膜電位の増加および減少は、神経インパルス伝達、筋収縮および細胞シグナル伝達など多くの生理的プロセスにおいて中心的な役割を担っています。電位差測定プローブは、こうしたプロセスを研究するための重要なツールであり、一般的に低速または高速反応プローブとして特徴づけられています。

膜電位プローブを選択する

 

周囲の電場に応じて構造を変える分子は、高速反応プローブとして機能し、一過性の(ミリ秒)電位変化を検出することができます。低速反応色素は、脱分極した細胞内に入ってタンパク質または膜に結合することで機能します。

脱分極の増大がさらなる色素流入と蛍光の増加をもたらす一方で、過分極は蛍光の減少によって示されます。通常、高速反応プローブは正常な心臓組織の電気的活動のイメージング、または薬理学的刺激に反応した膜電位変化の測定に使用されています。低速反応プローブは、ミトコンドリア機能および細胞生存率を調べる目的でしばしば使用されています。

アポトーシス検出用ミトコンドリア膜電位インジゲーター。

アポトーシスの早期における顕著な特徴は、膜および酸化還元電位の変化を含むミトコンドリアの破壊です。弊社は、ミトコンドリア膜電位をアッセイするため専用にデザインされた様々なMolecular Probes®製品をご用意しています。

フローサイトメトリー用のミトコンドリア膜電位検出試薬

イメージング用のミトコンドリア電位検出試薬

原形質膜電位インジケーター

ヒトHEK 293細胞にFluoVolt™膜電位色素をロードしました。  細胞は10ミリ秒照明パルスでイメージングされ、2Xビニングで画像を得ました。 細胞を、(A) 2秒間隔で-100 mVから+30 mVまで、または (B) 単一ステップでの2秒間隔で-80 mVから0 mVまで脱分極するにつれて、トレースは蛍光発生反応を示します。

分化したNG-108細胞にFluoVolt™膜電位色素をロードしました。  細胞は10ミリ秒照明パルスでイメージングされ、2Xビニングで画像を得ました。 選択した細胞が(A)培養液中で自発的に脱分極して再分極するにつれて、選択した3つのトレースは、(B)色素からの蛍光発生反応を示します。

FluoVolt™膜電位色素

FluoVolt™膜電位色素は、優れた電位依存的な蛍光反応を起こす高速反応プローブです。反応が十分に速いため、興奮細胞の一過性(ミリ秒)の電位変化が検出され、プローブは100 mVあたり25%を超えるシグナル変化をもたらします。FluoVolt™膜電位色素は、正常な心臓組織の電気的活動のイメージング、 ニューロンや筋肉繊維に沿った膜電位のマッピング、または薬理学的刺激に反応した膜電位変化の測定に使用されています。

 

従来の高速反応プローブ

ANEP色素は、環境の電位変化に応じて蛍光を発します。これらは、周囲の電場の変化に応じた電子構造変化により蛍光特性を変える高速反応プローブです。反応が十分に速いため、単一ニューロン、心臓細胞および正常な脳を含む興奮細胞の一過性(ミリ秒)の電位変化を検出することができます。しかし、これら色素の電位依存的な蛍光変化の程度は、多くの場合小さいものです(100 mVあたり2~10%の蛍光変化)。

 

低速反応プローブ

低速反応の電位感受性プローブである DiBAC4(3)は、脱分極された細胞に入った後、細胞内タンパク質または膜に結合して、強い蛍光と赤色スペクトルシフトを示します。脱分極の増大は、陰イオン性色素のさらなる流入と、および蛍光の増加をもたらします。その反対に、過分極は蛍光の減少によって示されます。このBis-oxonalは、490 nmの最大励起波長と516 nmの最大蛍光波長を有します。DiBAC色素は、その全体の負電荷が原因となりミトコンドリアから排除されるため、原形質膜電位の測定ではカルボシアニンよりも優れています。

   

膜電位インジケーターの選択ガイド

 FluoVolt™膜電位色素di-3-ANEPPDHQBis-(1,3-Dibutylbarbituric Acid)Trimethine Oxonol (DiBAC4(3))  電圧センサープローブセット、DiSBAC2(3)およびCC2-DMPE
反応タイプ高速反応高速反応低速反応低速反応
リードアウト脱分極に伴い蛍光が増加2つの励起波長:レシオメトリックリードアウト脱分極に伴い蛍光が増加2つの蛍光放射波長:レシオメトリックリードアウト
測定レンジ100 mVあたり25%100 mVあたり2~10%1 mVあたり1%1 mVあたり1%
反応時間1ミリ秒以下1ミリ秒以下20 ms500 ms
標準フィルターセットFITCFITC/Cy®5FITCFITC/Cy®5
励起/蛍光 (nm)490/505 465/635 490/516 490/516
文献引用文献引用文献引用文献引用文献
プラットフォームイメージングイメージングイメージング、マイクロプレートマイクロプレート
使用上の注意
より高いS/N比の明るいシグナルにより、反応が1ミリ秒以下のより速いサンプリング速度が実現しますシグナル強度が低い場合、適切なS/N比を達成するためにはより低速なサンプリングレートが必要となりますDiBAC色素は、ミトコンドリアから排除されるため、原形質膜電位の測定に理想的ですハイスループット用に最適化されたFRETベースのアッセイ
フォーマット1キット1 mg25 mg1 mg
カタログ 番号D36801B438K1046
研究目的にのみ使用できます。 診断にはご使用になれません。