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蛍光タンパク質は、特に生細胞イメージングに役立ちます。自然界で最初に見つかった蛍光タンパク質を修飾することにより、研究者は特に生細胞イメージング実験に役立つ多種多様なイメージングツールのセットを創出してきました。 イメージング実験、FP融合タンパク質のデザイン、およびデザインしたタンパク質を細胞に導入するにあたり、最良の蛍光タンパク質を選択するコツをつかんでください。 |
自然の蛍光性タンパク質を生成する生物も存在するため、研究者はこれらのタンパク質を蛍光顕微鏡観察のツールとして用いる技術を開発しました。こうしたFPは、特に生細胞イメージングに役立つため、経時的顕微鏡動画撮影を実施して細胞の中でターゲットがどのように機能しているかを見ることもできます。FP遺伝子をターゲット遺伝子に融合させることにより、FPは蛋白質マーカーとして取り込まれます。その後、宿主細胞は、永久的に取り付けられた蛍光マーカーを有するターゲットタンパク質を産生します。そのため、蛍光色素をサンプルに添加する必要がありません。細胞生物学のツールとしての有用性が明示された最初の蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)でした。もともと、GFPは太平洋北西部に生息するクラゲであるオワンクラゲ(Aequorea victoria)から、1960年代および1970年代に単離されましたが、1990年代に完全な遺伝子配列が決定されるまでは微生物学のツールとしてあまり広く使用されませんでした。 |
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FPは、今ではウミシイタケ、サンゴおよびイソギンチャクなど他の海生物からも単離されています。GFPと比べると、これらFPの多くは、赤色発光、または発光状態が緑色から赤色に移り変わる光変換など比類ない特性があります。
恋するオワンクラゲ(Crystal Jelly), 写真:Nadine Schaeffer/CC | GFP変種
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アカサンゴ、 写真:Nomore3Xfive/CC | オワンクラゲ(Aequorea victoria)以外の生物から得られたFP
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蛍光観察で用いるFP融合タンパク質の創出を検討する場合、GFPまたは特に本来のオワンクラゲ(Aequorea victoria) GFPの改良型GFPまたはEGFPと呼ばれる改変体は最良の選択肢です。これは単量体であり、明るく、正常に機能し、非侵襲的で実質的に破壊できません。EGFPは、実証済みであるので、生物やアプリケーションを問わず最善の策です。
一方、赤色チャネルで観察する必要があるならば、mCherryが最良の選択です。多くの赤色FPが文献に記載されていますが、mCherryに比べていずれも論文数は少なく、Texas Red® フィルターキューブによりマッチした発光スペクトルを有しています。
Venusは、非常に明るい、単量体の黄色のFPですが、標準的な顕微鏡フィルターセットとあまりマッチしていないため、Venusを使用する場合は、シグナルを捕えるのに苦労します。スペクトルの青端は非常に魅力的ですが、率直に言って、極めて大量のターゲットをもっていない限り、こうした青色FPに由来するシグナルはEGFPまたはmCherryよりも非常に暗いため、ほとんどの青色FPは、使用を避けることになるでしょう。
目的の遺伝子をDNA配列の3'末端側、またはFP融合タンパク質のC末端側に配置するのが最良です。構造解析およびトランケーション解析により、GFPのN末端はトランケーションを非常に受けやすいのに対し、C末端はそれほど受けないことが示されています。ほとんどのFP、および確かにこれらオワンクラゲ(Aequorea victoria)由来のGFPには、「柔軟性のある」C末端があります。このことは、5'末端側またはN末端側の融合に起因して起こりうる立体障害の払拭に利用可能な自由度がより多くあることを意味します。したがって、最も首尾よく発現させるために、FPのC末端側に目的の遺伝子を配置します。
図 2. 目的の遺伝子の最適な配置は、蛍光タンパク質遺伝子のC末端側です。
次に、構造体を細胞に導入する最良の方法を選択する必要があります。脂質トランスフェクションまたはウイルス形質導入は、広く使用されている手法です。 蛍光融合タンパク質の一般的なアプリケーション
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トラブルシューティング
GFP含有細胞の固定
一般に4%パラホルムアルデヒド(PFA)を用いて細胞を15分間固定します。PBSで数回洗浄した後、ブロッキング/透過処理ステップに進みます。しかし、本当のコツは、PFA溶液のpHを調整してpH 7.4にすることです。総じて蛍光タンパク質とほとんどのGFP変種は、約pH 6.0以下で蛍光を失います。固定・透過処理&ブロッキングのプロトコールを参照。
GFP融合タンパク質に由来する弱いシグナルの詳細な調査および同定
ついに構造体を細胞に導入したのに、GFP発現がほとんどまたはまったくみられない結果に終わるほど落胆することはありません。発現量が低くなった理由としては、宿主との適合性に乏しいプロモーター、GFPの折りたたみによる融合タンパク質の立体障害、小胞体中で終わる運命にある多量体サブユニットの発現、またはクローニングエラーなどが挙げられます。いずれにせよ、あきらめてはいけません。
弱い蛍光がみられた場合は、試しに抗GFP抗体を用いて現在のシグナルを増幅させます。もちろん、サンプルを固定して抗体を使用する必要がおそらくあるでしょうが、例えば近赤外蛍光を有する二次抗体を選択することで、GFPの色を変えることもできます。
GFP構造体からのサインがまったくみられないなら、抗GFPまたは抗ターゲット抗体を用いてウエスタンブロットを実施することで実験を開始します。このことは、元に戻って配列を確認し、多分サブクローニングステップをやり直す、タンパク質が速やかに分解されるのかどうかを確認する、または、よくあることですが、不適切に折りたたまれているどうかを確認する、といった必要があるかどうかを決めるに役立ちます。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.