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色素および染料は、生物サンプル中の構造やプロセスを検出・視覚化するために、長い間用いられてきました。蛍光分子は優れた感度と選択性で検出できるため、今日、多くの色素や染料に蛍光成分が含まれています。 このセクションでは、蛍光プロセスの基本的な説明と、蛍光について更に学習する時に目にする重要な用語の定義を紹介します。
一部の分子は光エネルギーの吸収を介してより高いエネルギー状態に励起することができ、これを励起状態と呼びます。励起状態のエネルギーは長い時間持続できず、「減衰」または減少し、結果、光エネルギーを放出します。このプロセスを蛍光と呼びます。「蛍光を発する」とは、このプロセスを介して光を放出することです。蛍光色素分子は、蛍光を発することができる分子です。蛍光分子の例として、Invitrogen™ Alexa Fluor™ 色素、DAPIまたはInvitrogen™ MitoTracker™ Redのような構造的染色、および緑色蛍光タンパク質があります。
基底状態の蛍光色素分子は、比較的低エネルギーで、安定した構造をしており、蛍光を発しません。外部光源からの光が蛍光色素分子に当たると、その分子は光エネルギーを吸収します。吸収されたエネルギーが十分であれば、分子は励起状態と呼ばれる高エネルギー状態に達します。このプロセスは「励起」として知られています。
蛍光における励起状態。 (A) 外部光源から放出された光は、分子に吸収され励起状態(B)に到達します。
外部光源の波長やエネルギーにより、蛍光色素分子が達することができる励起状態やエネルギーレベルがいくつかあります。蛍光色素分子は高エネルギー構造では不安定なため、最終的に半安定的な最低エネルギーの励起状態になります。蛍光色素分子が励起状態にある時間の長さを励起寿命と呼び、10-15秒~10-9 秒の非常に短い時間しか持続しません。
蛍光色素分子の励起寿命の略図。
次に、蛍光色素分子は半安定励起状態から基底状態に戻って再配列され、過剰エネルギーが放出され、光として放射されます。放出された光は、吸収された光よりも低エネルギーであるため、より長い波長をしています。これは、放出される光の色が吸収された光の色と異なることを意味します。光の放出により、蛍光色素分子は基底状態に戻ります。蛍光色素分子は再び光エネルギーを吸収し、全プロセスを繰り返します。
蛍光発光 (A)し、基底状態に戻ります (B)。
周期的な蛍光プロセスのまとめ:
ステップ1.光エネルギーの吸収による蛍光色素分子の励起。
ステップ2.エネルギー損失を伴う短い励起寿命。
ステップ3.光を放出し、蛍光色素分子は基底状態へ戻る。
放出される光エネルギーは、吸収される光エネルギーよりも常に長い波長です。ステップ2に示すように、エネルギーが短い励起寿命中に失われるためです。
蛍光プロセスのまとめ。(A)Jablonski図による、蛍光プロセス中の蛍光色素分子の電子遷移。(B) 3つのステップの蛍光プロセス。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.