HEPES

HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)は双性イオンの有機化学緩衝剤で、1966年のNorman Good博士と彼の同僚の記述(Good et. al., Biochemistry 1966) の中で、一連のバッファーに由来する「Good」」bufferのひとつとして分類されています。

HEPESなど「Good buffers」には以下の特性があります:

  • 6.0~8.0のpKa値
  • 高い溶解度
  • 膜不透過性
  • 生化学反応への影響が限定的
  • 可視光および紫外線の吸光度が非常に少ない
  • 化学的、酵素的に安定
  • 調製が容易。

HEPESは、多くの生化学的反応において、また一部の細胞培養培地の緩衝剤として広く使用されます。

細胞培養におけるHEPESの使用

培地によく使用される緩衝系は、炭酸水素塩です。生理的pHで緩衝能力が減少するものの、栄養面での恩恵があるからです。HEPESを添加することで、pH7.2~7.6の細胞培養培地への補足的バッファーとなります。

細胞培養培地におけるHEPESのレベルは、10mMから25mMで変動します。GIBCO® DMEMでは、 濃度は25mMです。GIBCO® DMEM /F-12では、濃度は15mMです。最もよく使用される濃度は、 25mMです。

HEPESは、細胞への栄養はありません。CO2インキュベーターの外で長時間、細胞培養しなければならない場合、追加の緩衝能力として培地に添加します。