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生細胞イメージング動的イメージング実験における生細胞染色の簡単な手順をご確認ください。 |
生細胞の蛍光イメージングの用途としては、細胞の動的プロセスを観察し、細胞の生体分子や構造の経時的追跡に利用することができます。生細胞蛍光イメージングは、細胞としての機能が維持された、自然な状態での細胞の検査を可能にします。これにより、細胞骨格の再構成、アポトーシス、細胞移動、エンドサイトーシス、食作用、オルガネラダイナミクスなど、さまざまな細胞プロセスの研究が行えるようになり、創薬、がん、発生生物学、環境科学、その他の医学研究分野において、より重要な知見がもたらされます。
本ガイドは、生細胞イメージングの実験の構築、試薬の選択、パブリケーション品質のデータの生成にご利用いただけます。
生細胞イメージング試薬には、ターゲット蛍光タンパク質と、小さな膜透過性蛍光色素の両方が含まれています。多くの試薬は、生細胞イメージング実験に対応するため、数時間から数日にわたるタイムラプス用に設計されていますが、染色直後に細胞のイメージングを行い分析するエンドポイントアッセイにおすすめなものもあります。染色濃度やインキュベーション時間、適切な時間ウィンドウやイメージングの間隔/頻度については、細胞毒性を最小限に抑えて細胞機能を維持できるよう、経験に基づき決定する必要があります。
この生細胞イメージングガイドに記載した試薬は、各種のハイコンテントおよびインキュベーターベースの蛍光イメージングシステムに対応しており、サーモフィッシャーサイエンティフィックのEVOS M7000およびM5000 Cell Imaging SystemsとEVOS Onstage Incubator、CellInsight HCSプラットフォーム、PerkinElmerのMuviCyte™ live-cell imaging system*、LeicaのThunder/Mica*、およびSartoriusのIncucyte® Live-Cell Analysis System™*などで利用することができます。
蛍光イメージングプラットフォームとインキュベーターの組み合わせは、制御された安定環境をもたらすことで、自然な状態での細胞の長時間イメージングを可能にします。EVOS Onstage IncubatorはEVOS M7000およびM5000 Cell Imaging Systems用、Invitrogen HCA Onstage IncubatorはCellInsight HCS/HCAプラットフォームでの自動化されたハイコンテントスクリーニングおよび分析用で、いずれも環境チャンバー内での生細胞のタイムラプスおよびカイネティックイメージングと分析を可能にします。インキュベーション環境下で長期のライブセルイメージングを行う場合、試薬は従来の細胞培地またはFluoroBrite DMEM(カタログ番号A1896701)の重炭酸塩バッファーを用いて生理学的pHを5% CO2環境で維持する必要があります。
細胞アポトーシスは、過剰な細胞、損傷した細胞、不要な細胞や組織を除去するために用いられる、厳密に制御されたプログラム細胞死のプロセスである。アポトーシスの検出には、カスパーゼの活性化、DNAの断片化、活性ミトコンドリアの破壊、細胞膜の変化が利用できます。CellEvent Caspase 3/7 reagentsは蛍光発生カスパーゼ基質であり、カスパーゼの活性化を検出することにより生細胞のアポトーシスを検出できます。これらの試薬は洗浄ステップを必要とせず、48時間以上を要するアポトーシスのリアルタイムおよびタイムラプス生細胞イメージングに使用できます。
図1.CellEvent Caspase-3/7 Green Detection Reagent(カタログ番号C10432)を使用したアポトーシス生細胞エンドポイントアッセイのワークフロー。細胞を播種し、処理を続行します。希釈したCellEvent Caspase-3/7 Green Detection Reagentを細胞に追加します。CellEvent Caspase 3/7色素は、洗浄不要で完全培地中の細胞を直接イメージングできます。蛍光測定は最短30分から最長72時間まで蛍光を測定できる。
図2.CellEvent Caspase 3/7 Greenで染色したアポトーシス細胞の生細胞イメージングの例。HuVEC細胞を、CellEvent Caspase 3/7 Green Assay(カタログ番号C10432)で処理し、処理から0、24、48、72時間後にIncucyte® ZOOM Live-Cell Analysis Systemを用いてイメージングしました。(イメージ提供:Sambi M, Samuel V, Qorri B, Haq S, Burov SV, Markvicheva E, Harless W, Szewczuk MR.A Triple Combination of Metformin, Acetylsalicylic Acid, and Oseltamivir Phosphate Impacts Tumour Spheroid Viability and Upends Chemoresistance in Triple-Negative Breast Cancer.Drug Des Devel Ther.2020;14:1995-2019 PMID: 32546966)
ライブセルイメージング試薬には、細胞成分を同定するための細胞構造試薬と、細胞機能やプロセスを解析するための細胞機能試薬があります。たとえば、MitoTracker色素は生細胞内の活性ミトコンドリアに蓄積し、ミトコンドリアに共有結合することで、ミトコンドリアの局在と存在量の評価を可能にします。対照的に、TMRMおよびTMREは、動的なミトコンドリア膜電位のインジケータ色素であり、膜電位に基づいてミトコンドリアの内外の変動を示します。
図3.生細胞内の活性ミトコンドリアのモニタリング。患者から採取した線維芽細胞株を培養し、MitoTracker Red(カタログ番号M22426)、Image-iT DEAD Green dyes(カタログ番号I10291)、Hoechst(カタログ番号R37165)を使用して染色した後、Incucyte® ZOOM Live-Cell Analysis Systemでイメージングしました。(イメージ提供:Smith GA, Jansson J, Rocha EM, Osborn T, Hllett PJ, Isacson O. Fibroblast Biomarkers of Sporadic Parkinson's Disease and LRRK2 Kinase Inhibition.Mol Neurobiol.2016 Oct;53(8):5161-77.PMCID: PMC5012155.)
