アクチン染色により、細胞の形および構造が示されます。

アクチンは細胞内で最も存在量の多いタンパク質の一つであり、アクチンフィラメントは、ファロイジンと称される、天然に存在するタンパク質の蛍光標識体により容易に標識することが可能です。

標識したファロイジンに関する情報、およびその他の標識ターゲットに関する情報を提供するためのイメージング研究における標識ファロイジンの使用に関してはこちらから。

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Fアクチンの蛍光染色 プロトコールはこちらから。


固定化細胞および透過処理された細胞における、アクチンマイクロフィラメント標識

すべての真核細胞中に見出されるアクチンは、モノマーおよびポリマーとして存在し、多くの異なる三次構造が見つけ出されています。アクチンは、細胞骨格構造の維持、細胞運動性、細胞の連結、筋肉収縮および細胞シグナリングにおいて様々な役割を果たしています。このように幅広い役割を担っていることから、アクチンが細胞内で最も存在量の多いタンパク質の一つであることは当然のことと考えられます。アクチンは、そのモノマーにより、Fアクチンと称される一種のマイクロフィラメントが形成されると、蛍光色素により極めて容易に標識することが可能となります。タマゴテングダケから単離される分子であるファロイジンは、Fアクチンマイクロフィラメントに非常に強固かつ特異的に結合し、アクチンに対する他の多くの一次抗体とは異なり、マイクロフィラメント以外の形状のアクチンには結合しません。ファロイジンに蛍光色素をコンジュゲートさせることにより、細胞研究に蛍光顕微鏡を使用する細胞学者にとって非常に有用なツールが提供されます。Fアクチンを標識することにより、細胞の全体的形状および構造が示され、その他の蛍光ラベルに関する情報が提供されます。

図 1. 蛍光色素にコンジュゲートしたファロイジンの空間充填モデル。

 Space filling model of phalloidin conjugated to a fluorophore.


アクチン染色のためのファロイジンコンジュゲート

蛍光色素にコンジュゲートしたファロイジンによるアクチン染色は、蛍光免疫標識プロトコールに容易に追加することが可能です。免疫標識は、アクチン染色前あるいはアクチン染色後のいずれにおいても行うことが可能です。

After fixing, permeabilizing, and blocking, BPAE cells were labeled with ActinRed™ reagent (TRITC-conjugated phalloidin that labels F-actin), and nuclei were labeled with NucBlue™ Fixed reagent (a form of DAPI). 図 2. 固定化、透過処理およびブロッキングの後、BPAE 細胞をActinRed™ 試薬(Fアクチン標識用にTRITCコンジュゲートしたファロイジン)で標識し、核をNucBlue™ Fixed 試薬(DAPIの一種)で標識しました。
トラブルシューティング
蛍光色素を初めて使用する場合には、先ず使用する細胞に対して様々な濃度での試験を行うことが有用です。これにより、使用する細胞に関して、実際の実験条件下における最良の濃度を決定することができます。一般的には、シグナルとバックグラウンドの比が最良となるように、最低の バックグラウンド を与える、最高の標識アクチン濃度を使用することが最適です。

ファロイジンをコンジュゲートしたFアクチンの可視化に問題がある場合には、サンプルの 固定時間の至適化を試みてください。固定時間を5~10 分間延長することにより、ラベリングが改善される可能性があります。

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.