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低分子研究を見直し、取得する関連データを最大化することで、複雑な課題に対する信頼性の高い答えを見つけるための貴重な知見が得られます。Thermo Scientific AcquireXデータ取得ワークフローは、個別の試験を自動化された単一のワークフローに統合してインテリジェンス主導型質量分析を拡張することで、リアルタイムでの選択的LC-MSnデータ取得を強化し、効率的かつ包括的なサンプルと試験の特性評価を実現します。5種類のルーチンを用いるAcquireXデータ取得ワークフローは、包括的な構造アノテーションからスクリーニングにいたるまで、あらゆる低分子アプリケーションの生産性を向上させます。
これまでにない速さでより有益なデータを取得できるデータ取得ツールの最新の進歩について、詳しくご説明します。
データ量が増えるだけでなく、より有益なデータを収集 | すべてがそろった全自動のデータ取得ツール | より高い生産性と信頼性で同定が可能 | 化合物同定と構造特定の信頼性を最大化 |
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通常のLC-MSnワークフローでは、スペクトルの品質、特異性、カバレッジのいずれかを妥協しなければなりません。これからは、こうした要素に左右されることなく、サンプル中のすべての化合物について高品質のMSnスペクトルデータを自動的に取得できます。 | マニュアルでのデータ収集を排除して、エクスクルージョン対象とするバックグラウンドイオンの特定や、インクルージョンリストの作成を行えます。包括的なバックグラウンドのエクスクルージョンリストおよびサンプル化合物のインクルージョンリストの作成が自動化されることで、対象化合物のカバレッジ拡張が簡単に行えます。 | AcquireXワークフローの複数の取得モードは、サンプル取得の管理、エクスクルージョンないしエクスクルージョン/インクルージョンリストの作成、そしてサンプル固有のエクスクルージョンないしインクルージョンリストを用いたdata-dependent acquisition(DDA)メソッドの変更により、研究全体にわたる試験の接続性を拡張します。 | AcquireXによるdata-dependent acquisition(DDA)を用いれば、従来のDDAと比較して、詳細なフラグメンテーションスペクトルが得られる化合物の数と、スペクトル合致の信頼性の両方を向上させることができます。各種の強力なデータ処理機能によってサンプルをより深く分析し、結果の信頼性を高めることが可能です。 |
低分子の同定と構造決定における複雑なサンプルの包括的なLC-MS分析では、手間のかかる手動でのデータ解析や、複雑な機器のセットアップ、メソッドの調整などの負担がボトルネックとなる場合があります。
低分子サンプルの特性評価を成功させるには、関連するすべての化合物の包括的な正確かつ高感度の検出が必要であり、そのためにはインテリジェンス主導のデータ取得ワークフローと包括的なデータ分析ツールを使用するのが理想的です。こうしたワークフローはまた、試験の効率と有効性を維持しながら、低分子研究における幅広い市場ニーズに対応可能な柔軟性を備えている必要もあります。
data-independent acquisition(DIA)などの取得技術でも化合物ごとのフラグメント生成は可能ですが、複数の成分のフラグメントがオーバーラップする可能性は排除できないため(特に複雑なマトリックスを含むサンプルの場合)、仮に複雑なデータデコンボリューションアルゴリズムを用いたとしても、特定のフラグメントイオンが特定のプリカーサーに関連しているか断定することはできません。これと対照的にdata-dependent acquisition(DDA)では、得られた各フラグメントを特定のプリカーサーに確実に関連付けることができ、実際に得られるMS/MSスペクトルにはプリカーサーのフラグメントのみが含まれます。ただし、関連化合物を確実にカバーするには、エクスクルージョンとインクルージョンリストのマニュアル作成という、非常に手間と時間のかかる作業が必要となる場合もあります。