さまざまな実験操作、検出、およびイメージング中に細胞を生きた状態で健全に保つことは、簡単ではありません。細胞が周囲条件に長期間曝露される経時的イメージングや実験では、培地の選択は特に重要です。生細胞で信頼性の高い結果を得るには、細胞は健全であり、生理学的な温度、ph、酸素濃度、およびその他の条件にできるだけ近い環境で維持されることが不可欠です。
これらの培地および洗浄バッファーは、生細胞のイメージングおよび検出のために特別に製造されています。これらを実験に使用することで、画像の鮮明さの向上、バックグラウンド蛍光の低減、および細胞生存率の最適化を実現できます。
ヒント生細胞のイメージングおよび検出用に特別に製造された培地および洗浄バッファーを使用することにより、画像の鮮明さの向上、バックグラウンド蛍光の低減、および細胞生存率の最適化を実現できます。製品選択ガイドを見る |
ターゲットの細胞構造またはプロセスをモニタリングするためには、適切な蛍光色素(ターゲット蛍光タンパク質または小膜透過試薬)を使用する必要があります。複数の細胞構造やプロセスをモニタリングするために蛍光色素を追加することはできますが、スペクトルのオーバーラップを最小限に抑えるために、Fluorescence SpectraViewerを使用して励起および発光スペクトルを確認する必要があります。過剰量の蛍光標識を使用すると以下の事象が生じる可能性があるため、過度な蛍光標識の使用を避けることが重要です。
ヒント
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シグナル/バックグラウンド比は、細胞外蛍光を低減し、蛍光色素の光安定性を向上させる試薬を使用することにより最適化できます。生細胞イメージング実験では、バックグラウンド蛍光を低減または除去しながら、細胞の健全性を維持するよう特別にデザインされた培地でイメージングを実施することが重要です(表1を参照)。生細胞に適合したバックグラウンド抑制剤を添加することにより、細胞外バックグラウンド蛍光の低減に役立ち、洗浄ステップを省略できる場合があります。生細胞用の退色防止マウント剤をサンプルに適用すると、蛍光色素の光退色を低減でき、複数または長時間の露光によるシグナル損失を防止します。
表1.イメージング用培地の比較。
試薬 | 細胞ウォッシュ | 短時間イメージング | 4時間までのイメージング | 長時間イメージング |
---|---|---|---|---|
Gibco PBS、pH7.4 | ||||
Invitrogen Live Cell Imaging Solution | ||||
Gibco FluoroBrite DMEM |
ヒント
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光毒性を最小限にするため、光源をもっとも柔軟にコントロールできるイメージングシステムを選択してください。低バックグラウンドの良好なシグナルを生成しながら、細胞を照射する際の光の強度、露光時間、波長域、および励起エネルギー量を最小限に抑えるようにしてください。もっとも低いレベルの蛍光色素励起でもっとも高いシグナルを得られる照射を使用してください。場合によっては(長時間にわたりイメージングを行いたい場合は特に)、細胞の健全性を保つために、露光時間を短くしたり倍率を下げたりして解像度を下げることが推奨されます。
長時間の生細胞イメージングは、実験の途中でターゲットが焦点から外れることがあるため、困難な場合があります。多くの顕微鏡はオートフォーカス機能を備えており、より長時間ターゲットへの焦点を保ち、焦点のズレを抑えるのに役立ちます。さらに、細胞を一定の温度で維持したり、容器内の溶液量を一定に保つことで、焦点のズレを抑えることができます。
多くの細胞は、その最適な温度、浸透圧、pHおよび湿度から逸脱した環境には耐えられません。実験要件は、どのような実験課題を抱えているかによって変わります。たとえば、細胞の増殖および分裂を詳細に研究する実験では、受容体の活性化やカルシウム蓄積などの実験に比べて、異なる条件セットを用いることがあります。一部の頑強な不死化細胞株は、環境の制御なしで短時間のイメージングや観察に耐えられます。一方、長時間のイメージングや検出実験では、不死化細胞および初代細胞で良好な結果を得るには、通常環境パラメーターを厳しく制御する必要があります。
Invitrogen CellTracker Deep Red Dyeを添加したHDFn細胞培養における擦過痕。(A)照射領域を10時間繰り返し照射しました。この領域の細胞は光毒性の兆候(細胞は擦過痕内まで増殖できず、生存率が低下)を示しています。(B)非照射領域の細胞は擦過痕内への生存細胞増殖を示しています。
上部の細胞は過度の露光による細胞膜の致命的なブレブ形成を示しています。ブレブ形成とは、毒性によって生じる細胞膜のかく乱を説明する用語です。対照的に、下部の細胞は比較的健全性を維持しており、異常形態を示していません。
細胞の生存率、アポトーシス、細胞毒性、およびトランスフェクション効率を検出するためにCountess 3 FL Automated Cell Counterをさまざまな蛍光試薬と組み合わせて使用すると、細胞の健全性を迅速にチェックでき、不健全な細胞を使用して次の実験ステップに進むという過ちを避けることができます。再生利用可能なガラススライドを選択できるため、消耗品のコストを削減します。
