザインについて考慮するべき点はありますか?

実験デザインにより、使用可能な容器の種類が制限される場合があります。ここにいくつかの例を示してあります。

  • 培地内で成長している細胞を、細胞操作を行わずに観察したい場合には、フラスコまたは培養皿内で蛍光観察を行うことを可能とする形状の顕微鏡が必要です(例えば、撮影距離の長い対物レンズを備えた倒立顕微鏡など)。
  • プラスチック容器は便利であり、細胞培養において広く利用されていますが、プラスチックは蛍光性である可能性があります。プラスチックの蛍光性が実験の支障となる場合には、細胞をガラス底の容器またはガラスのカバースリップ上で培養することを検討することも可能です。 
  • 細胞を染色後に保存するために封入剤を使用したい場合には、細胞がカバースリップ上で培養されていると操作が最も容易となります。
  • 複数の条件を検討する実験を行っている場合には、マルチウェルのプレート中で実験を設置することにより、単一のプレート上ですべての条件を容易に比較することが可能となります。
図 2. 正立顕微鏡は、通常ガラスのカバースリップまたはスライド上の試料に最適です。
 Upright microscopes generally work best with samples that are on glass coverslips or slides. 
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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.