しかし、取得データの増加は、得られるメリットの一部にすぎません。AcquireXデータ収集ワークフローと他の各種ツールを組み合わせることにより、MS/MSスペクトルを持たない化合物の数を劇的に削減し、信頼性の高い同定や推定的同定ランク付けがなされた化合物の数を大幅に増加させることができます。Thermo Scientific Compound Discovererソフトウエアを各種のスペクトルライブラリ(Thermo Scientific mzCloudマススペクトルフラグメンテーションライブラリなど)、化合物データベース、およびランキングツール(Thermo Scientific mzLogicアルゴリズム)と併用し、広範なスペクトルライブラリのフラグメンテーション情報や構造データベースを組み合わせて利用することで、未知化合物の推定的同定を支援し、より多くの化合物をより短時間で確実に同定することができます。
事前定義された一連のテンプレートがアプリケーションごと、および各MSごとに配置されているので、クリックして選択するか、あるいはドラッグアンドドロップ操作によりカスタマイズして、独自の機能をすばやく構築できます。
どのデータ取得方法を選択しても、メソッドのセットアップを迅速かつ簡単に行えるうえ、サンプルのプロファイリング、同定および特性評価のための高度なワークフローも使用できます。
AcquireXデータ取得ワークフローはインテリジェンス主導型質量分析を強化することで、どのようなプリカーサーであればMS/MSやMSn(MS2、MS3、MS4)での探索(用いる質量分析計に依存)を改善できるか、どのようにプリカーサーをフラグメント化して構造を診断できるプロダクトイオンを生成させるべきか、研究評価の有効性を高めるためにどの試験とどの試験を接続するべきかを、リアルタイムでより適切に判定できるようにします。
4つのデータ取得ワークフローにより、各試験目的に対応する柔軟性を高め、ノンターゲット型低分子サンプルのMSn分析の成功を確実なものとします。AcquireXデータ取得ワークフローでは、選択された特定のワークフロー(下表を参照)に応じて、次のような自動化が行えます。
バックグラウンドエクスクルージョン | バックグラウンドエクスクルージョンおよびコンポーネントインクルージョン | 反復的なプリカーサーイオンのエクスクルージョン | Deep Scan | Advanced Deep Scan | |
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試験に特化したエクスクルージョンリストの作成 | |||||
サンプルに特化したインクルージョンリストの作成 | |||||
反復的なサンプル分析 | |||||
動的なエクスクルージョンリスト管理 | |||||
単一試験における複数サンプルの自動分析 | |||||
装置のメソッドテンプレートの活用 |
AcquireXのバックグラウンドエクスクルージョンのワークフローを使用すると、バックグラウンドマトリックスイオンの不要なデータ取得を避け、単一サンプル内ないしサンプルバッチ全体において、サンプル固有のプリカーサーを優先的に取得することができます。包括的なバックグラウンドエクスクルージョンを組み込むことにより、クロマトグラフィーのピーク幅内に低レベルで存在するプリカーサーの選択確率が向上します。DDAメソッドは、ユーザーの指定したサイクルタイム内でHRAM MSおよびタンデムMSデータを取得することを基本としています。このサイクルタイムは、正確なプロファイリングに十分なDDAサイクルが取得されるよう、クロマトグラフィーのピーク幅に基づいて決定されます。これにより、HRAM MS取得に用いる時間と、その後のMSnスペクトルの優先取得に用いる時間とのバランスが調整されます。
AcquireXのバックグラウンドエクスクルージョンのワークフローと同様、バックグラウンドエクスクルージョンおよびコンポーネントインクルージョンのワークフローでは、代表的なブランクまたはマトリックスサンプルで取得されるHRAM MSデータに基づいてエクスクルージョンリストを作成しますが、ここでは各サンプルまたは特定のプールされた代表的サンプルのインクルージョンリストも作成します。
バックグラウンドエクスクルージョンおよびコンポーネントインクルージョンのワークフローでは、強化されたインテリジェンスを活用することで、タンデムMSデータを取得するための優先イオン([M+H]+付加物など)の選択が可能です。リアルタイムでのMS分析は[M+H]+イオンと[M+Na]+イオンの両方を識別でき、イオンの測定強度にかかわらず付加物フラグメンテーションをバイパスします。こうした特定化合物に属するプリカーサーの識別とグループ化は、インテリジェントな選択性と試験の効率をより一段と向上させ、高品質なフラグメンテーションスペクトルを持つ化合物サンプルのカバレッジを増加させます。