Invitrogen EVOS Onstage Incubatorは、Invitrogen EVOS Imaging System用に特別にデザインされた環境チャンバーです。生理的および非生理的環境下での生細胞の経時的イメージング用に、温度、湿度、および3種類のガスの正確なコントロールを可能にします。
Thermo Scientific CellInsight HCA Platform用のInvitrogen HCA Onstage Incubatorは、温度、湿度、およびCO2濃度の正確なコントロールを実現するため、生物学的活性および変化の経時的な観察と測定が可能です。長時間のイメージング実験で収集されたデータは、特にThermo Scientific HCS Studio Softwareと組み合わせて統計量を高めると、定量解析研究の基礎となります。
ヒント
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さまざまな実験操作、検出、およびイメージング中に細胞を生きた状態で健全に保つことは、簡単ではありません。細胞が周囲条件に長期間曝露される経時的イメージングや実験では、培地の選択は特に重要です。生細胞で信頼性の高い結果を得るには、細胞は健全であり、生理学的な温度、ph、酸素濃度、およびその他の条件にできるだけ近い環境で維持されることが不可欠です。
これらの培地および洗浄バッファーは、生細胞のイメージングおよび検出のために特別に製造されています。これらを実験に使用することで、画像の鮮明さの向上、バックグラウンド蛍光の低減、および細胞生存率の最適化を実現できます。
ヒント生細胞のイメージングおよび検出用に特別に製造された培地および洗浄バッファーを使用することにより、画像の鮮明さの向上、バックグラウンド蛍光の低減、および細胞生存率の最適化を実現できます。製品選択ガイドを見る |
ターゲットの細胞構造またはプロセスをモニタリングするためには、適切な蛍光色素(ターゲット蛍光タンパク質または小膜透過試薬)を使用する必要があります。複数の細胞構造やプロセスをモニタリングするために蛍光色素を追加することはできますが、スペクトルのオーバーラップを最小限に抑えるために、Fluorescence SpectraViewerを使用して励起および発光スペクトルを確認する必要があります。過剰量の蛍光標識を使用すると以下の事象が生じる可能性があるため、過度な蛍光標識の使用を避けることが重要です。
ヒント
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シグナル/バックグラウンド比は、細胞外蛍光を低減し、蛍光色素の光安定性を向上させる試薬を使用することにより最適化できます。生細胞イメージング実験では、バックグラウンド蛍光を低減または除去しながら、細胞の健全性を維持するよう特別にデザインされた培地でイメージングを実施することが重要です(表1を参照)。生細胞に適合したバックグラウンド抑制剤を添加することにより、細胞外バックグラウンド蛍光の低減に役立ち、洗浄ステップを省略できる場合があります。生細胞用の退色防止マウント剤をサンプルに適用すると、蛍光色素の光退色を低減でき、複数または長時間の露光によるシグナル損失を防止します。
表1.イメージング用培地の比較。
試薬 | 細胞ウォッシュ | 短時間イメージング | 4時間までのイメージング | 長時間イメージング |
---|---|---|---|---|
Gibco PBS、pH7.4 | ||||
Invitrogen Live Cell Imaging Solution | ||||
Gibco FluoroBrite DMEM |
ヒント
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光毒性を最小限にするため、光源をもっとも柔軟にコントロールできるイメージングシステムを選択してください。低バックグラウンドの良好なシグナルを生成しながら、細胞を照射する際の光の強度、露光時間、波長域、および励起エネルギー量を最小限に抑えるようにしてください。もっとも低いレベルの蛍光色素励起でもっとも高いシグナルを得られる照射を使用してください。場合によっては(長時間にわたりイメージングを行いたい場合は特に)、細胞の健全性を保つために、露光時間を短くしたり倍率を下げたりして解像度を下げることが推奨されます。
長時間の生細胞イメージングは、実験の途中でターゲットが焦点から外れることがあるため、困難な場合があります。多くの顕微鏡はオートフォーカス機能を備えており、より長時間ターゲットへの焦点を保ち、焦点のズレを抑えるのに役立ちます。さらに、細胞を一定の温度で維持したり、容器内の溶液量を一定に保つことで、焦点のズレを抑えることができます。