バックグラウンドエクスクルージョンのワークフローにおいて、反復的なプリカーサーワークフローでのエクスクルージョンリスト作成は、代表的なブランクサンプルのHRAM MS分析に基づいて行われます。サンプルのAcquireX-DDA分析が実行されると、選択されたプリカーサーイオンに基づいてエクスクルージョンリストが自動的に更新されます。継続的に更新されるエクスクルージョンリストを基に、追加の反復サンプル分析を実行することができます。このプロセスは、ユーザーが指定した回数の反復注入が終了するか、分析対象のプリカーサーイオンが存在しなくなるまで繰り返されます。
Deep Scan ワークフローでは、反復的なサンプル分析、およびエクスクルージョンリストとインクルージョンリストの自動作成が行われますが、これらのインクルージョンおよびエクスクルージョンリストは、各反復注入の間に動的に変更されます。Deep Scan AcquireXワークフローには、リアルタイムでリストを比較して、重複するプリカーサーm/z値を処理する機能も備わっています。プリカーサーイオンのタンデムMS取得の必要性は、マトリックスブランクとサンプルの間の相対的イオン強度差に基づいて判断されます。サンプル内のプリカーサーイオン強度がユーザーの指定したパラメータより大きい場合、タンデムMSの取得が実施されます。
すべての化合物の包括的なMSnデータが得られたら、次はそれらの同定を行う必要があります。
世界最大級のマススペクトルフラグメンテーションライブラリであるmzCloudと他のオンラインデータベースおよびmzLogicデータ分析アルゴリズムの未知化合物同定能力を組み合わせることにより、より確実に未知化合物の構造を特定できます。
Compound DiscovererソフトウエアおよびThermo Scientific Mass Frontierソフトウエアの両方を使用することで、データを最大限に活用し、データベースに完全に一致するスペクトルがない場合でも、未知化合物の同定を自動的に行えます。
通常、多くの化合物において、mzCloudなどの質量スペクトルライブラリを用いて高い信頼性での構造特定をするにはMS/MSデータの取得だけで十分ですが、特定の試験や化合物クラスにおいては、構造異性体などを区別する際にさらに高いレベルのMSnフラグメンテーションが必要になる場合があります。
以下の例において、構造異性体である2つのフラボノイドは、MS/MS結果が同じであるため、明確な識別はできません。しかし、AcquireXデータ取得ワークフローでは、ニュートラルロスMS3を自動的に開始して2つの異なるフラグメンテーションスペクトルを取得することにより、2つの異性体を正しく識別できます。
Thermo Scientific Orbitrap IQ-X Tribrid質量分析計 | Thermo Scientific Orbitrap Exploris 480質量分析計 | Thermo Scientific Orbitrap Exploris 240質量分析計 | |
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質量精度 | < 3 ppm RMS(外標準法) < 1 ppm RMS(内標準法) | ||
分解能 | m/z 200で最大500,000 FWHM m/z 200で最大1,000,000 FWHM(オプション) | m/z 200で最大480,000 FWHM | m/z 200で最大240,000 FWHM |
MS/MS | あり | ||
MSn | あり、n = 1~10 | なし | |
フラグメンテーション | CIDおよびHCD UVPD(オプション) | HCD | |
スキャン速度 | Orbitrap MSnでは最大40 Hz イオントラップMSnでは最大45 Hz | Orbitrap MS/MSでは最大40 Hz | Orbitrap MS/MSでは最大22 Hz |
Orbitrap IQ-X Tribrid質量分析計スペックシート | Orbitrap Exploris 480質量分析計スペックシート | Orbitrap Exploris 240質量分析計スペックシート |
Mass Frontierソフトウエアのアップグレードについて:
このWebセミナーでは、最適化された質量分析計によるノンターゲット低分子解析への基本的な新アプローチ、強力で新しいデータ取得戦略、および高品質のOrbitrap質量スペクトルからより多くの確かな低分子構造を解釈するための新しいソフトウエアツールについて紹介します。
新しいIQ-X Tribrid質量分析計の内部をご覧ください。