多くの細胞は、その最適な温度、浸透圧、pHおよび湿度から逸脱した環境には耐えられません。実験要件は、どのような実験課題を抱えているかによって変わります。たとえば、細胞の増殖および分裂を詳細に研究する実験では、受容体の活性化やカルシウム蓄積などの実験に比べて、異なる条件セットを用いることがあります。一部の頑強な不死化細胞株は、環境の制御なしで短時間のイメージングや観察に耐えられます。一方、長時間のイメージングや検出実験では、不死化細胞および初代細胞で良好な結果を得るには、通常環境パラメーターを厳しく制御する必要があります。
Invitrogen CellTracker Deep Red Dyeを添加したHDFn細胞培養における擦過痕。(A)照射領域を10時間繰り返し照射しました。この領域の細胞は光毒性の兆候(細胞は擦過痕内まで増殖できず、生存率が低下)を示しています。(B)非照射領域の細胞は擦過痕内への生存細胞増殖を示しています。
上部の細胞は過度の露光による細胞膜の致命的なブレブ形成を示しています。ブレブ形成とは、毒性によって生じる細胞膜のかく乱を説明する用語です。対照的に、下部の細胞は比較的健全性を維持しており、異常形態を示していません。
細胞の生存率、アポトーシス、細胞毒性、およびトランスフェクション効率を検出するためにCountess 3 FL Automated Cell Counterをさまざまな蛍光試薬と組み合わせて使用すると、細胞の健全性を迅速にチェックでき、不健全な細胞を使用して次の実験ステップに進むという過ちを避けることができます。再生利用可能なガラススライドを選択できるため、消耗品のコストを削減します。
Invitrogen EVOS Onstage Incubatorは、Invitrogen EVOS Imaging System用に特別にデザインされた環境チャンバーです。生理的および非生理的環境下での生細胞の経時的イメージング用に、温度、湿度、および3種類のガスの正確なコントロールを可能にします。
Thermo Scientific CellInsight HCA Platform用のInvitrogen HCA Onstage Incubatorは、温度、湿度、およびCO2濃度の正確なコントロールを実現するため、生物学的活性および変化の経時的な観察と測定が可能です。長時間のイメージング実験で収集されたデータは、特にThermo Scientific HCS Studio Softwareと組み合わせて統計量を高めると、定量解析研究の基礎となります。
ヒント
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U2OS cells treated with 50 mM menadione.Tetramethylrhodamine, Methyl Ester, Perchlorate (TMRM) (Cat.No. T668) mitochondrial potential indicator and fades with oxidative stress as indicated with CellROX Green reagent (Cat.No. C10444).
Hippocampal neurons labeled with Tubulin Tracker Deep Red (Cat.No. T34076).
U2OS cells transfected with CellLight Tubulin-GFP (Cat.No. C10613); CellLight Actin-RFP (Cat.No. C10583).
Poster: New generation sensors for caspase activation and mitochondrial superoxide in live cell microscopy
Poster: New and improved cellular health evaluation of 2D and 3D cellular models using microplate reader assays
Poster: Hypoxia measurements in live and fixed cells using fluorescence microscopy and high-content imaging
Poster: Evaluation of Cellular Senescence through Fluorescence Characterization
*Incucyte® Live-Cell Analysis Systemは、Essen BioScienceの商標または登録商標です。Incucyte、Essen BioScience、およびEssen BioScience製品のすべての名称は、特に明記されていない限り、Essen BioScienceの登録商標および所有物です。Essen BioScienceはSartorius Companyの所属企業です。MuviCyte™生細胞イメージングシステムは、PerkinElmerの商標または登録商標です。THUNDER Imager Live Cell & 3D AssayおよびMICA Microhub Microscopeは、Leica Microsystems CMS GmbHによって販売されています。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.